気の向くままに

終着はいつ、どこでもいい 気の向くままに書き記す

ギリシャの旅立ちの日 

2015-06-30 06:30:39 | 日記

 

 ギリシャの経済危機があらわになって以来、多くの人が疑問を抱いたはずだ。欧州で真っ先に文化の花を咲かせた人たちが、どうして堕落してしまったのか。この国の歴史にくわしい村田奈々子さんによると、そもそも同じ「ギリシャ人」と扱うのが、間違っている。

 ▼現在のギリシャのある地域は、4世紀後半から東ローマ帝国の支配下に入り、15世紀以降はオスマン帝国領となる。人々にとって、欧州は長らく「他者」であった(「ギリシャはどれほど『ヨーロッパ』か?」「中央公論」2012年5月号)。

 ▼18世紀になって、西欧の知識人の間で、古代ギリシャへの尊敬の念が強まっていく。プライドを刺激されたギリシャの人たちは、苦難の末に独立を果たした。1974年の国民投票の結果、民主化を達成し、81年に現在のEUの前身であるEC(欧州共同体)に加盟する。つまり、晴れて欧州の仲間入りを果たしたのだ。

 ▼しかし、蜜月の時代は長くは続かなかった。ギリシャにいくら資金をつぎ込んでも、ブラックホールに吸い込まれるように消え失(う)せた。債務が積み重なるばかりである。もはや現在のギリシャに、ソクラテスら哲人たちの末裔(まつえい)の国のイメージを重ねる人は皆無だろう。EUの堪忍袋の緒も切れた。

 ▼一方、緊縮財政を押しつけられ、生活が悪化の一途をたどる、ギリシャ国民のいらだちも強まるばかりだ。財政破綻の崖っぷちに立たされたギリシャ政府は、41年ぶりの国民投票に、打って出る。

 ▼前回とは逆に、EUが求める構造改革を拒絶する結果ならば、ユーロ圏とEUからの離脱につながりかねない。欧州にとって再び「他者」となるギリシャが頼りにするのは、歴史的に縁が深いロシアか、金持ちの中国か。


2015.6.30 【産経抄】


遭遇したら…「死んだふり」はだめ 三重で学習会

2015-06-29 17:34:37 | 日記

 ◇目を合わさずに後ずさり…が正解

 三重・岐阜県境付近にツキノワグマが出没し波紋を広げる中、「今こそ知ろう!ツキノワグマとのつきあい方」と題する学習会(NPO法人県自然環境保全センター主催)が27日、三重県菰野町の御在所岳にある「ございしょ自然学校」で行われた。講師役の農学博士(野生動物保護管理学)、橋本幸彦さん(46)は「人がいることをクマに知らせ、遭わないようにすることが一番大事だが、ばったり遭ってしまったら目を合わさずに後ずさりして」とアドバイスした。

 クマの生態に詳しい橋本さんは「クマは草食性で、人を襲うことはほとんどなく、通常は人を見ると逃げる」と説明。鈴を鳴らしたり、ラジオをかけたりして「早めに人がいることを知らせれば事故は防げる」と指摘した。

 例外的に襲ってくるケースとして、子連れの母グマに近づいたり、出合い頭に人間と遭遇してクマが驚いたりした場合などを挙げた。

 出合い頭の場合は「目を合わすと動物は挑戦されていると感じるので、目をそらして静かに後退してください。走って逃げても追いつかれる」と述べた。いわゆる「死んだふり」については「クマが『何だろう?』と考えて、近づいてくる可能性がある」として勧めなかった。

 約20人の登山者らが熱心に聴き入り、「それでも襲われた時はどうすればいいのか」の質問も。橋本さんは「致命傷を避けるため、(頸(けい)動脈のある)首を隠し、うつぶせに倒れてほしい」と助言していた。【松本宣良】

2015年06月28日 毎日新聞

 

 

・スズメバチに遭遇した場合も、静かに後ずさりしながらその場から遠ざかることとのこと。

・「目を合わすと動物は挑戦されていると感じる」・・・・凶暴性のある人間もそうらしい。


御用学者ならぬ無用学者

2015-06-27 09:17:40 | 日記

 セクハラ、パワハラときて、マタハラ、そして今の流行は「おわハラ」なんだそうである。ハラスメント(嫌がらせ)ブームはもう終わり、という意味かと思ったら「就活終われハラスメント」の略語なんだとか。

