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「ソリテス・パラドックス」という逆説がある…

2017-06-15 18:05:16 | 日記

 「ソリテス・パラドックス」という逆説がある。ソリテスは「積み上げられた物の」という意味だが、日本では「砂山のパラドックス」ということが多い。砂山はその砂を1粒取っても、砂山なのは変わらない。

▲さらに1粒、また1粒取っても砂山だが、いつか最後の1粒になっても砂山かといえばもちろん違う。では何粒以上が砂山だと決めようにも線引きができない。砂山という言葉のあいまいさと連続的な変化の間に生まれる逆説である。

▲「組織的犯罪集団」と「一般人」とは縁遠く聞こえる。だがこれも砂山と同じく線引きできないあいまいな言葉だと明らかにしたこの間の国会論戦だった。共謀罪あらためテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議のことだ。

▲政府答弁の示すところ、一般人は捜査対象でないとの説明は当局が捜査対象にしない人は一般人だというのにすぎぬようだ。法相が捜査対象に新たに組織的犯罪集団の「周辺者」を持ち出すはめになったのも境界のあいまいさからだ。

▲審議を通じて国際条約締結に不可欠という説明にすら疑義が生じたこの法案だった。なのに摘出された疑問はすべて放置したまま、参院委採決を省略しての本会議での採決だという。審議は形だけの儀式かと慨嘆する方も多いだろう。

▲異例の国会運営の背景には加計問題追及の舞台となる会期の延長を避けたい政権与党の思惑があるという。国会が政府の専横を抑止する民主主義の砂山からごっそりと砂の固まりを取り去っていくのは誰か。

毎日新聞2017年6月15日 東京朝刊

<所感> テロ等準備罪は国民にとって両刃の剣ではなかろうか。

<👀も>

 



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