気の向くままに

終着はいつ、どこでもいい 気の向くままに書き記す

老いゆく高島平団地に人口減社会を憂う

2016-02-29 14:07:51 | 日記

 先週土曜日付の小紙に掲載された2枚の写真は、歳月の重みを残酷なまでに映し出す。東京都板橋区にある「高島平団地」の同じ場所を撮影したものだ。

 ▼団地の入居が始まった昭和47年、赤ちゃんを抱き上げる母親の背景には、大勢の人の姿が見える。ところが44年後の現在は、つえをついたお年寄りが1人ぽつんと歩いているだけだ。

 ▼平成27年の国勢調査で、日本の総人口の減少が初めて確認された。かつての「東洋一のマンモス団地」の人口も、最盛期の半分になった。しかも高齢者が半数以上を占め、1人暮らしや空室も目立つ。まさに少子高齢化がさらに進んだ、日本の未来の姿である。

 ▼『絶品!東京リアルめし』というNHKの番組が先日、その一角にある交流施設を紹介していた。住民ボランティアが交代で、日替わりランチを提供している。耳が不自由で家に閉じこもりがちな90代の女性は、施設で食事をしながら筆談で会話するのが、何よりの楽しみだという。ランチ作りに参加して、初めて団地内で友達ができたスタッフもいる。

 ▼地方自治の取材で、20年間全国各地を歩き続ける相川俊英さんによると、地方の衰退は目を覆うばかりだ。「消滅可能性自治体」の表現もけっしてオーバーではない。ただそんな状況のなかでも、全国有数の高い出生率を誇る長野県下條村のように、活性化の成果を上げている地域がある(『奇跡の村』集英社新書)。

 ▼共通しているのは、国や自治体に頼らず、自分たちで自立をはかろうとする、住民の意欲と覚悟だ。「明るく楽しく生活する住民がたくさんいるところに、人は移り住むようになる」ともいう。高島平団地の再生も、まず住民の幸福感をいかに引き上げるかが、ポイントになる。

2016.2.29 【産経抄】

<所感> 

 高島平団地は、住民の半数近くが65歳以上という状況にもかかわらず、「シニアの楽園」と呼ばれるほど住みやすいと評判である。

 スーパー、食堂、病院、介護センター、郵便局、銀行、消防署、警察など、生活に必要な施設がほとんど歩いて行ける距離にあるとのこと。

http://www.nikkeibp.co.jp/atclgdn/gdn/15/308316/15072200/

イメージファイル(iso file) とビデオコンバーターについて

2016-02-28 16:38:55 | 日記

 

イメージファイルとは

http://www.gigafree.net/faq/word/imgfile.html

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ISO%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8

 

 

使い方

 

http://freesoft.tvbok.com/freesoft/dvd_copy/handbrake.html

 

ビデオコンバーターの使い方

http://eizone.info/freemake-video-converter/

 

http://eizone.info/freemake-video-converter/

落ち目の三度笠

2016-02-27 18:54:44 | 日記

 

 


 


   黒のこころに 白が惚れて
   意気が絡む 十九路
   打った石が  絡み合う
   今宵聞くは  軍艦マーチ

   
   意地の筋金 度胸のよさも
   いつか落ち目の 三度笠
   云われまいぞえ ヘボの果てと
   さとる局面 探す一手

  
   渡る十字路 乱れて乱れ
   次はいずこの 勝機やら
   心しみじみ 聞くBGM
   またも騒ぐか 白の風

 

   今日のゲームは5勝9敗だった。さて、5分5分に持ち込もうか・・・。あと3時間ほど椅子に座れるかやってみよう。

 