 ▼優秀な学生を囲いこもうと、企業が「他社への就職活動を終了するよう学生に強要する」行為だそうで、昔風にいえば「青田買い」か。つい最近まで大学4年生が「就職氷河期」を嘆いていたのが、嘘のようである。

 ▼抄子も30年前に就活のまねごとをやったが、真剣に憲法学者にでもなろうかと考えた。民法が1044条のほか膨大な付則があるのに、憲法は補則を含めて103条しかなく、覚えやすい。占領下に連合国軍総司令部(GHQ)主導でつくられた憲法が、独立回復後も後生大事に護持されてきた裏にある日本人の「被占領意識」も研究対象として興味深い。

 ▼何より、なんでもかんでも「違憲、違憲」と言っていれば尊敬されるのだから、こんなにおいしい商売はない。恩師に相談すると「東大法学部を出ていないといいポストはまわってこないよ」とあきれられ、あえなく断念した。

 ▼衆院の憲法調査会で、自民党が呼んだ長谷部恭男早大教授が安全保障法案を「違憲」と断言した波紋はいまも続いているが、驚くに値しない。憲法9条を錦の御旗に自衛隊そのものを「違憲」と論じたのが、東大法学部を頂点とする憲法学者の本流で、合憲派は御用学者呼ばわりされてきた。

 ▼自衛隊違憲論が世間から相手にされなくなってから、集団的自衛権が、本流派最後の砦(とりで)になっていた。彼らが過去の解釈にこだわるあまり、現実の国際情勢から目を背けるようでは、御用学者ならぬ無用学者とそしられても仕方あるまい。

6月27日 【産経抄】

 

 <memo>

・昨夜は雨だったので、タヌキのポンタには濡れても食せるソーセージをやった。雨のなか食べに来たようで、今朝見に行ったらなかった。

・一本足でスクッツと立っている案山子の夢を見た。今夜はネジか、ネジバナの夢か。

 


「今日から君は噴水だ!」。スポーツキャスターの松岡修造さん…

2015-06-24 11:33:17 | 日記

 「今日から君は噴水だ!」。スポーツキャスターの松岡(まつおか)修(しゅう)造(ぞう)さんの言葉が入った日めくり「まいにち、修造!」が大人気という。こうした格言入りカレンダーの元祖がベンジャミン・フランクリンだ。

▲米建国の父にして実業家、科学者で、100ドル札の肖像となっているフランクリンである。彼は20代から「貧しいリチャードの暦」という格言入りの暦を25年間にわたって刊行、毎年約1万部を売り、大きな利益を上げた。格言はいつも勤勉と節約を大いに推奨した。

▲「貸主は借り主より物覚えがいい」「怠け者の足の遅さよ、貧乏がすぐに追いつく」という調子である。なかでも「早寝早起き、健康のもと、財産を殖(ふ)やし、知恵を増す」「朝寝する者、一日中駆け足、夜になっても仕事に追いつかぬ」との早起きの勧めが目につく。

▲では7、8月の政府省庁には早寝早起きの格言がかかるのか。この夏、国家公務員の出勤と退庁を1〜2時間早めて朝型勤務とし、企業などへの波及もめざすという。日照時間の長い夏の夕方を暮らしに有効に生かそうというキャンペーンで、名づけて「ゆう活」だ。

▲首相自らの指示により、夏の生活スタイルの変革をめざしたこの朝型勤務である。自分は夜型という人の異議申し立てはさておいても、保育や介護の事情で勤務時間をずらせない人もいる。窓口などは通常通りとあれば、かえって職員の労働強化にならぬかも心配だ。

▲ちなみに戦後、占領軍の強権で一律に夏の時間を繰り上げたサマータイムは睡眠不足や残業増でさんざんな評判だった。「早起きする者、夜になっても仕事に追いつかぬ」とならないよう願う。

毎日新聞 2015年06月24日 東京朝刊

 

 「幸せを呼ぶ名言」

http://www.cute-a.net/happiness/category/action.html

・ 我事におゐて後悔せず。   宮本武蔵「独行道」

・ 人間は、行動した後悔より、行動しなかった後悔の方が深く残る。   トーマス・ギロビッチ(アメリカ・ニューヨーク州コーネル大学の心理学教授)

