11歳のアナは、自分の両親を相手取り訴訟を起こす。アナは白血病の姉ケイトに臓器提供するために作られた娘だったが、その為に犠牲となることを拒否するというのだった……
家族のために臓器提供をするのは当然だ――逆に言えば、それを拒否することは冷血極まりない、という通念。
でも本心では怖い。
そういう葛藤を描いた映画なのかと思っていた
ところがこれは、家族間の思いやりを突き詰めた映画なのだった
正直言えば、難病ものは苦手
そして、その思いやりを浮き上がらせるための闘病の生々しさも見ていて辛い
更に、CMのまずさ。
あれを見てしまったら「両親を訴訟」という衝撃的な行動の真実がバレバレ ラストは意外でも何でもなかった。
この映画を観に行ったのは、そういう訴訟に対してどんな闘いと反響が巻き起こるのか、というのが展開されると思ったから。
でもこれは法廷物ではなかったので、完全に思惑とズレてしまった。。。
ただ、誰かをどう大切に思うのか、という優しさ溢れる映画であることは間違いないです
都会でカメラマンをする弟猛と、田舎で親のガソリンスタンドを継いでいる兄稔。
智恵子は、地味で泥臭い稔が想いを寄せていた女性。だが華やかで要領の良い猛に一晩で寝取られる。
そして三人で出かけた渓流の吊り橋から智恵子が転落死……兄が彼女を突き落としたのか?? (2006年 オダギリジョー、香川照之、真木よう子)
温厚で優しく、でも地味で男性的な魅力には乏しい。
そんな稔は、要領が良くて女もよりどりみどり、何でも思うようにいく弟に、どういう思いを抱いていたのだろう。
猛も、兄には感謝している、いい奴だと口にしながらも、バカにしていた感がありあり。
優越感を抱いていたのだろうが、それでも今の自分にどこか満足していない様子。
智恵子が吊り橋から落ちて死んだ後、稔には温厚な面とヒステリックな面が交互に現れる。
劣等感の現れか、その卑屈さに、観ていてだんだん胸が痛くなってくる。
「突き落とした」とされる裁判で、「事故だった」と兄をかばおうとする猛だったが、稔の決定的な一言に切れたのか、逆上。
そして猛の取った行動は、裏切り。
これは、兄なりの復讐だったのかな――。
「人を不幸に突き落とすウソをつかせた」こと。
最後に兄は笑ってみせる。
それはどういう笑いだったのか。
「許す」? 「許さない」?
そんな風に、考える余韻をたくさんたくさん残す映画だった。
こうだ、と断定できるところがあまりない。
というか、こうなんだな、と思った私の解釈でいいのかどうか、自信がない。。。(学生時代の国語の読解力試験を思い出してしまう)
でも、二人の捻れていく過程など……じっくり見せられる映像から目が離せない映画であることは間違いない
チャラッとした都会男の弟役、オダギリジョーがピッタリ
でもそれ以上に、哀しい兄役の香川照之が素晴らしかった