シャープは「遠い星」を追い求めることができるのか 「従業員の雇用は守る」…その約束を信じたい 

2016-02-26 15:19:11 | 日記

 シャープの創業者、早川徳次さんを主人公にした、芝居が、昭和49年に上演されている。『遠い星』という題名だった。当時80歳のご本人は、「恥ずかしい」と照れていた。

 ▼東京生まれの早川さんは、幼い頃に養子に出され、小学校を2年で中退する。丁稚(でっち)奉公先で身につけた金属細工の技術を生かして、19歳で独立を果たした。3年後に発明するのが、後に会社の名前にもなる、シャープペンシルである。

 ▼ところが、大正12年の関東大震災で工場は全焼、妻と2人の子供を失った。大阪へ移って、ラジオの国産第1号を完成させたところで、舞台の幕は下りる。「遠い星」とは、逆境のなか気持ちを奮い立たせて追い求めた「希望の星」を指す。会社は、戦後もいくつもの危機を乗り越え、世界初、日本初の製品で業界をリードしてきた。

 ▼そのシャープが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に6600億円で買収されることになった。鴻海は「鴻飛千里 海納百川」に由来する。大きな雁(がん)は千里を飛び、海はすべての川を納める、という意味らしい。

 ▼社名の通り、小さな町工場は40年間で、世界最大のEMS(電子機器受託製造)企業にまで、大きく羽ばたいた。一代で築き上げた郭台銘会長もまた、立志伝中の人物といえる。「従業員の雇用は守る」、との約束を信じたい。もちろん、先端技術の流出はあってはならない。

 ▼実はシャープには、恩義がある。駆け出し記者時代、悪筆が一番の悩みだった。ワープロの「書院」との出合いがなかったら、仕事を続けていられなかっただろう。わが家の居間に鎮座するのは、「亀山モデル」の液晶テレビ「アクオス」である。ファンの一人として、「遠い星」へと続く、再生の歩みにエールを送る。

 2016.2.26 【産経抄】

生きているだけで出世できるのはやはり…

2016-02-24 18:08:42 | 日記

 五感の中でも味覚で察する季節ほど、旬を逃して心残りなものはない。とりわけ滋味に富む冬の食材は、舌の肥やしになる。舌鼓は打てるときに打っておきたいが、不作や不漁の知らせだけはどうにもならない。

 ▼富山湾名産の寒ブリは、あまりの不漁に旬を告げることもできなかったようである。氷見漁協はこの冬、ブランドとして売り出す「ひみ寒ブリ」の開始宣言を断念した。不漁の理由は定かでない。能登半島沖の海水温が高く、富山湾に立ち寄るはずのブリが素通りしてしまった、との説が有力という。

 ▼〈いなだまでなりあがりたるわかなごの出世はみえた御奉公ぶり〉と狂歌にある。「若魚子」と書くワカナゴはブリの幼魚で、40~60センチに成長すればイナダと呼ばれる。奉公先での真面目な仕事ぶりに、出世魚の前途を重ねている。

 ▼江戸時代のブリは、出世した後も改名に忙しかったらしい。富山湾で水揚げされた「越中ブリ」は、牛馬の背に揺られて飛騨高山に行き「飛騨ブリ」を名乗った。さらに野麦峠を越えて松本に運ばれ「松本ブリ」に名を改めている。

 ▼十数年前のサラリーマン川柳に、〈ブリはいい!生きてるだけで出世する〉とあった。古今を問わず縁起物としての変わらぬ人気ぶりは、出世魚の面目躍如であろう。名産地の富山が忘れかけた頃に、「お久しブリ」と豊漁に沸くようでは寂し過ぎる。次の冬こそは、と海の神様に念押ししておく。

 ▼暖気から転じて、厳しい寒気に覆われた2月も出口が近い。伊豆半島では早咲きの河津桜が見頃という。この冬、不漁ではなく懐具合の寒さゆえに味わい尽くせなかった、海山の幸を思い連ねてみる。フグにアンコウ、ボタン鍋…。季節とは、舌に未練を残して去るものらしい。

