The Society of Alternative Medicine from 1987/代替医療学会

Structured Micronutrient:US PAT/TH FDA(Med), JP FDA(Food)

野菜ジュース

2015-06-23 10:53:56 | 健康

■「野菜」に期待される栄養って?

 最初に大まかに「野菜」に含まれる栄養素をおさらいしてみます。野菜は炭水化物やたんぱく質、脂質といったエネルギーを作り出すことのできる栄養素は多く含まれていません。そのかわり、エネルギーを作り出すときの潤滑油となる「ビタミン」と「食物繊維」が多く含まれています。

 食物繊維は、植物自体の茎や葉などを支える骨のようなものです。かさがあって食べ応えがあるにもかかわらず、エネルギー源となる栄養素の含有率が低くなっています。そのため、野菜は「低エネルギーで、たくさん食べても太りにくい」と言われているのです。

■身体には野菜ジュースの「搾りかす」も大事!

 野菜の栄養には「ビタミン」と「食物繊維」が非常に大切であることは、上記で説明したとおり。次は、野菜ジュースの作り方を考えてみましょう。

 ただ野菜をミキサーで粉砕しただけでは、食物繊維が歯に当たってしまい、口当たりが悪い野菜ジュースになってしまいます。そのため、濾したり絞ったりして口当たりのなめらかなジュースをつくり、砂糖や果汁などで味を整えて商品としています。

 この工程で「ビタミン」と「食物繊維」がどうなるのかがポイントです。ビタミンは「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」があり、前者はジュースの中に溶け出すので、かんたんに摂取できそうです。

 しかし、これなら一安心! と思うことなかれ。水溶性ビタミンは酸素・光・熱によって分解されやすいのです。野菜をカットした段階から分解が始まるのに、ジュースにするためにミキサーで粉砕して、絞って味を整えて……という工程を経る間に、かなりのビタミンが分解していると考えられます。

 また、ビタミンだけでなく、食物繊維に関しても「水溶性食物繊維」と「水不溶性食物繊維」があります。後者は搾りかすとして廃棄されてしまうため、製品の中には含まれていません。

 これらの2点が野菜と野菜ジュースを分ける最大のポイントとなります。

■農林水産省の「食事バランスガイド」から考えてみよう

 実は、農林水産省から出されている「食事バランスガイド」では「野菜ジュース」と「果実100%のジュース」は、200ml=1SV(1つ)を副菜(野菜・きのこ・いも・海藻料理)として計算してよいこととなっています。

 その理由としては、会社員などの場合は忙しさから野菜不足になりやすいため、手軽に持ち運びができるパック入りの野菜ジュースでもよいので飲んでほしい、という意図があります。どうしても野菜代わりとして選ぶ必要のあるときは、食塩や果物、砂糖などを添加していない商品を選びましょう。

■健康のためにはどうするのがよいのか?

 特にメタボやダイエット希望の人、また糖尿病の患者の方には、野菜代わりに野菜ジュースを飲んでも問題ないとは言えません。というのも、野菜ジュースでは捨てられてしまう水不溶性食物繊維のおかげで、食事量を変えずにエネルギーカットをすることが可能だからです。

 食物繊維は固さがあるのでよく噛む必要があり、そのおかげで脳が「食べ物を食べた」ということを認識し、満腹感が生まれます。さらに血糖値の上昇を緩やかにするため、糖尿病のリスクが下がり、将来的に健康維持・増進をすることができます。野菜ジュースは噛む必要がないので、なかなか満足感を得ることができませんし、血糖値などへの効果もあまり見込めません。

 また、「のどが渇いたときに野菜ジュースを飲めば健康的ですよね?」という質問をよくいただくので、答えを書き添えます。コーラや果汁の少ないジュース類よりはいいと思いますが、お茶や砂糖・ミルクを入れないコーヒー、紅茶のほうがオススメです。野菜ジュースと言っても、やはりジュースはジュース。「食事バランスガイド」で副菜として数えていいということは、エネルギーはあります。

 このように「野菜」と「野菜ジュース」は似て非なるもの。可能な限り「野菜」を選ぶようにし、「野菜ジュース」はどうしても野菜不足になってしまうときの奥の手として考えるのがよいと思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150623-00000003-nallabout-hlth


エナジードリンク

2015-06-23 10:45:31 | 健康

気温の上昇に伴って人気が高まっている飲み物が、いわゆるエナジードリンクです。コンビニエンスストアでは、飲料コーナーの目立つところに各種製品がズラッと並んでいます。恐らく「水分を補給しながら、体をパワーアップできる」と期待して買う人が多いからでしょう。

 

 値段を見ると、「元気が出る」という付加価値が付いているためか、1本(185~355ml)で税込み200円前後と、通常の清涼飲料水に比べて割高です。これで何も効果がなかったらかなり損をすることになりますが、中身の成分を見る限り、特にパワーアップを期待できそうにはないのです。

