大岳山(1,267m) (つづき)
アイゼンは付けましたが、登れば登るほど雪が多くなるというわけでもありません。陽当たりの良いところは、どんどんとけていっています。
雪山なのに暖かいというのは変ですが、本当に暖かかったです。風もありませんでした。
山頂に近づくと岩場が出てきます。大岳山には、奥多摩の山には珍しく鎖場があります。この日はちょっと掴んでみたくなりました。
見覚えのある大岳山荘の、屋根がドーム状をした建物が現れました。2008年に閉鎖されたという山小屋は、だいぶ傷んでいましたが、雪が荒れ具合を覆い隠しているように見えました。穏やかな勾配の屋根を幾重を連ねた建物は、なかなか立派です。
「 高水山は三山を連ねて周囲から独立しているけれど、大岳のように、四方に道の通じているところは、古代からの重要な交通路であろうといつも思った。物資を運ぶために、大事な知らせを持ってゆくために、ときには、新らしい婚姻が行われるために、ひとびとはせっせとこれらの道を歩いていったにちがいない。 ~」(『花の百名山』田中澄江・著(文春文庫))
大岳神社の建つ、頂上を目前にしたこの場所は、今でも確かに山の交差点のような雰囲気がしていると思います。
(登頂:2020年1月中旬) (つづく)