桜が咲く頃、シャガの花が咲きます。
シャガの花との出会いは八歳になったばかりの頃です
遠足で行った山に、桜がたくさん咲いていました
そして、辺り一面にシャガの花が咲いてました。
まるで、幽玄の世界に迷い込んだような不思議な光景でした。
私は、桜よりも、シャガの花に心を奪われたのです。
八歳にしては変な子供でした。
幼い頃から、よく、真っ暗な宇宙を赤い雲に乗って漂う夢を見ました。
多分、三歳の時、中国大陸で終戦を迎え、四歳の秋に日本に引き揚げ
たという強烈な体験から来ているのでしょうか。
ちょっと、おませで孤独な空想家だったようです。
庭にシャガを植えたのですが、日陰でも育ち、困るほど増えます。
幽玄どころが生命力旺盛です。
でも、シャガの花のたたずまいは儚げで好きです。
母の形見である丹波焼きの花瓶にシャガの花が似合います。
母は享年65歳で逝きました。
気がついたら、今日、庭の隅に咲いていました。
これから、次々と咲き出すことでしょう。
シャガの花