またたび

どこかに住んでいる太っちょのオジサンが見るためのブログ

鼓動が刻む8ビート

2011-04-07 08:28:00 | 震災関係
兄二人とガレキの下からコヤマ菓子店のものを探しました。
時間を忘れるくらい探し続けました。
具体的に何かを探し出すわけではありませんが、
ヘドロをかきわける手は止まることなく掘り続けました。
本当に色んなものが見つかります。
兄弟3人で同じ作業をするなんて、何年ぶりでしょうか。
みなと祭り以外では、、、覚えていません。
兄弟揃ってはなかなか記憶にないものです。
自分で言うのも変ですが兄弟っていいですよね。
小さい頃には気づきませんでした。
ようやく大人になってからいいもんだなと気づきました。

次に実家があった幸町に向かいました。

至る所から海水が逆流しています。満潮にならなくてもある程度水は残っています。
元々は普通の一般道でした。

以前はこんな感じです。あまり比較とかはしたくありませんが、
色んな人に真実を伝えたいのであえて載せます。
ヘドロの中を歩くのは大変で、すり足で歩かないと、
長靴に海水が入ってしまいます。
ちなみに靴の中に水がはいることを気仙沼弁で
「かっぽぐる」といいます。
どうにかかっぽぐらずに歩きました。


そして、ここが幸町4丁目です。
右手に公園がありました。

そして我が家です。本当に何もありませんでした。
後ろに見える家はどこからか流れてきた家です。
勝手にリフォームしてしまいました。。。。

家の跡地から見た内の脇公園です。
遊具の代わりにガレキで全体的にアスレチックになってしまっています。

家は道路に流されてしまったため、壊されて家にあったものは方々に散らばっていました。
家の屋根が見つかり、どうやら小山家のものはここにあると予測し、ガレキの中を探しました。

事前に兄がアルバムなどはどうにか救出してくれて、私が探しているのは
ドラムセットとピアノです。
高校時代にバンドをやっていて担当はドラムでした。
高校卒業後は全然触っていませんでしたが、ドラム一式は応接間に残したままでした。

探していると次兄が「あったぞ」と言って、私が駆け寄ってみると
そこには紛れもなく私の

スネアドラム
がありました!

こんな形で出会うなんて。。。
新聞配達で貯めたお金とネットオークションで売り買いをして貯めたお金で買ったPearlのドラム。
中学校の文化祭、ワンテンビル、みなと祭りでのライブ。
思い出はたくさんあります。
私は急いで掘り出しました。

叩きましたが、音は鈍く、響くことなくすぐに音は消えました。
でも私には「Like@angel」、「Cadillac」、「White Riot」、「青葉城恋唄」で
叩くスネアの音がありありと聞こえてきました。
鼓膜が破れるくらい叩いたクラッシュシンバル、すぐにネジが外れてしまうハイハット、
貼り替えを2回したバスドラ。ジョン・ボーナムのマネをして、素手でドラムをたたき、骨が折れそうになった私の右手の薬指。
一緒にいた時間は長くはなかったけど、手に取った瞬間、思い出が音ともに甦ってきました。

ピアノは残念ながら破片すら見つかりませんでしたが、
ピアノの発表会で弾いた「ff(フォルテシモ)」は未だに右手が覚えている。

心臓の鼓動がビートを刻む限り、この音楽は鳴りやむことはない。
ときに激しく、ときにやさしく、いつまでも鳴り続ける。
いい思い出をありがとう。
そう思い、スネアに別れを告げた。

空がうらやましいくらいに青かった。