・ 私たちの疲労は仕事によって生じたのではなく、悩み、挫折、後悔が原因となっていることが多い。    デール・カーネギー(アメリカの著述家)

 

 


ヨガの日 

2015-06-23 08:58:03 | 日記

 今月21日が「国際ヨガの日」だったとは知らなかった。インドのモディ首相の呼びかけで、昨年12月に国連が制定していた。夏至の時期が選ばれたのは、ヨガで重視する太陽のエネルギーがもっとも高まるとされているからだ。当日、首都のニューデリーで開催されたイベントには、約3万5000人が参加し、首相の姿もあった。

 ▼インド思想にくわしい森本達雄さんによると、アーリア人侵入前のインダス文明時代、つまり4000年以上前から行われてきた。「心身の鍛練によって肉体を制御し、精神を統一して人生究極の目標である『解脱』に至ろうとする伝統的な宗教的行法」である(『ヒンドゥー教』中公新書)。

 ▼1960年代後半に、インド文化に傾倒したビートルズが現地で修行したことで、欧米で広く知られるようになった。今では、美容や健康のための体操としてすっかり定着している。日本でも、「ヨガ教室」が花盛りである。

 ▼インド政府は、ユネスコの無形文化遺産への登録も、目指している。日本の和食は、2年前に登録を果たした。世界でもてはやされるだけでなく、本物の味を知ってもらいたい。これが、関係者の願いだった。インド政府も、ヨガの文化の発信とともに、伝統的な方法を守ろうとしているのだろう。

 ▼ただ国内のイスラム団体は、反発を強めている。ヨガの中に、ヒンズー教徒から神として崇拝されている太陽を礼拝するようなポーズが、含まれているからだ。モディ首相が今後、国民の約8割を占めるヒンズー教徒寄りの政策をより一層強めるのではないか、との懸念もある。

 ▼ヨガは本来、心と体のバランスを重視している。その精神に立ち返れば、なんとか宗派対立を回避できるはずだ。

2015.6.23 05:04 産経

 

国際ヨガの日 インドでヨガのイベント   6月21日 16時05分 NHK NEWSWEB

21日は、国連がことしから設けた「国際ヨガの日」です。
ヨガ発祥の地のインドでは、ヨガの愛好家として知られるモディ首相が3万5000人の市民らとヨガを披露し、ヨガの魅力を世界にアピールしました。

このイベントは、「国際ヨガの日」に合わせてインド政府が開いたもので、首都ニューデリーの観光名所、インド門に続く長さ1.5キロの大通りの特設会場には、子どもから政治家までおよそ3万5000人が集まりました。
はじめに毎朝ヨガを実践していることで知られ、去年の国連総会で「国際ヨガの日」の制定を提案したモディ首相が、「ヨガは単なるエクササイズではなく、争いのない平和な社会を実現するための手段です」と述べ、魅力をアピールしました。
モディ首相は、演説だけの予定でしたが、急きょ参加者の先頭に移動し、さまざまなヨガのポーズを披露しました。
インド政府は、21日のイベントを、「最大のヨガイベント」としてギネス記録への登録を申請するということです。
14歳の女の子は、「首相と一緒にヨガができてうれしかったです。首相からヨガを続けてくださいと声をかけられました」と話していました。
モディ首相としては、21日のイベントを通じてヨガの魅力を世界にアピールし、インドのイメージの向上や、観光客の獲得につなげたいねらいがあるものとみられます。

 


6月11日 

2015-06-21 15:32:40 | 日記

 昨夜は、直之と直允と「ろくさん」で、飲食。今日はアマンダンビラで飲食を美味しくいただいた。直之は14時08分宇ノ気駅発で姫路へ発った。

 長姉の一周忌で関係者が一堂に集まった。毎日、日本酒8合の医師の彼はセーブしてた様子。昨夜から今朝4時まで金沢片町で飲んでいたとのこと。これから、会合で16時からまた片町だとのこと。しかし、この言はまゆつば・・・風営業法から推測すれば・・・。ただし、市内にマンションを持っていることを勘案すれば ・・・ ?

