トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

新米FXトレーダから脱却したと思えた時とは

2021-05-29 14:47:43 | 投資

 数年前、とあるFX研究グループに参加して世話役を務めていたことがある。名前だけの会員も含めると150名近くいたが、月に1~2回の会合には20名近くが集まって活発な意見交換がなされていた。

 毎回、プレゼンターが決まっていて、各自のFX作法や経験を紹介することも多かった。経験談の中では、難しいといわれるFXトレードで「いかに生き残ってきたか」や「これでFXトレーダとしてやっていけると確信した瞬間」等も披瀝してもらった。その中では、「逆指値の注文が普通にできるようになったとき」というのが目を引いていたのを記憶する。

 逆指値と言えば、ポジションの損切り注文がそれであるし、また、高値を買う注文や安値を売る注文のいわゆる順張りの取引手法である。いずれも、FXを始めるにあたり、指導者の先生から口を酸っぱくして語られていた教訓である。ストップを入れておくと、2回に1回は損切りに終わる。一流のトレーダが6割の勝率があれば、大成功と言われる世界である。好成績を残す自動売買ソフト(EA)でも勝率は5割未満というのが大半であることを考えると、逆指値(ストップ)注文がいかに重要であるかが理解できる。

 同じストップでも損切り注文は損失であるのに対して、逆指値による新規注文は順張りの注文であり、利益の源泉である。損小利大には以下に逆指値注文が大切であるかは、単純な思考回路からも再認識させられる。

 単純なナンピンではなく、計画的な分割売買で考えてみよう。現在のドル円相場が、110円であるとき、50銭間隔で、109.50、109.00、108.50、 108.00と各1万ドルずつ買い下がる注文で考えてみよう。トラップ取引やトラップリピートIFD取引に多い戦略である。

 ドル円が思惑通り、円高に向かっているとしよう。FXを始めて間もない方は、早速、109.50から108.00まで4本の指値注文を出されるかもしれない。その場合、ドル円が急速に進んで107.00まで下落したら大変である。4本の指値注文は成立し、大きな含み損を抱えた計4万ドルの買いポジションを持つことになる。

 上の注文を出す場合には、もう一つの注文方式がある。相場が110.00の段階では、現値より安い買いの逆指値注文は出せない。出せるのは、指値注文だけである。逆指値注文を学んだ人の答えはこうであろう。

「相場が109.00に落ちたところで109.50の買いの逆指値注文を出す」。

大正解です。しかし、一つ問題があります。相場が110.00から109.00まで下がったのが、貴方が夜眠っている間に起こっていたが、翌日目が覚めた時には、元の110.00に戻っていた場合は、この注文を出すことができません。眠っている貴方に代わってこのようなサービスを引き受けてくれるFX会社は現在存在しません。

 幸い、MT4でトレードしていれば、この問題は簡単に解決します。貴方が夜眠っているときも、システムがマーケットを常時監視し、上の取引で言えば、相場が109.00(109.25でもよい)になった瞬間に109.50の買いの逆指値注文を発出してくれます。相場が110.00に戻っていれば、50銭の含み益を持つポジションを有していることになります。

 これをトラップリピートIFD(通称トラリピ)に応用すると、上の例で、相場が107.00に下落した段階では、109.50、109.00、108.50、108.00の4個の逆指値注文が出されています。注文が残っているだけであり、未だポジションとして成立していませんから、損益はありません。MT4では、注文時には証拠金も要求しませんから、資金残高の心配をする必要もありません。相場が反転し、再び110台に戻ってくる場合には、各注文が次々と約定して、あたかも順張りのトロール漁のように利益を確定していきます。

 トラリピやループイフダン等の業者の提供するシステムでは、将来価格に基づく逆指値注文を受けることは現在のところできていません。膨大なシステム投資を伴うからです。

 トラリピが初心者にも勝ちやすいと言われる理由は、百万ドル単位のプロにはまねのできない取引手法であり、彼らの市場かく乱行動はトラリピにとっては、利益チャンスともなりえるからです。

 TrapTradeSystemは通常の指値注文のほか、逆指値注文方式を装備していますので、初心者の方のベース取引としてお勧めです。

https://mtstudio21.com/

 

 


「1分足スキャルピング」と「〇〇AI Strategy」の解体と再生

2021-05-26 17:23:33 | 投資

 過去3回に亘って「最強のFX、1分足スキャルピング」と人工知能(AI)と称する手法に対する批判を述べてきた。批判を加えたからには、それらに対する筆者的解決を提供すべきであろう。1分足スキャルピングに対しては、正しいEnvelopeを提供することであり、「〇〇ストラテジー」に対しては、その人工知能(AI)と詐称する売買シグナルの実体を明らかにして、これを白日の下に提示することである。

