北の窓から(芦田っち)

PC関連と私的雑感のブログ。
2015年7月10日、カッコ内に名前を加えました。昔の友だちに気付いてほしくて・・・

特許権,知的財産権

2009-08-21 07:08:00 | 雑感
[この記事は Doblog に 2005-10-01 09:37:46 付で載せていたものです]

「『一太郎』差し止め取り消し」のヘッドラインが飛び込んで来ました.
  松下の特許「無効」 ジャスト逆転勝訴

知財高裁判決日経新聞の朝刊(2005年10月1日)ではこう書かれていました.
  ------------------------------------------------------------
  問題となったのはパソコン画面上で「ヘルプモード」ボタンを押した後に
  別のボタンを押すと,機能が短文で示される仕組み.松下は1989年に
  特許出願し,98年登録された.
  判決理由で篠原裁判長は,まずジャストの「一太郎」やグラフィックソフト
  「花子」に搭載された機能が松下の特許の構成要件に当てはまると指摘.
  仮に特許が有効ならば,これらのソフトの入ったパソコンを使った人が
  間接的に侵害することを認定した.
  そのうえで,松下の特許は「出願の二カ月前に発行された英語の文献に
  記載された発明や既知の技術などを容易に思いつくことができる」と新規
  性を否定.「特許庁審判で無効にされるべきで,特許権は行使できない」
  と,差し止め請求を退けた.
  ------------------------------------------------------------

二つの意味がある判決だと思いました.

一つは,絵文字の意匠に特許(著作権ではなく,特許権)が認められるのか
という点.
アイコンは特許になっても,ボタンは特許にならないようです.
今回は新規性が認められず却下となりました.
・・・「特許庁審判で無効にされるべき」だったと述べられており,
個人的には胸のすく判決でした.

もう一つは,この判決を下したのが,新設された「知財高裁」であること.
従来は特許権を無効にできるのは特許庁だけでした.

以下,私的雑感ですが・・・
松下がジャストを相手に訴訟を起こす意図はどこにあったのでしょう.
一太郎や花子は何万本も流通しているのでしょうから,
これら製品の差し止めはジャストには大問題.
特許料を払ってでも販売を続けるでしょう.
松下は既に(2000年暮れに)ワープロ専用機から撤退しています.
今回のアイコン/ボタンが製品に使われているケースは少なく,
ビジネス上の影響は少ないはず.
なので,松下は特許料の徴収を狙っていたのでしょうね.

松下電器産業とジャストシステムの会社の規模は,
虎と三毛猫ほども差があります.
なので,弱いものいじめなどと言われていました.

念のため,有価証券報告書(H.16年度)を見てみました.
------------------------- 売上高-----総資産額---(百万円)
松下電器産業(株)   8,713,636  8,056,881
ジャストシステム(株)   12,281    26,393
-------------------------------------------------
わぁお,これじゃ三毛猫の赤ちゃんにもなれません.
やっぱり,弱いものいじめと言われても仕方ありませんよね.

今,読みかけの本「表現の自由VS知的財産権」
(ケンブリュー・マクロード)によると,
「Happy birthday to you」の歌にも著作権があるので,
たとえばキャンプ. ファイアなどで誰かの誕生日を祝って歌うにも
ライセンス契約が必要だとか,
キング牧師の有名な演説「私には夢がある(I have a dream)」の著作権を
キング財団が所有していて,あのスピーチをCMに使ったり,
教科書に使ったりするには利用料が必要だとか・・・

松下VSジャストの話からズレましたが,
何でもかんでも私有化(特許にしたり著作権を主張したり)すると,
自由が窒息しそう・・・
発明者や創作者の利益を(妥当な範囲で)守る,
同時に発明や創作を推進し,その利用を図り公益に供するという
本来の意味が失われていくような・・・

その意味では,今回の判決に賛成.
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