が、、それはないであろう。

 それぞれが思う今を先につなげてほしいと思って帰路についた。

 さて、明日はauショップだ。


軍靴の音

2015-06-20 14:50:10 | 日記


 記念日というのは、なかなか厄介な存在である。誕生日、結婚記念日、会社や学校の創立記念日などなど、一度ちょっとしたお祝いの会をやると、では来年も、となり、忘れたり、何もしなかったりすると叱られる。

 ▼個人でさえそうなのだから、国家の絡む記念日はさらに厄介だ。あさっては、日韓両国が戦後20年にわたった国交のない異常な状態を脱し、関係正常化に道を開いた日韓基本条約が調印されてから丸50年にあたる。華やかに金婚式を開きたいところだが、そんな雰囲気になれないのは、ご存じの通り。

 ▼東京とソウルでそれぞれ記念行事が行われるが、安倍晋三首相も朴槿恵大統領も出席しない。いまと未来よりも慰安婦問題しか眼中にないような指導者にはため息しかでないが、それも50年前を思えば、大したことはない。

 ▼条約をめぐって日韓両国内に反対運動の嵐が吹き荒れた。韓国ではデモ隊と治安当局が衝突を繰り返し、朴大統領の父親は、戒厳令まで出して鎮圧した。日本でも北朝鮮が大好きだった社会党や進歩的文化人のみなさんが元気だったころ。条約批准に反対するデモ隊が国会をとりまき、集会には全国で23万人(警察調べ)が参加した。

 ▼なぜ彼らは反対したのか。北朝鮮より先に韓国と国交正常化すれば、南北分断を固定化し、日本が戦争に巻き込まれる、という理屈からで「軍靴の音が聞こえる」が合言葉だった。

 ▼国交正常化後も日本は戦争に巻き込まれることはなかった。ただ、当時をよくご存じのはずの瀬戸内寂聴さん(93)はいまも「すぐ後ろに軍靴の音が聞こえている」とおっしゃっている。お元気になられてなによりだが、抄子には「軍靴の音」は東京からではなく、北京から聞こえるのですが。

6月20日 産経

 

<memo>

 4時30分出発 5時30分 赤住港 着    波高く 出港できないとの船長の言。 確かに、波高く、風も強く感じた。

 帰る途中、滝漁港に立ち寄った。キス釣り、クロダイ狙いの釣り人の姿が10人ほどいた。キスのサイズは中くらい。数は10尾/人ほど。

 内灘海岸にも足を延ばして、釣り状況を見てきた。釣り人多数、釣果は5センチ程度の鯵、サバ、キス。内灘マリーナの社長は元気でいるだろうかと寄ってみたが閉まっていた。

 

、滝漁港風景


世界に誇る駆込寺

2015-06-18 06:14:23 | 日記

円覚寺から見下ろす東慶寺全景

 

 鎌倉市にある東慶寺は、鎌倉幕府8代執権、北条時宗の夫人、覚山尼(かくさんに)によって開かれた。明治中期までは、尼寺だった。元住職の井上禅定(ぜんじょう)さんによると、夫の暴力などに苦しむ女性を救済する寺法は、開山時からあったという(『東慶寺と駆込女』有隣新書)。

 ▼寺に駆け込んで、足かけ3年寺で奉公していると、離婚ができる。江戸時代になると、群馬県太田市にあった満徳寺とともに、幕府公認の縁切り寺となる。「出雲にて結び鎌倉にてほどき」。こんな川柳が詠まれるほどよく知られた寺だった。縁結びの神様である出雲大社と対比させて、面白がっている。

 ▼井上さんによると、駆け込みの理由で圧倒的に多かったのが、「夫の不法」だった。「悪口雑言をたれるとか、大酒くらうとか、殴る蹴るとか、吉原通いにうつつをぬかすとか」である。もっとも、「他に男がデキちゃった」といった図々(ずうずう)しい例もあったらしいが。

 ▼東慶寺に駆け込んだ女性は、江戸後期までに2000人を超えたといわれている。当時の離縁状、三行半(みくだりはん)の研究で知られる高木侃(ただし)さんによると、宗教施設に駆け込み、最終的に国家権力が離婚を仰せつける制度は、世界に他の例がない。

