中央アルプス・恵那山(2,191m) (つづき)
「~ この山頂(ここへ十二時四十五分に着いた)は、南北に延びた波のような稜線に立つほとんど同じくらいの三つの峰からできている。北のはしのが一番高く、これと真ん中のにそれぞれ小さな祠がある。一番高い地点には観測所があって、これにも骸骨のような木の尖塔が立っていた。 ~」
(『日本アルプス 登山と探検』ウォルター・ウェストン著・岡村精一訳(平凡社))
恵那山の頂上部分は横に長く、「波のような稜線」が北西から南東に向かって1km以上走っています。登山道もそれをなぞるように付けられています。
地形図では恵那山の標高は2,191mとなっていますが、そこがどこなのかははっきりしません。本当の最高点を探す楽しみがある山は少ないと思います。多分このあたりだろうという場所を見てきましたが、自信はありません。高さを示すものは何もなく、「中部森林管理局」と書かれた細いポールだけがありました。
稜線は岐阜と長野の県境線にもなっていますが、頂上の避難小屋は岐阜県の中津川市によって建てられたものでした。小屋には筆で大きく「恵那山々頂小屋」と書かれた表札があり、「々」を使っているところが新鮮な感じがしました。
恵那山の三角点は2,190.3mの地点にあり、最高点ではありません。三角点の近くに立派なウッドデッキがあります。人工物ですがデッキの上が一番高く、2,192m以上は確実にありそうです。一帯は原生林で、登っても眺望はききませんでした。
下りは黒井沢コースを歩きました。遠景の見えるところもありましたが、ほとんどは樹林帯でした。カラマツの葉が鮮やかなことに驚きました。緑に、少し青が混ざったような色でした。下っていくと、ウグイスの鳴き声だけが響いている「野熊の池」があり、次いで避難小屋が現れました。丸太でつくられた、とても小さくてまだ新しい小屋でした。
さらに進むと沢沿いの道となり、木橋で沢を渡るところもいくつかありました。最後は林道になり、車を通行止めにする柵の向こうに予約していたタクシーが止まっていました。山頂からここまで、誰ともすれ違うことはありませんでした。
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【恵那山(登り:神坂峠ルート 下り:黒井沢ルート)】
神坂峠8:43→鳥越峠9:43→山頂避難小屋13:09→恵那山頂上の展望台13:36→野熊ノ池避難小屋15:53→黒井沢登山口17:35
※登りは眺望を楽しむルート・下りは原生林の緑を楽しむルートでした。距離は約13kmで長めですが、鎖場などはなく、道が分かりにくいところもありませんでした。山頂の避難小屋から展望台までの時間には、最高地点を探し出すために登山道を行ったり来たりした時間が含まれます。
(体力●●●●○ 技術●●●○○) (登頂:2017年6月上旬)