【産経抄】 2016.2.21 


悪いのは侵略した白人、東亜民族解放した日本は誇りを…オランダの市長挨拶から再び戦後体制の是非を問う

2016-02-23 15:28:54 | 日記

 戦後日本社会は敗戦によって独立・主権を失い、「満州事変からのシナ事変・大東亜戦争は日本の侵略戦争」と、極東国際軍事裁判で断罪したマッカーサー占領軍総司令官によって作られた。それを唯々諾々と認め、占領軍におもねり、東大教授など高い地位を得た日本の「進歩的」学者や教師、マスコミ、官僚、政治家によって世論はリードされた。

 さらに彼らはソ連・毛沢東中国の社会主義・共産主義にあこがれを持ち、日清・日露戦争、台湾・朝鮮併合をも侵略と断罪した。そして、「日本はシナ事変では南京で市民を虐殺した」「従軍慰安婦として女性を強制連行した」と歴史を捏造(ねつぞう)。日本の歴史を「真黒」にする一方、一般市民を無差別大量虐殺した米軍の広島・長崎への原爆投下、東京大空襲など米軍の国際法違反行為や白人の有色人種への人種差別には目をつぶり、米国製日本国憲法を有り難がる。

 そのレジーム中で若者は「クリスマスだ」「ハロウインだ」「バレンタインだ」とアメリカ製文化に踊らされ、国家が侵略されたら「逃げる」という。これが戦後日本の体制・戦後レジームの実態なのである。

 『物事を動かす原動力は精神にあり』。精神が間違っていたら、どのような才能も努力も結果は無残である。オウム真理教で「サリン」を製造した「医師」を見れば分かる。日本の歴史を「真黒」と見る精神では、若者たちに明るい未来はない。

 諸外国の青年と比較して、日本の青年は極端に自国に誇りを持てずにいる。原因は「日本真黒歴史教育」なのである。

 そこで先月の「現代を問う」では、日本を断罪した張本人のマッカーサー元帥自身が「東京裁判は間違っていた」「あの戦争は日本の自衛戦争だった」という米国の国会での証言を紹介した。

 今月はもう1人、後に内務大臣になったオランダ・アムステルダム市のエドアルド・ヴァン・テイン市長の平成3年、傷痍軍人会訪蘭に際してのあいさつを紹介したい。

 「戦前のオランダは、アジアに本国の36倍もの大きな植民地インドネシアがあり、石油などの資源産物で本国は栄耀栄華(えいようえいが)を極めていました。今のオランダは日本の九州と同じ広さの本国だけとなりました。あなた方日本は『アジア各地で侵略戦争を起こして申し訳ない』『諸民族に大変迷惑をかけた』と自分をさげすみ、ペコペコ謝罪していますが、これは間違いです。あなた方こそ自らの血を流して東亜民族を解放し、救い出す、人類最高の良いことをしたのです。なぜならあなたの国の人々は、過去の歴史の真実を目隠しされてあるいは洗脳されて、『悪いことをした』と自分で悪者になっているが、ここで歴史をふり返って真相を見つめる必要があるでしょう」と話した。

 そして「本当は白人が悪いのです。百年も三百年も前から競って武力で東亜民族を征服し、自分の領土として勢力下にしました。植民地や属領にされて、長い間奴隷的に酷使されていた東亜諸民族を解放し、共に繁栄しようと、遠大崇高な理想を掲げて、大東亜共栄圏という旗印で立ちあがったのが、貴国日本だったはずでしょう。本当に悪いのは侵略して、権力をふるっていた西洋人の方です。日本は敗戦したが、その東亜の解放は実現しました。すなわち日本軍は戦勝国のすべてを東亜から追放しました。その結果、アジア諸民族はおのおの独立を達成しました。日本の功績は偉大です。血を流して闘ったあなた方こそ、最高の功労者です。自分をさげすむのをやめて、堂々と胸を張って、その誇りを取り戻すべきです」という。