 今回は、上記2者を一気に解決するインディケータを開発することにより、両者の持つ不都合さを同時に解決させようと考える。

一、1分足スキャルピング

① オリジナル仕様

 中心となる移動平均線(EMA20)と12本のエンベロープを一度に描画できるインディケータATR Envelopesを開発した。「1分足本」の考えは、プライスの0.01%, 0.015% ・・・とエンベロープのデフォルトの考えに基づいているが、これでは1分足以外では利用できない。しかも、「1分足本」ではこの数値を10倍位大きい0.10%、0.15%・・・とする誤った数値を採用していたため、そもそもエントリー不可能なものであった。下図は「1分足スキャル本」の誤りを訂正した13本構成のエンベロープとその設定画面である。パラメータの数値は変更可能であり、且つ13本のエンベロープは一挙に表示することができるように6 tier envelopesなる新しいインジを作成した。

② 汎用エンベロープを開発

 「1分足本」のオリジナル仕様は、非常に窮屈なつくりである。まず、エンベロープは計13本、逐一設定しなければならない。この点は、テンプレートを用意して問題の解決を図ることができるが、時間軸を変えると、もはや設定数値は不適切となる。5分足や15分足を利用してスキャルに近い取引をしている人も多いが、そのような場合にはその時間軸に適した%をトレーダー自身が探索する必要がある。そこで、通貨ペアや時間軸にとらわれない汎用性のあるエンベロープの開発にあたった。その通貨ペアや時間軸に特有な変動幅(ATR)があるから、ATRをベースにしたエンベロープを作ればオリジナルが持つ不都合さは解決される。以下がはATR Enveropusとその設定画面である。(GBPUSD1分足)

 過去200期間のATRの移動平均値をベースに計算しているから、時間軸や通貨ペアを問わずに利用できる。1分足でスキャルピングをされるトレーダーにもできるだけこのATR Envelopesを使っていただきたい。スキャルピングのみならず一般的なデイトレにもそのまま使い続けることができるからである。

二、〇〇 AI Strategy対策

 このMT4インジは、その論理式を公開していないから、勝手に人工頭脳(AI)と名乗れば、一般にはそうかなと思われそうだが、テクニカルやMT4に詳しい人であれば、その赤と黄の売買シグナルは単にSuper SignalというMT4のインディケータに過ぎないことは自明である。Super Signalにもいろんな種類があるが、見たところありふれた代物である。

 以前、筆者が作成した改良版のSuper Signalを5分足のEURJPYに表示させてみよう。〇〇ストのサブチャートに表示されている2本の曲線は、これまたありふれたオシレータ・インディケータとそれを平滑化したものに過ぎない。

Super Signalの設定画面により、その意味するところを説明したい。

パラメータの説明

① fractal1 & fractal2

このインジでは青と赤の矢印と青と赤の×印から成り立っている。同じインジで期間が違うものが二つあると理解していただきたい。とりあえずは、主として、矢印のみに留意していただければよい。フラクタルの考え方は、現在のローソク足から振り返って過去の最高値または最安値はどれであったかを発見するものである。厳密ではないが簡略に述べると、fractal(21)とは今から過去の21本前のローソク足の最高値または再安値を求めるものであるから、そんなものをもとめても、これから行うトレードには何の関係もない数値である。しかしフラクタルが完成した経過をみると、たとえ当時、矢印が出ていなかったとしても、結果的には、そのローソク足こそ実は最高値ないしは最安値だったということがある。

 一つの考え方として、現在の足が過去10本のローソク足の最高値であるとして、もし、次の足から下降に転じて更に10本の足が最高値を下回ったならばフラクタル(21)が完成することになる。そこで、案出されたのがSuper Signalなのである。

 かりに、現在の足が過去10本の足の最高値としよう。そして、その時点で最高値であることを示す赤い下向きの矢印を発生させておこう。もし、更に次の足で高値を更新するようであれば、その足に矢印が移るようにする。次の足のことなど誰にも分からないことであるから、とりあえず最高値である旗印を立てておこうというのがSuper Signalの考えである。

