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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第一部 エピローグ

2020-04-06 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 

 こうして、わたしの聖ローレンス大学一年生の夏は終わった。

 マクミラが約束した通り、KKK団の講演会は中止になりキャンパスには静寂が戻ってきた。しかし、わたしと孔明、ビルとチャックは極左団体に加担するテロリストだったのではないかと疑いをかけられて、数日にわたる執拗な取り調べを受けた。

 マウスピークスがあの三人に限ってそのようなことはあり得ないと保証してくれたのと、FBIにアポロノミカンがらみであると伝えてくれたおかげで、今回の事件も膨大な「アポロノミカン・ファイル」の一つになったらしい。

 あの時のゾンビたちが心の平静を得ていればよいと思う。

 炎上したローデン・オーデトリアムは、数年後、近代建築の粋を極めたという殺風景なコンサート・ホールに建て替えられてしまった。

 仲間たちの、その後についても語っておこう。

 孔明は元気でLUCGの活動に参加している。龍に変身した夜以降、怒りをコントロール出来るようになったのかいままで以上に技の切れが鋭くなった。

 ビルは以前から考えていたらしいが、勉強に専念するようになった。

 チャックはあの夜にお声がかからなかったことを長い間すねていたが、最近ようやくいじけなくなった。

 クリストフだけはどれだけ探しても見つからなかった。

 いったい、あの戦いの後、何が彼に起こったのか?

 マウスピークスは胸のつかえが取れたせいか、いつものナンシーに戻って元気に学生たちを指導している。

 わたしとケイティは全米ディベート選手権大会を目指してがんばっている。ルーキー・イヤーを終えて経験不足とか、もう言い訳のきかないからと張り切っている。

 しかし、わたしたちは一年後、前回とは比較にならないほどの恐怖を体験することになるのだった。

 皆さんに、その物語を語る日まで「神々のゲーム」が続いていることを祈りつつ、今宵の物語に付き合ってくれたことに礼を言いたい。またお会いする時まで、どうかお元気で。

 わたしの名はナオミ。

 愛し合う相手にはめぐまれない。

 だが、教え導くものと仲間には恵まれる運命を持った人間界にたった一人送り込まれたマーメイドだ!

 

 

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