筋書きのないドラマ、筋書きのあるドラマ

ロッテ戦を中心に、野球を好き勝手な視点から見るブログ

和田慎二さん、逝く

2011-07-08 13:34:07 | マンガ

大好きだった漫画家、和田慎二さんが亡くなったとのこと。
大変なショックを受けた。

和田さんのマンガは、私の青春だった。
その作品の数々に私は育てられた、と言っても過言ではない。
この人のマンガの中で知った言葉や知識が、
どれだけあったかわからないのだから。

最初は「スケバン刑事」に大ハマリした。
面白くて何度も何度も読んだので、
セリフや表情や背景まで覚え込んでしまうほどだった。
だから一時飽きて、全て古本屋に出してしまったのだが、
文庫版が出たときに読み始めたら、続きが読みたくて読みたくて、
結局また全巻揃えてしまった。
それらは今もうちの書棚にある。

他にも、
特に「超少女明日香シリーズ」、そして新撰組を扱った「あさぎ色の伝説」は大好き。
「ピグマリオ」「怪盗アマリリス」も。
また、短編も好きな物が多い。
「朱雀の紋章」「深海魚は眠らない」「バラの追跡」「呪われた孤島」「銀色の髪の亜里沙」「恐怖の復活」「愛と死の砂時計」等々。

当時、それらのほとんど全ての和田慎二コミックを、
私は買い集めている。
男性ながら少女漫画家というのも、新鮮だった。

男性にしてはきれいなキャラ・絵柄、けれど、男性らしいダイナミックで迫力ある構図。
ストーリーは、荒唐無稽かと思うような設定が多々あるのだが、
豊富で幅広い知識に裏付けされているせいか、引っかからない。
その上で、次はどうなるのかと先を読み急がせる、巧みなストーリーテリング。

子供の頃ハマった時点では、ただただ面白かったから読んでいた。
が、文庫などになってから、つまり自分が大人になってから再び読んだとき、
そういったレベルの高さをあちこちに感じて、うなるばかりだった。

そして、単行本や文庫本に作品がまとまったときに、
3,4ページのマンガ後書きが必ずついていて、
裏話が披露されているのも嬉しかった。
キャラへの思い入れ、ストーリーのこだわり。
そうしたプロの精神と、
どこかのんびりとした大きな人柄を感じさせられるエッセイだった。

 

この度の訃報、本当に本当に残念です。
ご冥福をお祈り致します。

 


等身大のライター漫画「みのり伝説」

2009-09-11 18:19:57 | マンガ

10年近く前にハマった漫画を久々に読み返した

作者は「夏子の酒」などの尾瀬あきらさん。ビックコミックオリジナルに連載。コミック全9巻(1995~1998 小学館発行)。

魅力その1
フリーライターという職業の厳しさや切なさとやりがい、理不尽さや醍醐味、金銭トラブル。編集者や取材先など育まれる人間関係。そういう具体的なエピソードが面白い
フリーライターの藤田千恵子さんという方の本「愛は下剋上」(NTT出版)をベースにし、他20人近くの女性ライターさんからも取材されたそうで、なるほどリアル

魅力その2
主人公は20代後半の女性。
恋愛や結婚、仕事との両立、未婚者と既婚者の価値観の違い、30歳への恐怖……などの等身大の悩みに親近感がわく
作者は男性なのに、とても身近でありがちな女性心理に、どストライクって感じ。

??なところ
読んでいて引き込まれるのは間違いないのだけど、時々少し古い感じがする
10年ほど前の作品とはいえ、ライターさん達が扱う題材がクラプトンとかビートルズとか。
恋愛問題でごたごたしたとき、手紙をドアの下に差し込んだら、きしんだ板の目にはまって見過ごされてしまったとか……
他にもちょいちょい気になるといえば気になる……

