法廷物の映画は、迫力と緊迫感があって大好き 日本の裁判と違って陪審員に対する演技力も必要なアメリカの弁護士は、アピールもすごい。
日本でも裁判員制度が始まったけれど、さて、日本の法廷もそういう感じになっていくんでしょうか……??
「ア・フュー・グッドメン」(1992年 トム・クルーズ、デミ・ムーア、ケヴィン・ベーコン、ジャック・ニコルソン)
キューバ海軍基地で若い兵士が死亡。検察側は二人の兵士の殺人罪を主張、だが弁護側は、秩序を乱した兵士に対する「コードレッド」と呼ばれる制裁=上官からの命令だと無罪を主張。だが弁護士は事前取引しか経験のない新米で、相手は最高指揮官の大佐。果たして勝つことが出来るのか……
軍隊では上官の命令が絶対で、殺人さえその範疇。実行犯は命令に従っただけで殺意はなかった……。そういうのってどう裁くのか、難しいだろうなあ
一番悪い親玉の、「秩序を乱すと命に関わる」という、普通の常識では通用しない理由も、軍という特殊環境ならばある意味正しいのかもしれない……などとも思えるし
法廷でのやり合いが見物 特にジャック・ニコルソンを、プライドを刺激する心理戦で落とす辺りが迫力満点。
「24」でブレイクしたキーファー・サザーランドもちょい役ながら出てるので注目 まだこの頃はこういう悪役というかクセ役というか、そんなのばっかりだった気がする。
また、ケヴィン・ベーコンが珍しく悪役じゃないです。検察官。カッコイイです 「オブジェクション(異議あり)」が決まってました
「英雄の条件」(2000年 トミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン、ガイ・ピアース)
中東イエメンでのアメリカ大使館包囲事件で大使館員救出の任に当たった海兵隊は、暴徒と化した民衆に向けて銃撃、一般市民に多数の死傷者を出す。発砲命令を出した男は罪に問われるが、かつての戦友に弁護を頼み……
どうしても海兵隊員一人に責任を押しつけたいアメリカ政府は、証拠を隠滅したり、証人を脅したりの画策しまくり そんな卑怯で理不尽で強大な相手に、あまり実績のないトミー・リー・ジョーンズが、説得力だけで大逆転、というのはちょっと物足りなかったかな…… 確定的な物証は結局なかったわけだから。
ただ、これも怖い話だと思う。戦場では命賭けで戦っており、相手が攻撃してきたら生き残るためには反撃するしかない。だけどそれが後で「武器を持ってもいない民衆だった」とされたら、そして体面を考えた国に見捨てられたら……。誇りも愛国心もズタズタだよね
相手方の弁護士がガイ・ピアース。これがエリートな感じで似合いすぎ。サミュエル・L・ジャクソンの軍人も、頼りなさげだが最後は頼りになるトミー・リー・ジョーンズも、みんなピタリとはまっていました
「陪審員」(1996年 デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン)
陪審員としての出頭要請を引き受けたアニー。だが担当事件にはマフィアが関わり、他の陪審員達を説き伏せて無罪としなければ息子を殺すと脅される……
日本で裁判員制度が始まるに当たり、一番怖かったのがこの映画 果たしてこういうことが、裁判員に起こらないと言えるだろうかと……。もう始まってしまったけど、こういうことも充分考慮されてるのかと心配になる。
ストーリーは面白いです 主人公は平凡な母親だったのに、「有罪」意見多数の陪審員達にゴリ押しして「無罪」にひっくり返すとか、マフィアを利用して殺し屋を殺そうとするとか……息子のためならどこどこまでも強くなれるんだな~、と。
この頃は「ゴースト」の純愛イメージの強かったデミ・ムーアが、恐ろしく強くなっていく母を好演してました。アレック・ボールドウィンも不気味で怖くて見応えありです