羊蹄山(1,898m) (つづき)
稜線をほぼ半周歩いてやっとピークに到達しました。火口はシンプルで大きな形です。底だけ雪がとけて、水面を見ていると吸い込まれそうな迫力があります。時間は午後2時を過ぎ、休憩を除いても6時間半はかかった山頂ですが、高い山という感じがしませんでした。ここでは山の高さよりも北海道の広さが際立っていたからです。南には洞爺湖がぽっかりと大きな口を開けて、中島(洞爺湖の中の無人島)が浮かんでいるのもはっきりわかります。さらに奥には、青空のような海面から霧が湧き立っているように見える噴火湾。あれは海か!と驚きます。
山に登って、頂上から海が見えるということはほとんどありません。立山に鳥海山に羊蹄山、海が見える山頂の眺望はどこも爽快です。
何十キロも先の遠くの景色まで、手に取るように分かる羊蹄山の頂上は最高でした。
ニセコアンヌプリなど、名前しか知らなかった山々を初めて見ました。途方もなく長い裾野をひいて、頂上がはっきりとしている山は、昆布岳(1,045m)のようです。後で調べると、昆布は当て字で、本物の昆布とは関係ないとのことです。ニセコの隣には、昆布という名前の駅もあります。
頂上で話した人は地元北海道の方で、もう羊蹄山に50回は登ったという方です。きっと羊蹄山は裏庭のようなものでしょう。それでも、こんなに天気がよくて、しかも風が弱いという日はほとんどないんだそうです。
1回目の羊蹄山で素晴らしい天気を引き当てた自分たちは恵まれています。
帰りは再び真狩ルートを下ります。そのまま稜線を時計回りに1周する道もあるものの、そこには危ない岩場があるとの話を聞き、来た道を引き返しました。
すぐに京極ルートとの分岐点・京極ピークに出ます。京極ルートは羊蹄山へ続く4つの登路の1つです。このルートの終点・京極ピークにあった標識を本当の頂上と勘違いする人が多かったそうです。そこで標識をどうしようかとしているうちに、雷が落ちて標識は壊れてしまったということでした。
(登頂:2016年6月中旬) (つづく)