友人の紹介であるFX研究会に出席した。専業の人が多く集まるという同好会ということだ。毎回、リーダーとなるべき人を選定して主としてトレード手法やテクニカルの話をプレゼンの形で行われているという。その日の内容には特筆するようなものはなく、米中問題等傍論にも議論が及んだ。会合が終わった後、流れで近くの一杯飲み屋さんで懇親会ということになった。
お酒があまり強くない上に初めての出席であったため、独り手持無沙汰に過ごさざるを得ない。頼りにしていた友人が仕事の都合で直前に出席できなくなってしまったからだ。ふと周りを見渡すと、出席者の一人で筆者と同じ事情のような人が少し離れた仕切られた席で、持参のパソコンをいじっているのに気付いた。思い切って「先輩も初めてですか?」と近づいていくと、その方も参加して間もないということで、歓迎してもらえそうな雰囲気だったので、隣に座らせてもらった。
少しお酒を飲んでお互いトレードの話でだんだん打ち解けてきた。その方Sさんは、時々開いたままのパソコンの画面にちらちらと視線を移されている。断ったうえで、チャートを見せていただくと、それはMT4のユーロドルのチャートだった。今まであまり目にしないチャートで、SさんによるとMT4チャート下段(セパレートチャート)に表示されているそのインジケータをデイトレの基本としているとのこと。因みに、Sさんは50台で家業を親族に譲り、それ以降はFXを趣味兼で専業にしているといっておられた。
筆者はテクニカル指標や自動売買ソフト作成を仕事にしている関係で、その時目にしたインジケータのことが頭から離れなかった。Sさんによると、彼はデイトレ専門で、トレードに入るのは欧州から米国時間帯。午後3時~5時頃にパソコンを開いて、その日の戦略を練る。その際に重要なことは、その日の主要通貨間の強弱の程度を観測することだという。チャートには毎日のMT4チャートがスタートする日本時間午前7時(冬時間)を同時に一線でスタートした主要通貨がそれ以降、どのような力関係で推移しているのかが一目で分かるという。その中から一番強い通貨と一番弱い通貨を選び出し、その日はその2通貨を中心にしたトレードを行う。例えば日本円が強くてユーロが弱い場合は、ユーロ円の売りのみならず、円クロスの円買い、もしくはユーロクロスのユーロ売り戦略を中心に据える。
あまり根ほり葉ほり訊くのは失礼になるので、その日は互いのメールアドレスを交換して会場を後にした。それでも、あのプロの使うインジのことが頭から離れない。ネットで探索をしたが、それに近いものはあったが、筆者の記憶に合致するものはなかった。最も困るのは最近の業者は顧客の種類に応じてその通貨ペア名を異にしていることである。例えば、通常は6桁で表示されるUSDJPYはオアンダ社ではUSDJPY.oj5k等となっているため、そのような口座ではこのインジケータは作動しない。
何とか工夫を凝らして出来上がったのが、下のチャートである。S氏が使っておられたのと印象的には同じものだ。一応、いずれのFX会社でも使えるようにした。(30分足)
上のチャートはGBPUSDの画面に表示させているので、ポンド(黄緑)と米ドル(赤)が強調されている。今は午後3時30分だが、ポンド、ドルの他にユーロと日本円を強調し、他通貨を非表示にすると下図になる。(30分足)
上記チャートは日中の各通貨の強弱を観たものであるが、より長い日足での強弱はどうなっているのかも気になる。ついでなので、そちらのインジケータも作成してみた。(日足)
この日足から判断できることは、最近米ドル(赤)の線が下降に転じている。ドルの力が弱まるとともに、他通貨の相対的な力が強まってきているように観える。
夜に入って最終的な判断を下したいが、現時点で模擬的に本日のデイトレ戦略を仮に練るとこうなる。
「日足の傾向では、米ドルが下げに転じていて、本日もこの傾向を続けるのではないか、30分足では少し戻しているが、これが再び下げ方向となった場合には、ドルストレートの同通貨売りを基本戦略とする。相手通貨は最初のチャートで日中通貨の動きを見て2~3の通貨ペアにしたい」
出来上がった二つのインジケータはヒントを頂いたSさんにもお送りしておいた。