 マッカーサー証言、そしてこのあいさつを知っても、なお「日本暗黒歴史観=日本悪者・侵略国家=日本の伝統否定=皇室否定=国家の存立よりも人権が大切」と現行憲法9条の死守を叫ぶならば、それはエドアルト市長がいう「洗脳された」「哀れな反日日本人」というしかないだろう。「愛国心」という精神なき業績は、歴史には残らない。

 2016.2.23 産経 west 森靖喜【現代を問う】 より

<所感>
 私も、この記事と同様な認識である。
しかし、70年間洗脳されたて来て、いまさら「真実はこうである」と言ってみても、覆水盆に返らずである。 

22日は「竹島の日」

2016-02-22 12:16:06 | 日記

22日は島根県が定めた11回目の「竹島の日」。問題が解決に向けてなかなか進まない中、もっと多くの人や後世に竹島のことを伝えるための取り組みが進んでいる。同県隠岐の島町は資料の収集施設を建設。県議らは当日、国会議員や市民らと意見を交わす「国民交流会」を初めて開く。

 資料の収集施設は隠岐の島町北西部の久見(くみ)地区に今春、オープンする。町が4250万円をかけ、町有地約160平方メートルに木造平屋の建物を建設中だ。

 地区は戦前、竹島周辺での漁業の拠点だった。町は国に施設建設を要望してきたが、実現していない。「竹島を語れる人が少なくなり、資料が埋もれる恐れがある」と松田和久町長(71)が整備を決めた。

  

(2016年2月22日 デジタル朝日) 


近々の所感

2016-02-20 19:25:46 | 日記

 

 

 一週間ほど前に教室の会計さんから「教室の代表になれば」と先生の前で言われた。「他の人にお願いすれば」との趣旨の言葉を返した。素直に受ければよかった、と考えながら帰宅した。

 陰に陽に先生やみなさんの役に立てる時、場所、場合はあるだろうと思い直した。


「『さあやるぞ』 区切りのコーヒー 7杯目」…

2016-02-18 14:10:07 | 日記

 「『さあやるぞ』 区切りのコーヒー 7杯目」。第一生命サラリーマン川柳のホームページで歴代作品を見れば、職場でくつろいでしまう方々の句も目立つ。あげくに「わが社でも 無駄はないかと 俺を見る」という目にもあう。

▲「打ち合わせ 次回の日時を 決めただけ」には大きくうなずく方もおられよう。もっとも「静けさや 空気読む人 眠る人」ともなれば何やら怖い静寂である。現実には仕事熱心な人がいてこその手抜きやサボりだろう。

▲「君の職場は何人くらいの人が働いているの?」「半分ぐらいかな」−−は米国のジョークだが、アリの世界でも働きアリのうち2〜3割は働かないアリなのだという。今までの研究では働くアリだけのグループを作っても必ず一定の割合で怠けアリが現れるそうだ。

▲北海道大学などの研究チームは日本に生息するシワクシケアリのコロニー(集団)を観察し、働かないアリは働くアリが疲労した時の交代要員であるのを突き止めた。最初に働いていたアリが疲れて休むようになると、今まで働いていなかったアリが働き始めたのだ。

▲働くアリだけの集団は一斉に疲れて働けなくなり、滅びてしまう。一見非効率な働かないアリは集団の長期的存続には欠かせぬ存在だったのだ。またシミュレーションでは働き度合いがばらばらの集団の方が勤勉なアリだけの集団より生き残りに有利なのも分かった。

▲「人は皆有用の用を知るも、無用の用を知る莫(な)きなり」。役立たずと思われるものにも大事な役割があるという荘子(そうし)である。高校の漢文を思い出し、8杯目のコーヒーを飲み始めた方もいるかもしれない。

毎日新聞2016年2月18日 東京朝刊  余録


昔々、机に向かったまま居眠りしていたら「沈思黙考か」と耳元でそっと言った上司のことを思い出した。


中村天風の言葉

2016-02-17 13:51:21 | 日記

昨日もゲームに熱中してしまった。

つい先ほど起床。

天風さんのお言葉が聞きたくなった。

 