 最高値であったかどうかは、ローソク足が2~3本経過してみると見えてくる。10本もローソク足が高値を重ねてきたのだから、下降に転じる公算が大きい。それゆえ、サブチャートに表示されるオシレータの動きで売り買いのタイミングを計ろうとするものである。これを人工知能(AI)というならば、それは人間並みの浅知恵というもの。

② fractal2

 fractal1と同様のものであるが、期間を短く設定することができる。利食い、損切り、増玉(ピタミッディング)等に利用可能。

③ space1、space2

 矢印やx印がローソク足と重ならないようピップスでスペースが調整できる。

④ ArrowWidth1、ArrowWidth2

 矢印とx印の大きさを変更することができる。

⑤ SoundAlert、MailAlert

 デフォルトではfalseにしているが、これらをtrueにすると、矢印が出ると、パソコン上アラート音を出したり、スマホにメールで知らせてくれたりする。

三、両インディケータの合体

 上記EURJPYの今度は15分足チャートにATR EnvelopesとSuper Signalを同時に表示させてみた。

 通貨ペアや時間軸に拘わらず利用ができるから、1分足ではスキャルピング、5分足では〇〇AIストラテジー、その他の時間足ではデイトレ等その利用方法は無限である。エンベロープの代わりにボリンジャーバンドを表示させてもよい。

 「1分足本」や「〇〇スト」が教える方法はそのまま使える一方、筆者からのお薦めとしては、いずれの取引においても「13本エンベロープが平行線に近ければ、売り買いの逆張り、13本がともに上昇していれば、青の買いシグナルのみ採用、13本がともに下降していれば赤の売りシグナルのみを採用」すると勝率が上がる。

 なお、サブチャートはStochasとその移動平均に過ぎないので、RSIをはじめとしてオシレータ・インジで各自試していただきたい。

1分足エンベロープ及び汎用性にあるATR Envelopesはこちら

Super Signalsの改良版は既にこちらで展示中。


MT4 デイトレとスキャルピングについて【その三】

2021-05-24 16:35:19 | 投資

 【その一】及び【その二】ではFXトレードで指導者的立場をとる人の中には、その講演や著書において見逃せない誤謬が発見されることがある。たとえ、それが意図的でなかったとしても、何の訂正や断りごともなく4年にもわたり増刷を続けるという行為は大いに非難されてもよい。

(二)AI Strategyなる手法はAIとは無関係

 「人工知能が生み出す、次世代の最新FXツール」として人気を得ている商品がある。そもそもMT4やMT5のプラットフォーム上で人工知能(AI)を構築するなど不可能であることは周知の事実であるし、ウエッブを経由するパソコンのシステムではいわゆる「HFT」(超高速度取引)もとても手の届かないものであることは、FXトレーダーの殆どが知っている。

「ドラスト」とか「ブラスト」と称するいわゆるMT4 チャート・システムはAIとは何の関係もない既知のインディケータの組み合わせを仰々しく表現したものに過ぎない。FXないしはMT4に未だ不案内な人々に誤解を与える目的で誘導しているとしたら、それは大きな罪であろう。

① 売り、買いを示す下向き及び上向きの矢印

 これはSuper Signalsという種類に属するMT4インディケータの中の一つである。そしてサブチャートに描かれる2つの曲線の一つはRCIまたはストキャス等のオシレータ系インディケータ、もうひとつのなだらかな曲線は最初の曲線を平滑化したもので、どちらもMT4に標準搭載されている。適切なSuper Signalsを採用すれば、誰にでも同じようなチャートを描画することができる。下図は一例。

黒背景はUSDJPY、白背景はEURJPY、いずれも5分足

 因みに、筆者改良のスーパーシグナルの矢印の中間に現れるx印は期間を、矢印期間の21に対して14期間としたものに現れる中間的な高値・安値。利確・ストップ・増玉等にも利用できる。

 人工知能などという根拠のない表現に惑わされないように喚起したい。

 


MT4 デイトレとスキャルピングについて【その二】

2021-05-21 02:41:57 | 投資

 その一では、FX教本「最強のFX1分足スキャルピング」の致命的な誤りを指摘し、その訂正をした。同時に完成した12本(中心線を加えると13本)のエンベロープを単に1分足で使うのみならず、同じ考えを全通貨ペア、全時間軸でも利用できるように一つのインディケータとして作成をした。

検証 ① 修正後の最強のFXベース、1分足(EURUSD)

