「それだけか?」
「どういう意味だ?」
「自分でも、気づいておらぬか。第3のペルソナが育っておるのに」
「ふざけるな。怖がっているのでなければ、降りてくるがよい。目にもの見せてやるわ」
魔女たちが顔を見合わせた。
まあ、いいだろうとドルガが他の魔女たちに目配せする。リギスだけは、空中浮遊しての精神攻撃が得意だけに、不満そうな顔をしている。
「見せられるものなら、見せてもらおう。たかが人間に、どの程度のことができるか」
ドルガが言うが早いか、軽やかに四人が地上に降り立つ。
彼女たちの本性を知らなければ、天使の降臨かと勘違いしたかも知れない。それほど四人は美しかった。
ドルガは、威厳あふれる顔つきで、その「死の羽」はふれる者すべての魂を引き込む羽ばたきを持っていた。
メギリヌの白面は、気高い外面とサディストの内面を持っており、くるくる変わる性格も欠点とはなっておらず、誰でも思わず惚れ込んでしまう。
ライムは、美しかった頃の叔母メデゥーサにうり二つで、変身前の蛇のようにうねる髪と透明度の高い湖のような両眼は見る者を虜にした。
リギスは、芸術家だけあって鮮やかなオレンジと緑の着流しを生きに着こなしており、四人の中では一番人なつっこそうに見えた。
「降りてきた勇気は、ほめてやろう。見るがよい。旧式のゾンビーソルジャー軍団を越える我がミリタリー・アーティフィシャル・インテリジェンスMAI軍団を! カンザスでは遅れを取ったが、究極の戦闘能力を見るがよい。カモン・ナウ、レイモンド、サムソン、ゴーレム!」
呼びかけに応じて、MAI化されたゾンビー・ソルジャーたちが入り口から飛び出した。21世紀に入るとカリフォルニア大学バークレーによって、コンピュータと組み合わせた下半身用パワーユニットが試作されるが、あくまでそれは重量のある荷物を運ぶことが目的である。
だが、MAI軍団の目的は敵の殲滅であった。カンザスの闘いと異なり、あまりの素早さに肉眼では三人の動きを捉えることすらできない。
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