天風さん曰く

 

力を入れることに
重点を置かずに、

力を働かすことに
重点を置く。

 

明日に死を迎えるとしても、
今日から幸福になって
遅くないのです。

 

<👀も>   

 CCRC 「Share金沢」では、入所者に対して太極拳を取り入れているようだ。130000円/月 食費別

   

「生涯活躍のまち(CCRC)の先行モデルとされる金沢市の「シェア金沢」を地元の馳文科大臣と共に訪問して参りました。(石破茂)

 安倍首相も森元首相と訪問した。

 

 


寒さに負けず雪中梅…金沢で開花

2016-02-16 18:41:19 | 日記

 

 

 

 15日の県内は、強い冬型の気圧配置の影響で各地で雪が断続的に降り、厳しい寒さとなった。

 金沢地方気象台によると、午後9時現在、県内全11観測地点のうち、金沢市や七尾市など10地点で最低気温が氷点下を記録した。強い冬型の気圧配置は17日まで続く見込み。

 同気象台は15日、金沢市西念にある標準木の白梅が開花したことを受け、金沢市内で梅の開花を発表した。暖冬で12月と1月の気温が高かったため、平年より11日早かったが、この日は枝に雪が積もり、「雪中梅」となった。

2016年02月16日yomiuri online


「すべてを疑い」ポジティブに生きる

2016-02-15 18:19:44 | 日記

こんにちは、園田涼です。

 僕は高校の卒業式で、大好きだった先生にこう言われたことが今でも衝撃として残っています。「すべてを疑いなさい」。

 僕の中高時代の友人にNという男がいて、風貌は見習いの板前さんのようだったけれど、頭脳は間違いなく天才でした。高校在学中に数学オリンピックで金メダルを獲とり、東大医学部に入学した後、数学者になるために転部。大学1年生の頃から大学院生の研究施設に寝泊まりし、大学の定期試験では誰よりも遅く試験会場に入り、誰よりも早く試験会場を出て行く。まさにヒーローのような男です。

 彼は、とある数学の試験で「この問題はこうこうこうで、理論の破綻している部分がある。つまり、問題として破綻している。以上」と解答用紙に記述して、その結果教官は確かに問題にミスがあったことを認め、その試験を受けた生徒全員が「優」をもらったという伝説まで作ってしまいました。彼にそのことを後で聞いたら「まぁ、そんなこともあったかなぁ」と涼しい顔。ヒーローは多くを語らない。

 

 グアムでライブ!ビーチサイドでの演奏、最高でした

 

バンマスの優しい言葉にびっくり

 とにかく、この話からもわかるように、東大の先生でさえ、一番の得意分野で間違えることがあるわけです。この話に乗っかって今の自分を擁護すると、本番で弾く音を間違えることも当然あります。もちろん、人によって、ミスが多い/少ない、ミスをしたときの対処が上手うまい/下手という違いはありますが……。

 昔、僕があるライブで、ミスをやらかした時がありました。終演後、バンドマスターに謝りに言ったら「いいよいいよ、間違うことはみんなある。人間だもの」と相田みつをさんもびっくりの優しい言葉をいただいて、それからピアノに向かうのが少し楽になりました。今は、観客の方もどこかでそういう人間らしさを求めてコンサートに来られるんじゃないかとさえ思っています。ミスのないピアノ演奏を聴きたいなら、自動演奏ピアノを聴いてればいいわけだから。いや、もちろんノーミスの演奏を目指して、日々努力はしてますけれども……もごもご……。

 人間だもの、というのは本当に重みのある言葉だと最近つくづく思います。確かに僕たちの社会は人間が集まって出来ているから、完璧なんてことはまずありえないのです。それぞれの人がそれぞれのやり方で完璧を目指すし、僕だってこの言葉を本番で間違えたときの言い訳に使うつもりはないけれど、例えば学校の先生が、贔屓ひいきのプロ野球チームが負けた次の日にカリカリしてたっていいじゃないですか。先生も人間。生徒も人間。

