毎日新聞 2015年05月18日 01時17分(最終更新 05月18日 06時30分
17日、大阪維新の会の記者会見であった橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事の主なやりとりは次の通り。
橋下氏 大阪市民の皆さん、本当に重要な意思表示をしていただきましてありがとうございます。大変重く受け止めている。ぼくが提案した大阪都構想、市民の皆様に受け入れられなかったということで、やっぱり間違っていたということになるんでしょうね。本当によくいろんなことを考えていただいて、かなり悩まれたと思うし、非常に重い重い判断をされたと思うが、日本の民主主義を相当レベルアップしたかと思う。大阪市民の皆さんが、おそらく全国で一番、政治や行政に精通されている市民ではないかな。
また、これだけ多くの税金を投入して大阪都構想というものをずっと進めてきた。特に大都市局、大阪府、大阪市の職員も、幹部はかれこれ5年以上ぼくに付き合ってくれている。大都市局以外にも関係各局の職員、相当なエネルギーを割いて、ここまでぼくに付き合ってくれて、最後こういう結論になった。あまりにも納税者の皆さんに対して失礼な言い方かも分からないが、政治家冥利につきる。本当にありがたく思っている。
松井氏 この悩ましい問題に対し、二者択一の賛成か反対かという判断を求めた。本当に悩まれて判断された結果だと思う。この結果を真摯(しんし)に、謙虚に受け止め、賛成、反対双方とも問題があるというのは出たので、残された任期は精いっぱい、さまざまな問題解決に向けて働きたい。大阪府庁でも多くの職員が一生懸命、大阪都構想に向けて努力をしてくれた。支えてくれたみんなにお礼を言いたい。究極の民主主義で決まったので、しっかりと残りの任期を働いていきたい。
−−敗因は?
橋下氏 ぼく自身に対する批判もあるだろうし、都構想について説明しきれなかったぼく自身の力不足。
−−市長の任期満了で政治家を退くのか。
橋下氏 市長任期まではやるが、それ以降は政治家はやらない。これは前から言っていたことだ。
−−市長だけでなく政治家は一切やらないのか。
橋下氏 弁護士やりますから。維新の党の法律顧問として雇ってもらえないかと、さっき江田(憲司)代表に言った。まだ返事はもらっていない。
−−結果とはうらはらに笑顔に見えるが、その気持ちは。
橋下氏 自分なりにやってきたつもり。38歳からやってきて、無理してきたところもあるでしょうし。公の仕事でお返ししないといけないという思いから政治の世界に入ったが、有権者の皆さんからすれば、「橋下、お前やってきたことおかしいじゃないか」といろいろあるでしょう。自分なりには、悔いのない政治家としての7年半。あと半年あるが、思う存分やらさせてもらった。
−−70万人が大阪都構想に賛成した。数を見て進退について気持ちの微妙な変化はないか。
橋下氏 いや、ない。政治だから負けは負け。ここは公務員と違うところだ。昨日の街頭演説では、完全に戦をしかけた。たたきつぶすと言って、こっちがたたきつぶされた。この民主主義ってのはすごい。これだけの大層なけんかをしかけて、負けたのに命をとられない。ぼくはまた普通に生きて別の人生を歩める。絶対に民主主義のルール、体制は是が非でも守らなきゃいけない。そのためにはやっぱり報道だ。報道の自由は民主主義を支える根幹だから、メディアに頑張ってもらいたい。
−−過去にも自身の進退発言をくつがえしたが、100%辞めるのか。
橋下氏 また2万%と言わせたいんですか。あの時は番組の収録を抱えていて、「どうしても出ない」というふうに言わないと放送ができなかったので、ああいう言い方をした。もう政治家はぼくの人生では終了です。
−−12月まで市長を続ける。将来、もう一度政治家になる可能性はあるか。
橋下氏 ないですよそんなの。まず一つは、住民の皆さんの気持ちをくむ。負けるのだったら住民投票をしかけるべきでない。その判断が間違っている。住民の皆さんの考えをくみ取れていなかった。それは政治家として能力が一番欠けているところです。政治家は嫌われちゃいけない。民主主義である以上。僕みたいな政治家が長くやる世の中は危険。みんなから好かれる、敵のいない政治家が本来、政治をやらなければいけない。敵を作る政治家は本当にワンポイントリリーフで、いらなくなれば交代。権力は使い捨てが一番。それが健全な民主主義だ。ぼくみたいな敵をつくる政治家がずっと長くやるなんて世の中にとって害悪。でも8年間、僕みたいなスタイルでやっているのだから、大阪も相当問題を抱えていたのかもしれない。
−−維新の看板政策が今回否定された。今後はどうするのか。
橋下氏 維新の党の方は分からない。ふがいない(大阪維新の会の)代表で、メンバーに多大な迷惑をかけたが、次のリーダーをしっかり選んでもらって次のリーダーにしっかり引き渡していきたいなと思う。
−−大阪維新の会では役職を退くのか。
橋下氏 引き継ぎをどこかでやらないといけないと思っている。
松井氏 任期満了までは、われわれも仲間に入れておいてもらう。
記者会見で、互いに相手への思いを語る大阪維新の会の橋下徹代表(左)と松井一郎幹事長=大阪市北区で2015年5月18日午前0時半、川平愛撮影
<所感>
斬新な発想と実行力のある人。言い訳をしない、謝るべきところは謝る、、戦うべきところは戦う。
政界を引退との表明は寂しい気がする。