 ▼その東慶寺に残る古文書について、ユネスコの世界記憶遺産の登録をめざして、申請書が提出されたという。折しも、井上ひさしさんの小説『東慶寺花だより』を原案にした、映画も公開中である。かつて日本に存在した、女性の人権を守るユニークな制度をぜひ、世界に広く知ってもらいたい。

 ▼もっとも、ストーカー行為やドメスティックバイオレンス(DV)の被害は、ますます深刻になっている。女性が安心して駆け込める、現代の縁切り寺づくりが先決である。

2015.6.18 05:05更新 産経

 

山門。江戸時代には街道に面して大門があり
現在の山門は中門で男子禁制の結界だった。

東慶寺の参道

 

(画像はウイキペディアより)


「スリに注意」という看板の近くにはスリがいる…

2015-06-16 06:44:19 | 日記


 「スリに注意」という看板の近くにはスリがいるという話がある。こんな注意書きを目にすれば、少なからぬ人が反射的に自分のポケットの財布が盗まれてはいないかと確かめる。スリはそれを見ていて、財布のありかを知るというのである。

▲米評論家の書いた「詐欺とペテンの大百科」(青土社)にある話だから、これはスリには世界的常識か。悪知恵にたけた連中にかかっては善良な人々への注意すら悪事に利用される。日本年金機構の情報流出の罪深さは詐欺師らにそのタネを山ほど与えたことだろう。

▲問題発覚後初の年金支給日となったきのう、機構側は年金が振り込まれていなかったり、本来の受給額と違っていたりしたら年金事務所の窓口や専用電話窓口に相談するよう呼びかけた。その一方で機構側から加入者に直接電話することはないと繰り返し訴えている。

▲先に年金情報流出後初の関連詐欺と報じられた事件では、年金機構や消費者相談センターの職員、弁護士などを名乗る人物が入れ替わり電話してきて個人情報の流出を告げたという。不安につけ込んで被害者を取り巻くウソの状況を信じさせる劇場型の手口であった。

▲高齢者にだまされないよう呼びかける年金機構や警察の注意や警告すら、詐欺師どもは彼らの劇場の舞台装置として利用しようとする。受給者としてはもしも何か異変があれば、常に自分の方から警察や年金機構に問い合わせたり、相談したりするように心がけたい。

▲被害者を受け身の状況に追い込み、信じさせたいことを刷り込もうとする詐欺師らの手口である。自分からかける1本の電話で崩れるそのたくらみだ。

2015年06月16日 毎日新聞


安保法制審議 「学説」も現実的観点から分析を 大阪大学副学長・星野俊也

2015-06-15 06:53:37 | 日記

 安全保障関連法案の審議が衆院でスタートしたこともあり、各紙が論戦のポイントや流れを解説している。新しい概念やさまざまなケースが検討されていることもあり、国民一般にはわかりにくいかもしれない。そうしたなか、論戦のフォローが難解な理由の一因に「法律論」と「政策判断」の混乱があると3日付産経は指摘するが、この区別は重要だ。

 例えば、中東・ホルムズ海峡での機雷敷設というケース。新法制の下、これが国の「存立危機事態」を構成すると認定されたならば、国際法上は武力行使に含まれる機雷掃海活動に日本が従事することも例外的には可能と想定されるようになるが、それは法律論である。

 野党側は「掃海に行って攻撃されたらどうするのか」と問うとしても、戦火のなかでの掃海は「政策判断」によって排除すべきだろうし、そもそも触雷を防ぐために船体が木材やプラスチックで非磁性化された掃海艇を戦闘地域に派遣することは無謀に過ぎる。

 他方で、世界できわめて高い評価と期待を集める掃海技術を持つ日本にとって、その能力を発揮しうる機会が迂遠(うえん)な法律論によって失われることもまた避けなければならない。

 ところで、今回の論戦には、法律論と政策判断に「学説」も加わった。衆院憲法審査会に参考人として出席した憲法学者が揃(そろ)って法案の根幹となる集団的自衛権行使の限定容認を違憲と明言したためだ。勢いづいた野党は法案撤回の要求に出るが、学説は1つでなく、法律や政策判断につなぐには精査が必要だ。

