娘の写真と家族写真がピアノの上に飾ってあります。
外出先から戻ると娘の写真に挨拶するのが習慣になっています。
昨日、外出して戻りましたら、娘の写真の前に私宛の封書が置いてあります。
毛筆でしたためてありました。
封書の裏には親方の署名が
気に入らないのは宛名が○○母さんへと記してあること。
私は、あなたの母親ではありませんから
「これはな~に? 遺言状?」
我ながらきつい冗談です。
親方、苦笑しながら申しました。
「後で読んでくれ」
食後、読ませて頂きました。
金婚の思いという書き出しで
結婚50年を迎えた親方の思いと私への感謝の言葉が毛筆でしたためられてありました。
照れてしまうではございませんか。
親方から手紙を貰うのは何年ぶりでしょうか。
旅行先から家族宛に手紙が来たことはありましたが。
毛筆の封書を貰うのは、結婚前のラブレター以来です。
色々あった半世紀でございます。
子育てとそれぞれの親に心を配って生きてきた人生です。
自分たちのことは二の次にして参りました。
その割には私、好き勝手させて頂いたことも多少ございましたが
どのような苦労も苦労とは思わず、その時、その時を一生懸命に生きてきました。
ただ、娘に先立たれたことだけが一番辛い出来事です。
親方の手紙の内容は内緒です。
お手紙、ありがとうございました。
どんな高価な贈り物より嬉しく思います。
これからも、私、今で通り悪妻を貫く所存故、親方さまは頑固でいてくださいませ。
そして、健康に気をつけてお互い、助け合って参りましょう。
手紙の最後に一句、したためてありました。
金婚の 値千金 春の宵
散歩道の花
山 吹
シャガ
ムラサキハナナ
ハナニラ