石鎚山(1,982m) ((2)のつづき)
夜明かし峠を過ぎると「一の鎖」が現れます。
石鎚山には、「試しの鎖」「一の鎖」「二の鎖」「三の鎖」、4つの鎖場があります。
一番短い「一の鎖」(それでも33mあります)で、鎖を持ってみると、とても重くて驚きました。鎖を自分に引き寄せることが全く出来ません。掴んでも、何の手応えもありません。こんな鎖は見たことがありません。
鎖は4本あり、登り用と下り用2本ずつに分かれていましたが、登りでも大変なのに下り用があるとは信じられないと思いました。
「一の鎖」は敬遠して「二の鎖」まで進むと、さらに傾斜が急そうです。
石鎚山の鎖場にはすべて迂回路が用意されています。結局、鎖場は一つも登りませんでした。
迂回路にはところどころ、雪がしっかり残っていました。5月にしては暑い一日でしたが、5月なのにこの雪です。滑り止めのアイゼンがなければ、自分たちには登ることは出来なかったと思います。
雪のあるところでは登山道がとても渋滞していました。
アイゼンを持って飛行機に乗ったのは、四国に行ったこの時だけです。アイゼンは機内に持ち込めず、事前に預ける必要があることを初めて知りました。
長い石段を登り切ったところが1,974mの弥山でした。「国定公園四国霊峰 石鎚山 標高1982m」の看板が立っていますが、1,982mの最高点は稜線を200m進んだ天狗岳にあります。
わずか8mの差ですが、弥山から眺めた天狗岳は天を突くようにそそり立ち、間近にあるはずなのに、そこへ登ろうとする人の姿は米粒のように小さく見えます。
登ってきた道を振り返ると、その先には瀬戸内海が広がっています。
石鎚山の三角点はここにはなく、神域である山頂一帯から離れた標高1,921mの地点に三等三角点「石鎚山」があり、さらに南西に進むと1,930m地点に一等三角点「面河山」があります。
昭和33年に観測されたという、「面河山」の点の記を見ると、水は「点の北方一粁の谷間にて若干とれる。石鎚山にゆく途中に泉あり(三粁)」(国土地理院・基準点成果等閲覧サービス)と書いてあります。
稜線は緑に覆われてはいますが、泉がありそうには見えませんでした。北に1km進むのも大変そうです。「米(m)」へんに「千」なので、「粁」はkmとなります。
この点の記には、「七月三十一日始業 九月七日終業」とあるのが面白いです。小学校の終業式が終わる頃に観測が始業し、二学期の始業式が終わる頃に終業したわけです。
天狗岳への稜線は、ところどころで足の踏み場が驚くほど狭く、とにかく注意しました。
ピークにはとても小さな祠がありました。振り返ると、弥山の石鎚神社が堂々としていました。ここが四国の最高峰です。
帰りの道もあちこちで渋滞しているだろうなと思いました。時間を考えれば早く引き返さなければいけませんが、少しでも長くこの小さい頂上でとどまりたい気がしました。
下山後、西条の焼肉店で打ち上げにしました。剣山と石鎚山、ゴールデンウィークの四国登山は大成功でした。今度は赤石山などほかの山にも登ってみたいと思います。
(登頂:2014年5月上旬)