結末も、人によって評価は別れるところかな~。
私はあまり好きではないけど、このみのりという人ならそうなるかも知れないと思えるので、物語としてはいいラストだと思う

この内容だったらテレビドラマ化されてもいいよな~と個人的にはずっと思っているんだけど……今のところ話きかないなあ。地味なのかなあ

勝手にキャスティング~~(やっぱり地味かしら……
 みのり:田畑智子
 織田さん:村田雄浩
 望月:吉沢悠
 臣伎ちゃん:石原さとみ
 行きつけのバーのママ:ミムラ
 野口さん:綾瀬はるか

以上でした


あだち充の「ナイン」

2008-11-28 18:44:05 | マンガ

野球マンガはいろいろあるが、今日はあだち充さん作の「ナイン」のお勧め

「ナイン」は、一時期少女漫画にいたあだちさんが少年漫画へ戻ったときの作品で、1978年から1980年にかけて「少年サンデー増刊号」に連載された。単行本は全5巻、小学館文庫で全3巻。

ストーリー
中学時代に陸上のエースだった主人公が、野球部マネージャーの美女に一目惚れ。その足の速さを武器に高校野球部で活躍していく。ライバル校のスラッガーやその弟、陸上部の女の子が絡む恋愛青春マンガ。

あだちさんと言えば「タッチ」「H2」「みゆき」などが有名だけれど、私はこの「ナイン」が一番好き

主人公の新見克也くんは、ヒロインのマネージャー百合ちゃんと陸上部の雪美ちゃんに好かれるのだが、確かにそれだけの魅力のある男の子  あだちさんの特徴であるが、皮肉のきいたセリフをとても生き生きとしゃべる。

百合ちゃんをめぐるライバルの山中くんと、彼に劣等感を抱き、克也を好きな雪美に惚れている弟の二郎くん。彼らも爽やかないい味を出していて、雪美ちゃんもとても可愛い。

そして何より「勝ちにこだわらない野球」の楽しさと強さが描かれているところがとても面白い

まだ読んだことがない方はぜひ。コンパクトで濃密な青春の世界を楽しめると思います。

 

 

(蛇足…)ずいぶん前だが、某マンガ原作コンクールに入賞したことがある。そのときに、あだち充さんの絵が合うんじゃないかとコメントしてくれた審査員がいて、(おこがましくも)ちょっと嬉しかった。……登場するキャラが、あの爽やかな絵柄に本当に合うのかは疑問符だけれども。

そのときのシナリオはこちら→ 「バックスクリーンは見ている」 (ケータイだと重すぎると思うので、できればパソコンからどうぞ)

 


「めぞん一刻」 ~草野球スタンドクロス~

2008-07-28 16:42:11 | マンガ

26日(土)に、「めぞん一刻」実写版がテレビ朝日で放映された。このキャスティング、文句をつけたいところもあるが、はまっていた俳優さんも多く、ちょっと笑えた。


ストーリーに関しては、原作では全15巻のマンガを、前回の2時間ドラマと合わせて今回で終わらせてしまおうというのだから、まあかなり突っ込みどころ満載であった。


ドラマは、時間的に美人管理人さんと貧乏学生との恋しか描いていなかったが、原作ではメインのストーリーに関係なく、「草野球スタンドクロス」という一話がある。登場人物が総出で草野球をするというだけのストーリーなのだが。

「キャラが立つ」という言い方があるが、これがまたお手本のように、それだけのストーリーの中にそれぞれのキャラの特性や持ち味がよく出ているのである。原作者の高橋留美子さんは、「うる星やつら」などを見てもわかるが、本当にキャラを作るのがうまいと思う。


小説でもマンガでも、自分で何か書いたことのある人なら、キャラが弱いとストーリーがなかなか進まないことはご存知だと思う。そんなときはぜひ高橋さんの作品をお薦めしたい(近々漫画家30周年を記念した原画展が開かれるらしい)。

読むのが専門の方も、こんなに笑えるのはキャラがいいからだと、目線を変えて読むのも、また面白いかも。

野球とはあんまり関係ない話題……「草野球~」ということで強引に、でした