 そもそも、なぜエナジードリンクといわれているのでしょうか。それは、各製品に「パワーアップの素」といえるような成分が入っているからです。それを摂取することで、元気が出たり、体がパワーアップしたりすることを、ボトルのコピーやテレビCMなどでうたっているのです。ただし、直接的な言葉は使っていません。効能・効果をうたうと、医薬品医療機器等法(旧薬事法)に違反することになるため、婉曲的あるいは暗示的な表現で巧みに消費者に訴求しているのです。

アルギニンに免疫向上や疲労回復効果はない

 そのパワーアップの素とは、一つはアミノ酸の一種の「アルギニン(L-アルギニン)」で、ほとんどのエナジードリンクに含まれています。アルギニンは、たんぱく質を構成するアミノ酸の一つで、体内では成長ホルモンの分泌促進、免疫機能の向上、脂肪の代謝促進などに関係しているため、俗に「免疫力を高める」「疲労を回復させる」などといわれ、また、男性器の勃起に関係する物質を間接的に活性化するため、「精力を増強する」ともいわれるようになりました。そのため、「男性が飲むとパワーアップして女性にモテる」と思わせるCMが流れるようになったのです。

 しかし、これらはいずれも俗説であって、確たる証拠はないのです。もともとアルギニンは体内で合成されるもので、成長ホルモンの分泌促進や免疫機能の向上などと関係していることは間違いありませんが、アルギニンを摂取したからといって、それがすぐに効果を発揮するわけではないからです。

 健康食品サプリメントなどの安全性や有効性を検証している国立健康・栄養研究所が運営する情報サイト「『健康食品』の安全性・有効性情報」によると、アルギニンについては、勃起不全に対する経口摂取での有効性が検討されており、「5g/日摂取で機能性勃起不全患者において性機能が自覚的に改善したという報告があるが、それ以下の用量では効果がなかった」との結果が報告されています。ところが、実際の各種エナジードリンク1本に含まれるアルギニンは0.222~1gで、最も多い製品でも2gです。これではとても性機能を高めることは期待できません。

また同サイトによると、アルギニンの摂取によって一般成人の免疫力が高まったり、疲労度が軽くなったというデータはありません。つまり、俗に言われているアルギニンの効果は確認されていないのです。これではアルギニン入りのエナジードリンクを飲んでも、元気になれそうにありません。

 このほか、パワーアップの素として、「ショウガ抽出物」を入れている製品もあります。ショウガには、ジンゲロールという独特の成分が含まれており、それが末梢血管を拡張したり、発汗を促す作用があるため、体を温めるといわれています。ただし、これだけで元気が出たり、体がパワーアップしたりするのでしょうか。もしそうなら、すりおろしたショウガを食べれば元気いっぱいになれるはずです。しかし、実際にはそんなことはないわけで、ショウガ抽出物を摂取したからといってパワーアップが図られるとは考えられません。

有害な合成甘味料

 一方で、エナジードリンクには、安全性の疑わしい合成甘味料のスクラロースやアセスルファムKが添加された製品が多いのです。砂糖を減らして、低カロリーにするのが狙いです。

 スクラロースは、ショ糖の3つの水酸基(-OH)を塩素(Cl)に置き換えたもので、砂糖の約600倍の甘味があります。しかし、悪名高い「有機塩素化合物」の一種なのです。有機塩素化合物は、農薬のDDTやBHC、地下水汚染を起こしているトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン、猛毒のダイオキシンなど、すべてが毒性物質といっても過言ではありません。

 スクラロースが、DDTやダイオキシンと同様な毒性を持っているというわけではありませんが、妊娠したウサギに体重1kg当たり0.7gのスクラロースを強制的に食べさせた実験では、下痢を起こして、それに伴う体重減少が見られ、死亡や流産が一部で見られました。また、スクラロースを5%含むえさをラットに食べさせた実験では、胸腺や脾臓のリンパ組織の萎縮が認められました。さらに、脳にまで入り込むことがわかっています。

 また、アセスルファムKは自然界に存在しない化学合成物質で、砂糖の約200倍の甘味があります。犬に、アセスルファムKをそれぞれ0.3%含むえさと3%含むえさを2年間食べさせた実験では、0.3%群でリンパ球の減少が、3%群ではGPT(肝機能障害の際に増える酵素)の増加とリンパ球の減少が認められました。つまり、肝臓へのダメージや免疫力を低下させることが疑われます。さらに、妊娠したネズミを使った実験では、胎児に移行することがわかっています。

 したがって、スクラロースやアセスルファムKが添加された食品は、できるだけ避けたほうがよいのです。

「エナジードリンクを飲んだら元気が出た」という人がいたら、それは恐らくプラシーボ(偽薬)効果によるものでしょう。あるいはカフェインによる作用かもしれません。エナジードリンクには、たいていカフェインが添加されており、それには覚醒作用があるからです。しかし、カフェインを摂りたいなら、緑茶やコーヒーを飲んだほうがよいでしょう。

 巧みな製品のネーミングやコピー、CMなどに惑わされて、割高な製品を買わされないようにくれぐれもご注意ください。

http://biz-journal.jp/2015/06/post_10252_1.html