風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第三部)四小編 其の七

2010-04-13 18:19:23 | 大人の童話

四小からは、毎月『学校便り』が夢のもとに届けられました。夢は、毎月

『学校便り』を見るのを楽しみにしていました。九月、四小からその『学校便り』と

ともに、運動会の案内が届きます。小学校の運動会なんて何十年ぶりでしょう。

夢は案内を見てすぐに『行ってみよう。』と思いました。九月の最終土曜日、四小の

運動会の日、あいにく天気は曇りでしたが、運動会はできそうです。夢は、自分が

出るわけでもないのに、わくわくしながら四小へと向かいました。四小へ着くと、

係りの方に丁寧に挨拶され、夢は感激ひとしおでした。校庭にでると、四小の声が

聞こえてきます。

「夢ちゃん、いらっしゃい。何十年ぶりの運動会、楽しんでね。子どもたち、みんな

一所懸命やるから応援してね。ああ、夢ちゃんとまた一緒に、運動会を見ることが

できるなんて、本当に夢のよう。」

四小は、遠い日を見てるような感じで夢に話しかけました。夢は、四小の言葉に

静かに頷いて答えました。

「本当、こうしてまた、四小さんといっしょにいるなんて夢のよう。一年生の頃を

思い出すなぁ。あ、そうだ。四小さん、毎月『学校便り』ありがとう。毎回楽しみ、

ちゃんと読んでるわよ。」

夢は、四小を見上げて『学校便り』のお礼を言いました。

「あら、そう。読んでくれてるの。うれしいわ。よかった、夢ちゃんに喜んでもらえて。」

四小は、夢を見てうれしそうにそう答え、また競技の方を見ました。そして、

二人は運動会が終わるまでずっと、いっしょに楽しそうに競技を見ていたのでした。