 結局のところ、議論の本質は、世界のなかの日本の立ち位置にかかわっている。「『存立危機事態』という言葉は落ち着かない」と1日付毎日の「風知草」は書き、この新語には「歴史がない。文化=社会伝承の蓄積もない」と不安げだが、国家の存立は、当該国の国柄にもよるが、国民の幸福はもとより国際秩序の安定をも左右する最も基本的な条件である。これまで法律や政策や学問がこうした問題を直視することを敬遠してきたとすれば、それこそ落ち着いてはいられない。

 グローバル化が進む今日の世界で日本が存立を唱えても、それは「一国存立主義」ではあり得ない。その一方、憲法の平和主義を非戦平和の理想に結びつけた「一国平和主義」が通用しないほどに世界は複雑化している事実に目を瞑(つむ)ることはできないはずである。

 安保法制を報道するメディアには、決まったプリズムで論戦の行方を追うのでなく、法理や実務や学識からの情報を現実的観点から受け止めた分析を求めたい。

                ◇

【プロフィル】星野俊也

 ほしの・としや 昭和34年群馬県出身。東京大大学院修了、国際公共政策博士。元国連日本政府代表部公使参事官。


2015.6.14  産経


人工島

2015-06-14 10:39:53 | 日記

2015/6/14付  産経

 かつて南太平洋のマライタ島の住民はサンゴ礁に石で造った人工島に住んでいた。本島に通い、畑作や交易をしていた。マラリアを防ぐためなど理由は諸説ある。中でも、世界の始まりを語る「創世神話」を再現しているという説が、太古の青い海へ空想をかきたてる。

▼釣り針が海底にひっかかり、引き上げると島が浮上する。何もない海に突然、陸地が現れ世界が始まる。南太平洋には「島釣り神話」と呼ばれる創世神話が広がっている。文化人類学者の後藤明南山大教授によると、人工島を造って住むのは「創世神話の再現であり、祖先に感謝し、海の民の誇りを確認する意味がある」。

▼中国には島を探す話が伝わる。海の向こうに神の島がある。黄金の宮殿に仙人が住み、不老不死の薬がある。薬を求め始皇帝など歴代皇帝は大船団の探検隊を派遣したが、いずれも失敗した。この伝説を再現したい、島を探そうと考えたはずもないが、ここ数年、南シナ海などへしきりに船を出し、海洋活動を強めている。

▼南沙諸島では南洋の神話も顔負け。なければ造ればいいとばかり、岩礁を占拠し、埋め立てて島を造成した。ついには、滑走路や桟橋、ビルまで建てた。ただの人工島ではない。実態は立派な軍事基地だ。そこには海の民の誇りはかけらもない。幸せの妙薬どころか、不測の衝突も招きかねないリスクが膨らみ続けている。

 

ポートアイランド、神戸空港(点前)

 

南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で進めている人工島

 

 

 


憎むべき敵は

2015-06-12 10:26:46 | 日記

 千葉県成田市にある曹洞宗の寺院「長寿院」で、住職を務める篠原鋭一さんは20年前から、自殺志願者の相談に乗ってきた。最近はオレオレ詐欺をめぐる悲劇に心を痛めている、と小紙のネットニュースが伝えていた。

 ▼近畿地方の30代の女性は、夫をかたる犯人に大金を奪われた。現金を工面した親からなじられ、なりすまされた夫は自殺、女性は「後を追います」と電話で何度も繰り返していた。「だまされた家族を責めてしまった」。自殺した被害者の遺族からの告白も悲痛である。言うまでもなく、憎むべきは詐欺犯たちである。

 ▼大量の年金個人情報が流出した日本年金機構のずさんな対応が、また明らかになった。流出の確認後もさらに約1週間、インターネット回線がつながったままだった。泥棒の侵入がわかっていながら、戸締まりを怠っていたわけだ。批判の声が一層高まるのは当然である。

 ▼ただ、忘れてはならないのは、機構はあくまで被害者であり、問題の本質は、誰が何の目的で情報を盗んだのか、ということだ。「犯人」はおそらく、オレオレ詐欺犯とは次元の違う、途方もなく大がかりな組織である。

 ▼米国でも連邦政府の人事管理局が、サイバー攻撃を受けて、職員約400万人分の個人情報が流出した。米メディアは、政府高官や議員の話として、中国が関与をしているとの見方を伝えている。サイバー戦争は、攻撃側が圧倒的に有利だといわれている。宣戦布告のないまま、いつ始まってもおかしくない。

