風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第三部)六小編 其の拾六

2010-04-26 21:57:52 | 大人の童話

少しして、六小は改めて言いました。

「おかえり、夢ちゃん。会えてうれしい。」

夢も言いました。

「ただいま、六小さん。わたしも。」

「どうしてた?」

「うん、いろいろあった。」

「そっか、わたしも。でも、会えて本当によかった。うれしい。」

そして次の瞬間、六小は、今まで大きく輝いていた光を小さくして、下を向いて

ちょっと寂しそうに夢にたずねました。

「わたし、変わっちゃったでしょ?」

夢が、「そんなことないよ。」というように微笑みながら答えます。

「うん。でも、六小さんは六小さんでしょ。」

その言葉を聞いた六小はうれしかったのか、いったん小さくした光を、また

パァーッと大きくして、

「本当?本当にそう思ってくれる?」

と、何回も夢に訊いてきました。

「うん、本当よ。」

六小は、ほっとしたように言いました。

「ああ、よかった。夢ちゃんに、そう言ってもらえて。本当は、昔のまんまの姿で

会いたかったんだけどさ。」

「いいよ、もう。いろいろあったんでしょ。」

「う・ん。」

「六小さんが、こうして元気でいてくれるだけでいい。」

夢は、昔のままで会えなかった、と落ち込む六小を元気づけようと、笑顔で六小に

言いました。

「クスン・・・・・ありがとう。」

六小も、夢に言われて少し元気になったようです。最後は、笑顔になりました。

夢と六小の話は、いつまでもつきません。