 それで話は冒頭の「すべてを疑え」という話に戻るのですが、これは一見ネガティブな言葉に思えるけれど、その実はとてもポジティブで、この気持ちでいると「それ、ほんとかな?」と、自分の生き方がけっこう主体的になります。読売新聞のヨミウリ・オンライン(YOL)で連載させていただきながらちょっと書きにくいけれど、新聞やテレビが間違えることだってあるわけです、正直言って。この世はけっこう嘘うそで溢あふれかえっているのです。

 オークラフロンティアホテルつくばでのディナーショーにて

 

そのカラクリは完璧に現実世界だった

 最後に、いまだに僕が「疑っている」話を。

 小学校の国語の教科書に「えいっ」という話がありました。熊の親子が登場して、お父さん熊が「えいっ」と赤信号を指差すと、ぱっと信号が青になって「お父さんすごーい!」と子どもの熊が感動する話(と書くと、まったく何も伝わらないな)。

 この本を授業で読み終えたあと、先生が子どもたちに聞きました。

 「なぜ、お父さんが『えいっ』とやると、信号は青になるのでしょう?」

 ある女子生徒は答えました。

 「お父さん熊には不思議な力があって、赤信号をすぐ青信号に変えられるから!」僕も彼女が正解だと思いました。

 しかし先生は言いました。

 「違います」

 そこで、また別の男子生徒が、お父さん熊みたいに得意げな顔で手を挙げて答えました。

 「お父さん熊は、もう一方の信号が赤になったのをこっそり確認して、その瞬間に『えいっ』とやってるんだと思います!」

 すると先生、

 「正解! S君に拍手!」

 …この時のショックはいまだに忘れられません。熊が服を着て言葉を喋しゃべっているファンタジー世界の中、「えいっ」のカラクリはこれ以上なく完璧に現実世界だったのです。

 僕は大人になった今でも、お父さん熊の指先にはこんなちっぽけな現実を飛び越える魔法の力が宿っていたんだと信じています。そしてあの時、こう先生に逆質問しておけば良かったとも思うのです。

 「先生、この熊の親子はどうして服を着て、人間の言葉を話すんですか?」

2016年02月15日 05時20分 YOMIURI ONLINE 中高生新聞より 


その施設を囲むヒイラギの垣根は…

2016-02-14 15:10:38 | 日記

 その施設を囲むヒイラギの垣根は3メートルほどの高さがあったという。人目を避けると同時に入所者が逃げ出さないようにするためだった。東京都東村山市にある「国立療養所多磨全生園(たまぜんしょうえん)」。かつてハンセン病患者がいわれなき差別を受け、隔離された場所の一つだ。

▲垣根は患者と肉親を分かつ厚い壁でもあった。元患者の家族約60人が「家族も深刻な差別の被害を受けたのに国は対策を講じなかった」として、国に謝罪と賠償を求める裁判をあす起こす。

▲一人の詩人がいた。塔和子(とうかずこ)さんは愛媛県に生まれ、戦時中の1943年、13歳で発病した。両親と引き離され、瀬戸内海の小島にある療養所に入所する。3年前に83歳で亡くなるまで詩を書き続けた。

▲「痛み」という作品はこう始まる。<世界の中の一人だったことと/世界の中で一人だったこととのちがいは/地球の重さほどのちがいだった>。しかし生きることを諦めなかった。

▲人は無の中から生まれ、無の中へ消えていく。その寂しさをいっそう深く感じているのは、孤独の中で生と死に向き合う療養患者ではないか。そう思った塔さんは心に決めた。「この存在しているさびしさを、どこへすがるべくもない生きているさびしさを、療養者という壁を、せいいっぱい生き抜くことによって克服したい」。

