気の向くままに

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聖徳太子がチーズを賞味したことを示す史料は残っていない。ただ、。。。

2017-07-07 14:35:51 | 日記

 聖徳太子がチーズを賞味したことを示す史料は残っていない。ただ、チーズの歴史にくわしい広野卓(たかし)さんによれば、「可能性はきわめて大きい」(『古代日本のチーズ』角川選書)。

 ▼ミルクとチーズの文化は6世紀ごろ、仏教とともに大陸から伝来した。仏典には乳製品についての記述もあった。仏教に深く帰依していた太子が、知らなかったはずはないというのだ。

 ▼「蘇(そ)」と呼ばれた古代のチーズは、高級食材、あるいは健康食品として天皇家や貴族に珍重された。もっとも、武家に政権が移るにつれて、ミルクの文化は廃れていく。武士にとって、牛より合戦に役立つ馬の方が大切だったようだ。

 ▼日本とはまったく違う歴史をたどってきた本場欧州のチーズが、ますます身近な存在になりそうだ。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)では、EU産のチーズに一定の輸入枠を新設して15年かけて無税とする。関税が即時撤廃される欧州産ワインとともに、楽しむ機会が増える消費者にとっては、大歓迎である。一方、日本の酪農家は、大きな打撃を受ける。

 ▼「時代の変革期には、ミルク文化がクローズアップされる」。広野さんは、こんな説も紹介している。初めて文献に現れるのは、「大化の改新」の最中の孝徳天皇の時代だった。いったん消滅した後江戸時代に入って、インドから乳牛を輸入したのは、「享保の改革」を進めた8代将軍、徳川吉宗である。広く庶民が乳製品に親しむようになったのは、「明治維新」に伴う文明開化のおかげだった。もっとも日本人の食文化に定着したといえるのは、先の戦争の後である。

 ▼欧州産チーズという「黒船」が襲来した時、日本はどんな変革の時代を迎えているのか。

2017.7.7 05:03【産経抄】

 

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