野球マンガはいろいろあるが、今日はあだち充さん作の「ナイン」のお勧め。
「ナイン」は、一時期少女漫画にいたあだちさんが少年漫画へ戻ったときの作品で、1978年から1980年にかけて「少年サンデー増刊号」に連載された。単行本は全5巻、小学館文庫で全3巻。
ストーリー
中学時代に陸上のエースだった主人公が、野球部マネージャーの美女に一目惚れ。その足の速さを武器に高校野球部で活躍していく。ライバル校のスラッガーやその弟、陸上部の女の子が絡む恋愛青春マンガ。
あだちさんと言えば「タッチ」「H2」「みゆき」などが有名だけれど、私はこの「ナイン」が一番好き
主人公の新見克也くんは、ヒロインのマネージャー百合ちゃんと陸上部の雪美ちゃんに好かれるのだが、確かにそれだけの魅力のある男の子 あだちさんの特徴であるが、皮肉のきいたセリフをとても生き生きとしゃべる。
百合ちゃんをめぐるライバルの山中くんと、彼に劣等感を抱き、克也を好きな雪美に惚れている弟の二郎くん。彼らも爽やかないい味を出していて、雪美ちゃんもとても可愛い。
そして何より「勝ちにこだわらない野球」の楽しさと強さが描かれているところがとても面白い
まだ読んだことがない方はぜひ。コンパクトで濃密な青春の世界を楽しめると思います。
(蛇足…)ずいぶん前だが、某マンガ原作コンクールに入賞したことがある。そのときに、あだち充さんの絵が合うんじゃないかとコメントしてくれた審査員がいて、(おこがましくも)ちょっと嬉しかった。……登場するキャラが、あの爽やかな絵柄に本当に合うのかは疑問符だけれども。
そのときのシナリオはこちら→ 「バックスクリーンは見ている」 (ケータイだと重すぎると思うので、できればパソコンからどうぞ)