竜ヶ岳(1,099m) ((4)のつづき)
石榑峠から表道が三重と滋賀の県境をなぞるように通じています。急登が多く、砂がザラザラして歩きにくいところも多いです。真っ白な岩の場所もあり、雪山と同じように、サングラスをしないと眩しいくらいでした。
眺望の良い場所に奇岩があったり、イワカガミの花が咲いていたりするのは、さすが鈴鹿の山という感じがしました。
あたりはクマザサだけになり、展望が開けます。1,000m少しの高さでありながら風が強く、大きな木の少ない場所です。ただし、まったく木がないわけではなく、少しでも風の弱い場所を選んで育っているようでした。強風にさらされて幹の曲がっている木も見かけませんでした。
滋賀県の「太尾・焼野」へ向かう道の標識があります。指し示す方向を見ても、どこが道なのかも分からず、ほとんど歩かれていないように見えました。
頂上からは、登ったことのある鈴鹿の山が手に取るように分かります。北には、御池岳と藤原岳が、どちらもテーブルマウンテンの姿をしています。クマザサの中に1本の登山道が走る様子を見下ろすのは、徳島県の剣山(1,955m)に似ていました。竜ヶ岳の倍ほど高い山と同じくらいに、豪快な眺望が広がっていました。
帰りは遠足尾根コースで下山しました。風衝地の樹木は力強くて1本1本に味があります。木と木の間を通り抜ける時には、天然の巨大な公園を歩くような楽しさがあります。カタクリの花もみかけました。登山道ではない斜面を鹿が駆け降りて行き、けもの道が何本かできています。何頭か揃って草をのんびり食べているのもいます。
稜線歩きが終わって杉の植林地帯に入ると急な下りになりました。鈴鹿の山は、歩き始めと終わりに急坂の出てくるところが多いです。
◆◆◆◆◆
【鈴鹿・竜ヶ岳(登り:石榑峠→表道登山道・下り:遠足尾根)】
宇賀渓キャンプ場8:49→魚止滝9:45→五階滝10:27→長尾滝11:33~11:43→小峠12:42~13:04→石榑峠13:40→竜ヶ岳15:34~15:51→宇賀渓キャンプ場18:15
※キャンプ場の人の話では、石榑峠を回って登る人は少ないとのことでしたが、滝めぐりと白砂の稜線歩きが両方出てくる素晴らしいコースでした。特に、五階滝から長尾滝にかけての渓谷歩きは、他の山ではなかなか味わえないものでした。水量が多い場所での徒渉があるため、思いのほか時間がかかりました。沢登り用の特殊装備は不要ですが、濡れても大丈夫な底のしっかりした登山靴が必要で、ストックも重宝します。
(体力●●●●○ 技術●●●●○) (登頂:2022年5月上旬)