良薬は口に甘し・・・

［この記事は Doblog に 2005-09-22 21:13:31 付で載せていたものです］

長年面倒をみてもらっている主治医がいます．
初老の男性です．
主治医の言うことは，それがツライことであっても，聞かなくてはなりません．

いつだったか覚えていませんが，
毎日３杯の薬を飲みなさい，と厳命されました．
・・・経口投与の薬剤です．
本来は毒性のある薬だそうです．

でも，微量の毒は薬に転じるとの主治医の仰せなので，
医者も薬も嫌いな私ですが，一応言いつけを守っています．

美人看護婦さんが飲ませてくれるなら，喜んで身を投じる覚悟はありますが，
１杯めはおっかない我が女房殿が飲ませてくれます．
２杯め以降は，自分のことは自分でするという
我が家の（守られないことも多い）原則があるため，
私が自ら調合して服用します．

霊験あらたかとまではいきませんが，
３杯めあたりになると，前頭葉の働きが鈍くなり
世の中の憂さを忘れられるようになります．

世間の人は勉強不足なので，
その状態を酩酊と呼んだりしているようです．
低迷している日本経済や我が身のおかれた状況を一時的にせよ忘れられるなら，
この薬は良薬に違いありません．

そう信じて服用を続けています．
昔と違い今は（進歩したのでしょうか）良薬も口に甘く感じられます．
数年前に薬を変えたので，そう感じるのかも知れません．

聞けば原材料は芋と米麹であることが多いとか．
おかげで毎日の３杯が苦痛ではなくなりました．

匂いや味は違っても効果は同じだと先生はおっしゃるのですが，
結果が同じなら楽に飲めるほうがいいに決まっています．
患者の気持ちも尊重する主治医ですので，好きにしなさいと言ってくれます．
実におおらかな人です．
その人徳に惹かれ，素直な患者でありたいと思っています．

なので，今夜もまた処方箋どおりに服用中です．
初めてこの主治医にめぐり合った頃と比べ，
ずいぶんと髪が薄くなり，患者の目からみても日々の苦労が察せられます．
この人の言うことは聞こう・・怠惰な私でもつい思ってしまいます．

すでにお分かりかも知れませんが，主治医は・・・私です．
主治医の言うことは，たとえ間違ったことであろうと，
聞きたい・守りたいと思います．
もちろん患者も私です．