第一回ホラーサスペンス大賞受賞作品。作者は黒武洋さんという方。
冴えない女教師が一転、問題児クラスを人質に取り、次々冷徹に殺していくという衝撃作。
これは無責任で非道な少年達とその被害者達との戦い。
そのスプラッタな殺戮はえぐいのだけど、女教師の言い分には共感できるところが多々あるし、緊迫感いっぱい。
ただ、所々感じた、あまりに一方的すぎる感は、巻末で宮部みゆきさんが批評している、あえて境界線を踏み越えているというところなのかもしれない。
それと、途中から彼女があまりに銃や格闘や情報収集に長けすぎているのに違和感が…。
しかししかし。それは全部ラストで説明がつく。納得がいくかというと、そううまくいくものかな?とは思ったけれど。
けど、後半辺りから加速度がついて止まらなくなるのは間違いなし。二転三転意外な事実も明らかになっていく。
「乍ら」「所為」「心算」などのあまり見慣れない漢字表記の多用に、ちょっと読みにくさを感じはしたが。
元のタイトルは「ヘリウム24」とか。私的にはそっちの方が合ってる気がするけど…タイトルから内容がわかりにくいから変えたということなのかな。
衝撃的で読みごたえたっぷり、そして強烈な問題提起作。しっかりした小説を読みたいと思った時には、お勧めかと思います♪