6月17日ブログで「ゴッドディーラー酒匂隆雄氏は何故リアルで敗退したか」にてその失敗の要因に触れた。今回は、その反省に基づいて「あのフィボナッチピボット手法のどこをどう変えれば、勝てる手法に変身させることができるにか」について述べてみることとしたい。
一、FiboPivotのS1とS2(同じくR1とR2)の間隔が狭すぎる
酒匂さん提唱の手法では、毎朝一番にその日のピボット各数値を取得して、S1,S2には買い、R1.R2には売りの指値注文を入れるのであるが、酒匂さんお使いのFiboPivotはS1とS2間、及びR1とR2間の幅が狭すぎる。その関係で、相場が逆行した際には両方のポジションがほぼ同時にストップに掛かることが多かった。そこで、S1とR1の計算値を次のように変更した。(New FiboPivot 下図2)
R1 = P + (R * 0.382) 酒匂手法では、R1 = P + (R * 0.500)
S1 = P − (R * 0.382) 酒匂手法では、S1 = P − (R * 0.500)
酒匂式ピボット(ドル円1時間足)
NewFiboPivot(ドル円1時間足)
サポート、レジスタンスともσ1とσ2の間隔がかなり広がった。
二、最大の誤りは指値注文
酒匂さんは元敏腕ディラーとして、セミナーでは逆指値の有効性をかねて説かれていたにもかかわらず、しろふくろう氏のFiboPibotにほれ込まれ、毎朝4個の指値注文を出しておくという不本意な誤りを重ねられたのである。ピボットの戦略であっても逆張りとして使うのではなく、順張りとして利用すれば、たとえ相場が逆行して次々とσ3やσ4を突破しても、損切りとなって終わる確率は大幅に減少する。このことは特殊逆指値の有利性を述べた前ブログを再度確認したいところである。しかしながら、リアルトレードを主催した外為どっとコム社をはじめとする日本の業者では、そのような注文はそもそもできなかった。酒匂さんが朝一番、R1,R2,S1,S2に逆指値を仕掛ける環境はなかったのである。MT4のEAを使えば問題は簡単に解決する。以下にその利用方法を述べる。
三、NewFiboPivotのEAの使い方
ここで提案の手法は、NewFiboPivotを朝一番に仕掛けるところは酒匂さんと変わらない。しかし、特殊逆指値であるからEAは起動されれば、逆指値のチャンスが来るまで、延々とマーケットをウオッチし続ける。EAを起動させても酒匂手法のように注文がすぐ出されるわけではない。この逆指値は将来の価格に基づく逆指値なのである。実際の数字で示してみよう。
前掲のチャ―トによると現在の相場は109.975、S1,S2,R1,R2の数値は各順に109.826, 109.609, 110.526, 110.743となっている。EAの論理式はS1を例にすると例えば次のようになっている。
「もし、相場が下げて109.706(S1より10ピップス下)を付けたなら109.806(S1)に逆指値の買い注文を入れよ。ストップはS3(109.259)に利確値はPivot Point(110.176)に置く。さらに、もしポジションに10ピップスの利益が出たら、その時点でストップをS3からエントリー価格に変更して以降この取引で負けないようにせよ。(One Time Trailing Stop)
もし、相場がS1を突破して下げ続けた場合には、逆指値注文109.806は待機注文として残るだけでポジションを取ることがない。これを通常の指値注文を置いていたらどうであろうか。S1に達すれば即買いのエントリーとなり、相場が下げ続ければ含み損は増大、ついにはストップが付いて実現損という結果にもなろう。EAを使った特殊逆指値であれば不要なポジションは取らずに済むことになる。
因みに本日のドル円1時間足でこのEAを動かしてみた結果は、次のチャートに如実に示されている。
もちろん、EAは朝の6時(サ―バ―時間0:00)から稼働させているが、相場がS1より10pips下げた3時17分(日本時間9:17)にS1(Ask)に買いの逆指値注文が出されている。ところが、この逆指値注文はこの日ポジションを取ることはなかった。相場は、その後も下げ続けてS1に戻ることはなかったからである。S2の逆指値注文についても全く同様であった。結局、この日のドル円では、ポジションは取ることはなく、2本の逆指値注文は、プログラム通り22:00(日本時間午前4時)に取り消されている。当然損益はゼロということであった。
もし、酒匂方式でトレードに臨んでいたらどうであっただろうか。指値注文であるから、相場がS1とS2に達した瞬間(日本時間午前9時台)にポジション化している。その後、相場はそれぞれの損切り値S3,S4にまで達したから、ロットが各1万ドルとすれば、おおよそ5,700円の損失で終わっていた。指値を使うのはとても危険であることを知らされる1日であった。
筆者は酒匂さんのファンの一人でもあって、氏のセミナーには会場又はウエッブで必ず参加していた。また、彼の持論である逆指値の使い方(例えば逆指値の逆指値)は教わった通りに実行して何の問題もなくFXを楽しんでいたものである。その酒匂さんがしろふくろう氏の怪しげな理論に乗ってしまったのである。大変残念な思いであったが、やっとそのリベンジのできる日がやってきた。
注)本EAは、現在もテストを続けていますが、未だ公開に足る結果が得られておりません。