検証 ② ほぼ同時刻のEURUSD1分足ATR(200)ベースで作成したもの、全通貨ペア、全時間軸共通で使える。

検証 ③ 「最強の1分足」をそのままUSDJPYの1時間足に表示すると、時間軸や通貨ペアが異なると、もはや利用できない。

検証 ④ ATR EnvelopesをUSDJPYの1時間足に表示すると、そのまま利用できる。

因みに、ATR Envelopesの設定画面は、下記のようになっており、バンド幅等は自由に変えることができる。

 上記検証から結論的に申し上げられることは、

「最強のFX」で1分足に限って語られているのは、最初の50ページ程度で、その他150ページではFXトレードに関する一般論が展開されている。5分足や30分足を使ってスキャルまがいのトレードをする方が多い現実から見れば、この窮屈なエンベロープはとてもお勧めでいない。というか、1日も早く、誤ったチャート設定と放置されているMT4チャートを差し替えられることをお願いしたい。

【その三】に続く


スキャルピングとデイトレについて【その一】

2021-05-19 18:09:56 | 投資

 2年ほど前にスキャルピングとデイトレーディングについて考察したことがあった。最初は今も増刷を続けている「最強のFX、1分足スキャルピング」という教本についてであり、もう一つはFXの人気商材と言われる「D AI Strategy」についてであった。

一、最強のFX、1分足スキャルピング

 この書籍では、1分足のチャートにEMA(期間20)を表示し、その上下に各6本、計12本のエンベロープ(Envelopes)を表示する。そして、エンベロープの幅を0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%に設定せよとある。これがまず間違い。数字が1桁大きすぎる。考えても見ていただきたい。ドル円の現値を109円とすると、その0.1%は;

109.00 x 0.1/100 = 0.109、即ち10.9銭である。そこから0.05%刻み幅は;

109.00 x 0.05/100 = 0.0545、即ち 5.45銭刻みとなる。

EMA(20)から最高ライン(又は最低ライン)までの値幅は;

0.109 + 0.0545*5 = 0.3815、即ち上下各38銭、計76銭もの大幅なバンドを描くことになる。毎日が米雇用統計発表日でもない限り、1分足がそれほど開くことはない。スキャルにそんな値幅は無用である。

 該当するページをスキャンしてみる。

 計算通りのエンベロープをMT4の1分足に表示させると何も現れない。書籍では、MT4に表示できるようにわざわざ「ここを下にドラッグする」とチャートの縮尺幅を変更するよう指示している。数値が1桁間違っていることも、表示されたローソク足がEMA(20)の上をミミズのように這いまわっており、σ1にも決して達しないことにも著者自身が気づいていない。アマゾンの書評欄にはエントリーできないとのコメントが氾濫している。肝心かなめの個所が酷い状態なのに☆5を献上している人が結構いるのは不思議な現象だ。

 この書籍は、2017年11月に発刊されている。筆者の手元にあるのは、2019年2月の第9刷とある。昨日、近所の書店に2020年6月刷版が飾ってあった。手に取ると、問題のページの数値や2-7図もそのまま、少なくとも数ページは訂正する必要があるのに、一片のお詫びも断り書きもない。

 著者に成り代わり、USDJPYに正しいEnvelopesを表示させてみる。こちらは、一挙に13本のEnvelopes描くことのできるインディケータを特別に用意した。MetaGenic Super Signal(矢印)は追加表示。

 これで、各通貨ペアの1分足には正しいエンベロープが表示されるようになったが、このエンベロープではまだまだ満足できない。もし、5分足~1時間足でこのチャートを利用しようとしても、1分足の設定では利用できないからである。5分足の%や1時間の%をトレーダー自身が探索・検証する必要があるからである。

 実はそちらもATR Envelopesとして解決済みである。一見すると同じに見えるが、ATRをベースにしているから通貨ペアや時間軸を問わない。下チャートはEURJPYの15分足。

 赤や青の矢印は、D AI StrategyやB AI Strategyが大げさに取り上げる魔法の矢印に関係する。あたかもAIで相場分析するかのように喧伝するが、それらはAIとは全く関係のない使い古されたSuper Signalの一種に過ぎない。次回には、ATR EnvelopesとSuper Signal(改良版)を組み合わせたスキャル&デイトレ兼用のScalping & Day Trading Chart Setupについて述べたい。

 少し長くなったので、【その二】に続く。

 MT Studio21では、スキャルピングとデイトレを兼ねるチャート・テンプレートを既に展示公開済みであるが、広報活動が不足しておりトレーダーの皆様に認知されていない。【その二】まで読んでいただけると、その汎用性に賛同いただけるはずである。展示済みテンプレートはこちら