 ▼実は日本の官庁や企業を狙った攻撃は、毎日のように起きている。安全保障関連法案のなかでも、サイバー攻撃は本来、重要な論点のはずだった。政治家が、年金流出問題を政争の具にしている場合ではない。

6月12日 【産経抄】

 

<memo>

http://www.symantec.com/ja/jp/theme.jsp?themeid=apt_insight

 


ハチミツ、風呂、棺おけ、あごひげ…

2015-06-11 10:20:22 | 日記

 ハチミツ、風呂、棺おけ、あごひげ……これらはロシア帝国を建設したピョートル大帝が次々に課税していったものである。うちあごひげは身分別に税額を定め、街の入り口に徴税役人を配置して通りかかった人々のひげをチェックした。

▲もっともこのひげ税は西欧風の近代化のためにロシア土着のひげを切らせるのが目的で、大帝自ら貴族らのひげをそったという。歳入面での歴史的税制改革は国内の全男子の「魂」への課税で、つまり従来の世帯税を人頭税に変えたのである。民衆には大増税だった。

▲さて近々日本で砂糖に課税されることになるかも……こんな話を耳にして、厚生労働省のホームページにある保健医療2035という提言書を見た。同省の有識者懇談会が公表した提言だが、なるほどたばこ、酒と共に砂糖の健康リスクを挙げ、課税を提案している。

▲砂糖のとりすぎを防いで医療費を減らし、しかも保健医療財源を確保する国の一石二鳥策である。なるほど世界には高カロリーの食品などに課税する国があり、世界保健機関(WHO)も肥満対策の一案として推奨する。ハンガリーの通称ポテトチップス税は有名だ。

▲だが一方でデンマークでは一度は導入されたバターなどの「脂肪税」が食品価格上昇を招いたと撤廃に追いやられた。仮に日本で砂糖への課税が実現するとしたら、食品の基礎材料であるだけに影響ははかりしれない。消費者だけでなく食品業者の反発も大きかろう。

▲健康を守るといわれても、「ご親切に」とは言いにくい。国民の健康を気づかう親切の向こうにちらつくのは、かつては魂にまで課税した国家の性(さが)である。

毎日新聞 2015年06月11日


米アップル:音楽聴き放題 月1250円、30日から

2015-06-09 14:08:38 | 日記

 【ワシントン清水憲司】米アップルは8日、音楽3000万曲以上を月9.99ドル(約1250円)で聴き放題にする定額配信サービス「アップル・ミュージック」を30日から世界100カ国以上で開始すると発表した。日本でも提供する見通し。

 アップルの従来の音楽配信「iTunes」(アイチューンズ)は個別の曲を購入して端末にダウンロードしてから再生するが、新サービスは曲を受信と同時に再生するストリーミング方式。アイチューンズで音楽配信市場を席巻したアップルだが、最近はストリーミング方式の聴き放題サービスを売り物にした新興勢力が伸長。アップルもストリーミング方式に参入する。

 アップル・ミュージックは、視聴履歴など利用者の好みを踏まえた曲を「おすすめ」として配信。ニューヨークなどで活動する有名ディスクジョッキー(DJ)による24時間ラジオも提供する。アップルのクック最高経営責任者(CEO)は8日の発表会で「音楽の楽しみ方を永遠に変えてしまうだろう」と自信を見せた。

 アップルのスマートフォン「iPhone」(アイフォーン)やタブレット端末「iPad」(アイパッド)などに30日から配信。最初の3カ月は無料で試聴できる。ライバルの米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使った端末にも今秋から提供する

 2015年06月09日  11時24分  毎日新聞


フランス人、夏季休暇2カ月の効用

2015-06-07 11:25:15 | 日記

 

バルセロナ近郊のビーチで日光浴を楽しむ(5月15日)=AP

 

 6月に入った今、欧州各地のオフィスワーカーは当然、夏休みに思いを巡らせている。

 フランスでは、夏季休暇は「les grandes vacances(大バカンス)」として知られている。フランス人労働者にとっては年間2カ月の休暇が標準であることを考えると、それも意外ではないはずだ。フランス人は手厚い年間休暇手当を享受するだけでなく、企業は年間休暇のうち12日を一度に連続で与えることを法的に義務づけられている。

