筋書きのないドラマ、筋書きのあるドラマ

ロッテ戦を中心に、野球を好き勝手な視点から見るブログ

故中井康之氏を偲ぶ

2014-08-17 16:00:15 | 野球

現在、かなりヘビーなロッテファンである私だが、
少女時代は、ヘビーに巨人ファンだった。

ちょうど、1番松本、2番河埜、3番篠塚、4番中畑、5番原……
といった時代。

そんな華やかなラインナップの中で、
どちらかというと地味なイメージだった中井という選手を、クッキリと覚えている。
試合終盤、外野に入る、いわゆる守備固めといわれる位置にいた。

毎日出るわけでもない、先発が多いわけでもない、
テレビに映ることもそんなに無かったかと思うが、
それでもその背番号36の印象は強かった。

それはおそらく、そのガシッとした上半身から漂っていた、
大きさと逞しさを感じさせる雰囲気のせいだったのではないかと、今は思う。

だからなのか、中井さんが引退しても忘れられず、
私が当時住んでいた近くに居酒屋を出したと聞いて、
友達と一緒にいそいそと飲みに行った。

平日の、まだそんなに遅くない時間だったせいだと思うが、
ちょうどお店にいらした中井さんが、
ミーハーな女子大生二人の話し相手になって下さった。

いったい何の話をしたのか全く覚えていないけれど、
語彙のない女子大生は「ファンだったんです」としか言えなくて、
中井さんはお世辞と思ったらしく「ホントぉ?」と、苦笑いしてらした。

確かに、「ファンだった」というのとは少し違っていたような気がする。
だけど、中井さんが外野の守備についたときの、何というか、岩のようなガッチリ感。
その36番が小さく見えるほどの広い背中から醸し出す、安心感が好きだったのだ。
そういうのをうまく表現できず、また言い直すようなタイミングもつかめず。

中井さんの、まくられた袖からのぞいていた二の腕は、とても太く逞しかった。
後にも先にも、元プロ野球選手の生の腕を間近に見たのはあれ一回。
画面で外野の守備についたのを見たときに感じたそのままに、ガッチリ感があった。
それでいて、おそらくろくに内容のなかったろう話に合わせて下さって、
「大きくて強そうで、その上優しくて、ホッとする感じがいいなあ」と思ったのだった。

その中井さんが、先日逝かれたと聞き、とてもショックを受けた。
いつかまたあの居酒屋に行って、
今度こそただ「ファンです」じゃなくて、ちゃんと説明したいと思っていながら……
いつのまにか飛ぶように年月が過ぎてしまっていた。

まだ60歳と聞いて、またショック。
当時の女子大生はそんな思い出を胸に、若すぎるご逝去を悼んでいます。
心からご冥福をお祈りします。


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2 コメント

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うらやましい・・・。 (ライター高橋)
2014-08-21 13:48:55
私もおなじく、当時ヘビーな巨人ファンでした。
貴重な体験をされてたんですね、うらやましい!
中井選手についての形容も「うん、うん・・・」って感じですばらしい。
奥さんがこれを読んだら、泣きますぜ~きっと。(ううっ)

ほんと、ご一緒したかった・・・。
テレビとかでもほとんど報道されてなかったのがザンネンです。
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話が通じて嬉しいです (junf)
2014-08-22 17:51:43
中井さんの話をしても、なかなか周りで反応してくれる人がいなくて、
ゆかりんさんだと、ツーカー!みたいに通じてすごく嬉しいです。
ホントにあまり報道されなかったですね。
貴ブログの読者でなかったら私も見過ごすところでした。
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