▲今なおヒイラギのトゲのように差別や偏見は残る。それでも塔さんは詩と出合い、力いっぱい生き抜いた。そして無に返り、願い通り両親の眠る古里の墓に分骨された。家族に迷惑をかけぬようにと、70年にわたって本名を伏せてきた。墓碑にはその名「井土(いづち)ヤツ子」が刻まれたという。

毎日新聞2016年2月14日 東京朝刊 余録


「年相応の姿」と・・・

2016-02-12 13:59:30 | 日記

 平らな場所でつまずくとか、膝が痛むとか、わが身の年を思い知らされることはたくさんある。ずいぶん前、頭のてっぺんが寂しくなっていることに気付いた時は「来るべきものが来た」と苦笑いした

▼韓国ドラマ「冬のソナタ」がブームになったころ、毛髪川柳コンテストでこんな句があった。〈頭見て『冬のアナタ』と笑う妻〉。ちなみに最優秀賞の句は〈頭見て敬語使うな年下だ〉である。現実をカラッと笑い飛ばす才能に、あらためて拍手したい

▼個人差はあるが、年を取るにつれて髪が薄くなるのは男女に共通する悩みである。「年相応の姿」と受け入れる人もいる一方、「何とか長持ちさせたい」と願う人もいる。どちらの気持ちもよく分かる

▼先日の本紙に、薄毛になるのは毛をつくる細胞を生み出す「幹細胞」がダメージを受けて、脱落していくためだとする研究結果が載っていた。東京医科歯科大などのチームがマウスを使った実験で解明した。「脱毛症の治療法開発に役立つ可能性がある」とのコメントに希望を抱いた方もおられよう

▼いつか"新薬"が開発され、毎朝1錠を服用すると黒々とした髪がふさふさと春風になびき...という時代が来るかもしれない。人は欲張り。「髪だけでなく老眼もシワも」となりかねない

▼夢の実現は未来に託すとして、気分だけは若さを保ちたい。読者文芸欄にあった一首を思い出す。〈背広より作業着のほうが似合いきて定年後の夫若返りたり〉田中とみ子。われも、かくありたし。


2016/02/12 08:30 新潟日報 【日報抄】


「楽観主義者と悲観主義者はともに社会に・・・

2016-02-11 12:08:32 | 日記

 「楽観主義者と悲観主義者はともに社会に貢献している。楽観主義者は飛行機を発明し、悲観主義者はパラシュートを作った」。劇作家のバーナード・ショーはいう。市場も同じく強気のブル(雄牛)と弱気のベア(熊)が相場を形成する・

▲日銀のマイナス金利導入決定後の為替や株式、債券市場が大揺れである。10年物国債の利回りがマイナスとなったのは政策の帰結とも受け取れるが、急激な円高と株価低落は想定外というしかないだろう。市場を制圧したのは世界経済の先行きへの弱気のベアだった。

▲原油安や新興国経済の失速への懸念に加え、欧州の金融機関の信用不安も浮上して動揺する世界の金融市場である。言い知れぬ不安が広がる中、リスクの回避を求める投資家らはパラシュートに殺到した。それが比較的安全とみられる円や日本国債だったわけである。

▲投資や消費をうながすはずだった日銀のマイナス金利政策も、不安と疑心暗鬼のもたらす円高、株安にのみこまれた形である。こうなってみれば銀行株の急落や預金金利の低下をもたらしたマイナス金利に「不安を増幅した」とのうらみ言が出るのも成り行きだろう。

▲「楽観主義者はドーナツを見る。悲観主義者は穴を見る」は作家のオスカー・ワイルドの言葉である。2%の物価上昇目標実現への日銀の強い意志を示すとされたマイナス金利導入だったが、見ていたものが市場の参加者と日銀とではまったく違っていたようである。

▲猛獣使いよろしくブルやベアの心理をサプライズ効果で操ってきた金融政策への市場のしっぺ返しだった。返された危険信号は正確に受け止めてほしい。

毎日新聞2016年2月11日 余録