 フランス電力公社(EDF)では、大勢のスタッフがそれ以上に大規模な休暇を得ている。2000年に導入された週35時間労働制の結果として、また、EDFのスタッフの多くが週間所定労働時間を超えて働いていたために、多くの人が埋め合わせとして年間10週間の休暇を得ることになった。EDFは今、この慣行を抑制しようとしており、3万人の従業員に対し、休暇の日数を27日間に減らす見返りに一時金支給ないし昇給を提案している。

 EDFの過度に甘やかされた労働者の例はフランス全体の病の兆候と見なしたくもなる。労働市場の改革が進められているが、正社員はまだ、他の労働者に認められていないさまざまな手厚い恩恵を受けている。これは雇用主が正社員の採用を心底渋る理由の一つだ。有期雇用契約は今、過去最高水準に達しており、新規採用者の80%を占めている。

■フランス人労働者の生産性、独や英より高く

 幾分皮肉なことに、欧州連合(EU)統計局によると、フランス人労働者の生産性が欧州最高の部類に入り、ドイツや英国の水準を上回っているのは、企業が新たに人員を採用するよりは、むしろ省力化プロセスに投資することを選ぶためだ。

 だが、フランス人は我々より多くの余暇を楽しんでいるという認識は、全く間違っている。実際の労働時間で見た経済協力開発機構(OECD)の国別ランキングによると、フランスの労働者は平均してドイツの労働者より年間100時間多く働いており、ドイツの年間平均1400時間に対し、フランスは1500時間に上っている。確かに、両国(そして、その他欧州諸国の大半)はこの指標でOECDの加盟国ランキングの下位を占めている。つまり、比較的長い休暇を取ることは、単なるフランスの現象ではなく、欧州全土の現象だということだ。

 実際、旅行予約大手エクスペディアは「vacation deprivation(休暇不足)」という見事なネーミングの調査を手掛けており、この調査は欧州の人々が全く苦しんでいないことを示している。欧州の人が毎年取る平均28日間の休暇は世界平均より12%多い。有給休暇と有給公休日に対する法的権利を与えているOECD加盟国のうち、上位12カ国は欧州の国だ。オーストリアが合計35日の有給休暇を与えているのに対し、日本はわずか10日、米国に至ってはゼロだ。

 もしかしたら、欧州の人たちの贅沢な休暇手当は、この地域が世界の競争力ランキングで後れを取りつつあるもう一つの理由なのかもしれない。

■1925時間がしきい値 超えると下がる生産性

 だが、学術的な研究は、もっと多くの大バカンスを取ることは実際、生産性にとって良いということを示している。

 2011年に国際労働機関(ILO)によってまとめられた調査では、大半とは言わないまでも多くの米国の産業で、より短い労働時間がより高い時間当たり生産性と関連していることが分かった。1950年以降の年間労働時間の増加が時間当たりの生産性と関係した度合いを調べたOECD加盟国18カ国(大半が欧州の国)の分析では、一定の労働時間増加に対する生産性の反応度は常にマイナスだった。

 年間労働時間が1925時間の節目を突破すると、労働時間が1%増えるごとに生産性が1%近く低下することが調査で分かった。

 日本の労働市場は欧州の大部分と同じ課題をたくさん抱えている。具体的には、生産年齢人口が減少しており、そのギャップを埋める移民が十分にいないという問題だ。その日本では、企業は人材を呼び込むことを期待してEDFと正反対の方法を採用している。例えば、商社の伊藤忠商事と衣料品チェーン「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは短時間勤務制を導入しており、政府は労働者が最低でも年間5日は有給休暇を取ることを義務づける法案を提出した。

 欧州の企業は日本の問題を抱えたいと思うかもしれない。日本では、ビルの電気を消すことで職員が午後10時以降働くことをやめさせようとした厚生労働省の取り組みが無残にも失敗し、10月には代わりに夜遅くの残業を全面的に禁じるルールが導入される。

 だが、生産性の向上は、労働者の勤務時間を延長した結果でもなければ、労働者がコートダジュールやコスタブラバで過ごす年間の週数を減らした結果でもないのだ。

(2015年6月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 

2015/6/5 日経