がんの要因は過剰鉄分か=ヒトと同様の染色体変化―名古屋大
時事通信 8月30日(木)9時11分配信
実験用ラットに鉄分を投与し腎臓がんを発症させ、染色体が変化する様子を調べたところ、ヒトのがんと共通する特徴があることが判明したと、名古屋大の豊国伸哉教授らの研究グループが発表した。
研究成果は29日付の米科学誌プロスワンに掲載された。
豊国教授らは、ラットの腹に特殊な鉄分を過剰に投与し腎臓がんを発症させた後、ラットのがん細胞から染色体を抽出するなどして解析。
ヒトの腎臓がんの染色体と比較したところ、似た位置に欠損や増加などの変化が見られたという。
豊国教授は「ヒトのがんも、主に過剰な鉄分によって引き起こされている可能性がある。がんが発生する原理の解明に貢献できるかもしれない」と話している。
☆メモ
2012年8月26日の経済新聞の「今どき健康学」に掲載された江戸川大学特任教授中村雅美のコラムから一部、引用します。
【(途中略)
がんの多くは、生活習慣病の一種で未然に防げる事が判ってきた。
食生活やライフスタイルの改善で発症を抑えられる。
病気は、遺伝と環境の二つの要因が複雑に絡まって起こるが、生活習慣病は特に環境要因の寄与が大きい。
がんはその典型で、一説によると環境要因が9割以上締めるという。
といっても、難しく考える必要はない。大切なのは、毎日の食事だ。
がんを引き起こす環境要因のうち、30~35%は食事が関係しているとされる。
食物の成分や食品添加物などのほか、調理によってできた発がん物質が口から取り込まれ、がんを誘発する。
(途中略)
食事とたばこはがんの2大原因といえるが、肥満も見逃せない。
食生活やライフスタイルを正しくすれば、がんにかからず、例えかかったとしてもその進行を遅らせられる事を認識してほしい。】
とありました。
つまり、がんの約3割程度は食事が原因(がんの種類によるが)だと言っているわけですね。
ですから、がんの代替療法の食事療法によって、がんが治癒される事が以外に多いのも納得しますね。
ところで、がん治療の為の食事療法は玄米菜食がもっともポピュラーですね。
とにかく、欧米型の食生活を見直し、魚以外の肉や乳製品、卵を控え、野菜や果物を沢山摂る食事法が良いといわれています。
また、玄米のフィチンは抗がん効果が高いという研究もあります。(フィチンについては、別記事で書きます)
とにかく、まずは肉食を止める事が大切。
肉食がなぜ良くないのかは、食用動物が飼育される過程において使用されるホルモン剤や抗菌剤によって肉自体が汚染されている事や、肉に寄生している寄生虫の問題の他、諸説ありますが、今回は、名古屋大の最新の研究報告を題材にし、鉄過剰によって起こる病気と鉄過剰を防ぐ食事について考察したいと思います。
鉄分といったら、鉄分不足を連想させますが、実際のところは、鉄分不足の方というのは、人口の約23%の生殖可能年齢の女性やスポーツ選手などに限定された話であって、男性や閉経後の女性などは、鉄分不足どころか鉄分過剰になっているそうです。
以前から、鉄過剰症がC型肝炎を発症させる事が知られており、動脈硬化、活性酸素の活発化、癌などの原因となる事が判っています。
また、2000年に権威ある学会誌ランセットに、Insulin resistance, iron, and the liver(インシュリン抵抗性、鉄分、肝臓)という文献が掲載され、この論文によって、鉄分の過剰蓄積は、お酒が原因の脂肪肝炎(アッシュ)と異なる非アルコール性脂肪性肝炎(ナッシュ)といわれる脂肪肝炎の原因である事が確定され、鉄分の過剰蓄積が糖尿病、肝硬変の原因となる事が決定づけられました。
ナッシュを発症すると、インシュリン抵抗性を基とする代謝異常で脂肪が肝臓に蓄積する事により、慢性肝炎、肝臓の線維化進行、肝硬変、肝臓がんへと進展していきます。
ナッシュの識別には、肝臓、膵臓、筋肉、骨髄などに存在するたんぱく質(アポフェリチン)と鉄分(Fe3+)が結合した物質であるフェリチンの測定によって鉄分の蓄積状況を検査する事で判断します。
フェリチン値は造血系統のガン(白血病、骨髄ガンなど)、肝臓ガン、すい臓がん、大腸がんなどで増加しますので、ガン、悪性腫瘍のマーカーともなっています。
先ほども書きました通り、現代人は、生殖可能年齢の女性やスポーツ選手など一部の方々を覗いて、鉄分過剰の傾向です。
ですが、一般的に鉄分は過剰になり難いミネラルなんですよ。
植物に多い非ヘム鉄は、摂取しても90%近く排泄されるため吸収されにくく、また、植物に比べて吸収されやすい肉類や魚類のヘム鉄でさえも、植物含有非ヘム鉄に較べて10倍以上も、ふすまのフィチン酸や植物のポリフェノールに吸収阻害されます。
という様に、鉄分は吸収されにくいという性質でありながら、現代人の多くが鉄分過剰傾向にあるというのは・・・・・やはり、食文化が欧米化した事によるものだと思われます。
食用動物の肉を大量に食べているのに、ヘム鉄を吸収阻害する全粒穀物やポリフェノールたっぷりの野菜や果物が少ないという食生活によるものだと思われます。
こういった、鉄分の体内への吸収率の特徴を踏まえ、鉄分過剰にならない為の対策としては・・・・・
肉に含まれるミートファクターは植物性の非ヘム鉄の吸収を促進させる効果がありますし、また、牛肉、豚肉、レバー、マグロなどの赤みの肉は腸からの吸収が良いので、獣の肉食や、魚でもマグロなどの赤身肉は、なるべく控える事。
ビタミンCは植物含有の非ヘム鉄の吸収を促進させる効果があるので、取りすぎに注意。
*逆に、玄米菜食の方は、摂取しても90%近く排泄され吸収されにくい非ヘム鉄からのみ鉄分補給になりますので、非ヘム鉄の吸収を促進させる効果があるビタミンCは沢山食べた方がよさそうですね。
アルコールは肝臓に鉄を貯蔵させる効果が高いので、控える。
一方、鉄分の吸収を阻害してくれる、フィチン酸を多く含む玄米、大麦、ライ麦などの全粒穀物は積極的に摂りたい。
また、鉄は汗から排出されるので、適度な運動にも取り組みたい。
という事で、結論としては、がんの要因の一つとしての可能性がある鉄分過剰を防ぐ為の食事とは、これまでいわれてきた玄米菜食の健康食そのものといえますね。
マクガバンレポートで世界一の健康食と認められた元禄以前の日本食がやはりもっとも良いという事になるでしょうか。
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