時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

縁側と、蚊帳

2013年07月11日 | 懐かしい系、あれこれ

あるドラマを見ていた。そのドラマは舞台が田舎で、主人公の住む家には縁側があった。

で、縁側の前には庭があり、そこには洗濯物などを干す場所もあった。

そういう家は私が住む都心では、今ではかなり少ないはず。マンションは多くても。

縁側のある家というのは、今でも地方などに行けばけっこう見かける。

たいがい、古い家屋である。

私が子供の頃に住んでた家は、裏手に空き地があり、空き地の一角・・・ほんのせまいスペースだったけど・・には洗濯物を干す場所があったが、縁側はなかった。

なので、縁側のある家というものには、いつも惹かれていた。

で、縁側のある家には、夏などは蚊帳も良く似合う。

 

私は子供の頃に一時あずけられた祖母の家は田舎にあり、そこでも蚊帳は定番であった。

 祖母の家は当時細長いつくりになっており、家の裏手のほうに庭があった。

だが、祖母の家には、なぜか縁側はなかった。

ならばなぜ「縁側のある家には蚊帳も似合う」なんて言葉を書いてしまったかというと、祖母の住んでた地方では、縁側と蚊帳のある家が一般的だったからだ。

ついでにいえば、家の中の土間にかかる、細い「渡り廊下」も。

 

蚊帳。今の都心に住んでる子供にとっては、家の中にあるものとしては縁側以上に縁遠い存在かもしれない。

私が子供の頃にも、都心にある家家には、蚊帳を見かけたことがなかった。

ましてや今はなおさらであろう。

蚊帳は、ある程度のスペースのある部屋に設置する、虫よけの網である。感覚的には、家の中にある「虫よけの網性の部屋」「虫よけの網スペース」。

部屋が家具など色々なものがあふれている場合は、設置できない。

なので、寝室に使う場合が大半。

もっとも、ご飯類をテーブルにしばらく置いておく場合などに使う、テーブル上用の小さな蚊帳(食べ物用の蚊帳)みたいなものもあるが、この日記で取り上げているのは、6畳くらいの部屋の中で使う、人間用の蚊帳である。

田舎の家では、夏は虫よけに蚊帳をよく設置していた。

蚊帳の中に布団を敷き、その中で寝るのである。

蚊帳への出入りは、網を下からめくりあげて出入りする。

蚊帳は、けっして密閉空間ではないし、布ではなく網なので風は通す。でも網の目をくぐれない虫は通さない。

なので、風は入ってくるが虫は入ってこない・・・という優れもの。

私が蚊帳を忘れられないのは、蚊帳の中に居る時の、なんともいえない安心感である。

ちょっとした胎児気分のような安心感である。

家の中の部屋の中に、さらにもう一つの部屋があるような感じ。

家の中そのものが、ある意味「安全地帯」みたいなリラックスができる場所だが、さらにその安全地帯の中に更なる「安全地帯」がある感じだった。

なので、田舎の広い家の中に張られた蚊帳の外に出る時は、ちょっとした家内外出をする気分になった。

深夜などに蚊帳の外に出る時は、たいがいトイレだった。

でも、田舎の家は広いうえに、あたりは暗い。しかも、トイレまで少し距離があったりすると、蚊帳から出て暗闇の中を歩くのは、ちょっと心細かった。

その分、蚊帳に戻った時の安心感は格別だった。蚊帳は、虫だけじゃなく、オバケまで遮断してくれてるような気がした。

だからこそ、蚊帳の外に出ることは、闇や虫やオバケにさらされることであり、蚊帳に戻る時は魔物よけシェルターの中に戻るような気分だった。

蚊帳は網なので、蚊帳の外の世界は透けてみえたが、網がある分だけいくぶんかすんで見えた。また、それは蚊帳の外から蚊帳の内部を見る場合も同じで、蚊帳の外からみる蚊帳の内側も、いくぶんぼやけてみえた。

そんな「ぼやけ加減」「かすみ加減」が、蚊帳の内部に安心感を与えていたように思う。

ある程度は「見える」ので、誰かがいるかいないかとか、何かが起こっているかいないかの情報量はあるが、、ぼかしをいれたような「見え加減」だったので、多少の「隠れ加減」もあったのだ。

 

 蚊帳は、狭い部屋や、家具の多い部屋では設置できないし、今ではエアコンなども普及してるから窓を開けておかなくてもいいし、仮に窓などを開けはなった状態で寝たら防犯上の危険もあったりするから、都心の家では見かけることは少ないのであろう。

だがその機能から、熱帯地方、屋外活動などで、今や世界中で愛用されてるとも聞く。モスキートネットと呼ばれて。

屋外で使用する時、あの蚊帳独特の安心感は、利用者にとって大きな魅力なのではないだろうか。

 

その意味では、蚊帳はワールドワイドな存在になっていると言えるのだろう。

単なる「なつかしい道具」などではないのだ。

ましてや、現代の「蚊帳の外」になどには、いないのだ。

 

 

 

 

 


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