去る11月15日、豊島久道著「メタトレーダー 4 & 5 共通ライブラリによるEA開発入門」が電子書籍(Kindle版 500円)として刊行されました。MT4/5関連で同氏の書籍は、紙本4冊を含んで今回で7冊目の出版となります。
豊島先生は2017年9月来、MT4/5共通ライブラリ開発に取り組んでこられ、計7回β版を公開されています。今回のライブラリ正規版の完成により、MT4とMT5は互換性のない言語の壁が取り払われることになり、我々メタトレ愛用者にとっては大きな福音となりました。
ところで、せっかくの贈り物も使い方によっては宝の持ち腐れとなってしまいます。就中、プログラミング言語に全く不案内な初心者には、このライブラリを使ってEAを自由自在に作成するのは困難と言わざるを得ません。文系出身でプログラミング知識など皆無のトレーダーにとっては、敷居が高すぎるからです。
最近の著者のブログ等では、MT4にてEAを作成するには、少しばかりC言語(あるいはC++)を勉強していた方がよいとのお考えを述べておられます。著者の最初の入門書はズブの素人でもわかるようにとの意図で刊行されましたが、なかなか一般に理解が進まなかったことをその理由として挙げておられました。
著者の現実的なコメントは理解できますが、実際にズブの素人からメタトレを学んだ筆者はこのお考えには反対です。C言語に関する著書は書店に山のように並んでいますが、文系人間にとってはどれも最初のページを2~3ページ読んだだけで頭痛がしてきます。それは、外国語の勉強を文法から始める愚に似ているからです。
一方、氏の最初の著書「FXメタトレーダー入門」は最初から簡単なテクニカル指標の作成にチャレンジします。ここでは、プログラムの初歩的な部分をこれでもかというほどページ数を割いて説明されています。それでも、初心者にとっては険しい道のりですが、好きなFXトレードのためと思えば、必死になって頑張ることができるのです。「配列」とか「繰り返し計算(for分)」を覚えることができればしめたものです。筆者はこの部分だけを理解するのにおよそ6ヶ月もかかってしまいました。C言語なんて正面からは決して理解することはできません。豊島先生のお説に逆らうようですが、MT4を通じて結果的にC言語の知識を得たというのが筆者の偽らざるところです。
豊島先生は、2008年以来、次のような著書を上梓されています。最初の4冊は紙本で、残りの3冊は電子書籍(Kindke版)です。
①「FXメタトレーダー入門」2008,1.3
②「FXメタトレーダー実践プログラミング」2009.10.4
③「FXメタトレーダー 4&5 一挙両得プログラミング」2013.12.3
④「メタトレーダーで始めるシステムトレードプログラミング」2014.12.31
⑤「FXメタトレーダープログラミング入門」2015.11.1
⑥「新MT4対応ライブラリによるEA実践プログラミング」2017.3.13
⑦「メタトレーダー 4&5共通ライブラリによるEA開発入門」2019.11.15
上記のうち、③と④については、MT5の環境が書籍発刊時から大きく変わったこと、ないしは、著者のライブラリがその後LibEA.mqhに統一されたことにより、現在ではEA作成には妥当しなくなっています。
プログラミング言語に不案内のMT4/5の初心者が、⑦を理解するには①と②は避けて通れない著書であると確信しています。①ではMT4インディケータやEA作成を通じてMT4とCの基礎知識を習得し、②では発展的EA作成には欠かせないライブラリの基礎を学ぶことができます。作成したインディケータやEAは現在のMT4環境でもそのまま作動します。残念ながら、紙本は在庫が少なくなっているようですが、Amazonからは電子書籍として販売が再開されているようです。