目隠しの寒の鯉ゐる祝膳
季語 寒鯉 主として釣り味、食味上の名目。鯉は冬になって水温が下がると水底の泥に潜って餌などもほとんどとらない。動作も緩慢であるが美味であるので、特に寒鯉といい柴漬でとったり、寒鯉釣りに出かける人も多い。釣りにくいところが釣師にとつて最上の釣り味である。歳時記抜粋。
掲句 泥水飲んでも鯉は鯉 と言われるくらい育ちが重視されている淡水魚が鯉である。海より離れた山国では、上等な魚料理の王様でもあった。祝い事の引き出物として、目隠しされた生きた鯉が器に乗せられてお膳に据えられたこともあった。ふと 戦後間もない頃を思い出した。
例句 寒鯉に揺るぎなき水重なれる 橋田憲明