BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説23-1「ディスティニーアンダーグラウンド」

2020-04-10 16:53:10 | ★ディスティニー第23章
 おかあさん、ぼくは<まい>じゃないよ。<まや>だよ。


 お母さん、どうして僕、赤ちゃんの頃、スカートはいてるの?
 

 …お父さん、大変なの!
 真樹ったら、オール5なのよ!
 お兄ちゃんよりもすごいの!
 …お兄ちゃんも、国語と図工が5になってくれればねえ…


「麻也、お母さんは女の人だから、赤ちゃんを産む立場だから、父さん以上に、麻衣お姉ちゃんが赤ちゃんのうちに亡くなったことへの悲しみが深いんだと思う。
だから、しばらくはお姉ちゃんの名前で呼び間違えたりするのは、大目に見てあげてくれないかな」


…でも、お父さん…俺は…嫌なんだ…


「…兄貴、良かったじゃん。学園祭の女装コンテスト写真、母さんは怒るどころか喜んでたもん…お姉ちゃんが生き…あ、ごめん…」
「女装はヤだったけど、優勝賞品がメーク道具だったからね。俺は渋谷のライブでも使うつもりだよ…」
 
 
「麻也さん、俺は麻也さんを一生離さないからねっ! 諒クンの愛に安心して溺れて…」 
 
 
 …兄貴…
 目を開けると、真樹が自分をのぞき込んでいた。
「…痛っ…」
「兄貴、点滴ついてるから…」
 そう言われて麻也は辺りを見た。
 確かに自分の左手は点滴につながれていて
病室にいるのだ。
 そしてすべてを思い出す…一気に…そして…
「諒もね、入院してるんだ」
 麻也は真樹のその言葉をどう捉えればいいのかわからなかった。
 真樹の顔を見つめるばかりだった
「その…兄貴をこんな風にしたって、後悔してて謝りたいと言いながら倒れちゃってどうにか俺たちに経緯は話してくれたけど…」
 話したって何を…
 ショックのあまり麻也の意識はまた…