筋書きのないドラマ、筋書きのあるドラマ

ロッテ戦を中心に、野球を好き勝手な視点から見るブログ

あだち充の「ナイン」

2008-11-28 18:44:05 | マンガ

野球マンガはいろいろあるが、今日はあだち充さん作の「ナイン」のお勧め

「ナイン」は、一時期少女漫画にいたあだちさんが少年漫画へ戻ったときの作品で、1978年から1980年にかけて「少年サンデー増刊号」に連載された。単行本は全5巻、小学館文庫で全3巻。

ストーリー
中学時代に陸上のエースだった主人公が、野球部マネージャーの美女に一目惚れ。その足の速さを武器に高校野球部で活躍していく。ライバル校のスラッガーやその弟、陸上部の女の子が絡む恋愛青春マンガ。

あだちさんと言えば「タッチ」「H2」「みゆき」などが有名だけれど、私はこの「ナイン」が一番好き

主人公の新見克也くんは、ヒロインのマネージャー百合ちゃんと陸上部の雪美ちゃんに好かれるのだが、確かにそれだけの魅力のある男の子  あだちさんの特徴であるが、皮肉のきいたセリフをとても生き生きとしゃべる。

百合ちゃんをめぐるライバルの山中くんと、彼に劣等感を抱き、克也を好きな雪美に惚れている弟の二郎くん。彼らも爽やかないい味を出していて、雪美ちゃんもとても可愛い。

そして何より「勝ちにこだわらない野球」の楽しさと強さが描かれているところがとても面白い

まだ読んだことがない方はぜひ。コンパクトで濃密な青春の世界を楽しめると思います。

 

 

(蛇足…)ずいぶん前だが、某マンガ原作コンクールに入賞したことがある。そのときに、あだち充さんの絵が合うんじゃないかとコメントしてくれた審査員がいて、(おこがましくも)ちょっと嬉しかった。……登場するキャラが、あの爽やかな絵柄に本当に合うのかは疑問符だけれども。

そのときのシナリオはこちら→ 「バックスクリーンは見ている」 (ケータイだと重すぎると思うので、できればパソコンからどうぞ)

 


WBC辞退に考える……「惑わじのライトスタンド」

2008-11-25 16:51:38 | 野球

中日の選手が、WBC候補を辞退?

落合監督はチームとしても監督としても強要したわけではないと言っているようだ。選手自らがそう選んだということらしい。

だとすると寂しい もちろん、今年のオリンピックでそういうイベントの後遺症の怖さが露わになったこともあるでしょう。ケガや体調の悪さを押して無理して頑張ったのにメダルは取れなかった。そしてペナントレースではその無理がたたって活躍できなかった……そういう悔いのある選手もいるのでしょう。

イチロー選手は「WBCで壊れるようならそれだけの選手」とコメントしたそうだけど、観ている側からすればそうあって欲しい。ただ、選手も人間。そうはうまくいかないという人もいるのかなあと思う。

ファンとしてはどっちを望むだろう、と考える。大好きな選手の、世界での活躍。でもそのためにもしも応援するチームにマイナスを与えることになったら。

その選手個人の素晴らしさ、面白さが好きなのか、チームを勝ちに導いてくれることが好きなのか。

両方満たされるのなら何も考えることはないんだけど。

そんなことを以前から考えていて、書いたドラマシナリオがこちら→「惑わじのライトスタンド」 (ケータイでは重いと思うので、できればパソコンからどうぞ)


今年中には観たい映画

2008-11-18 15:48:55 | 映画その他(二本以上)

「ブロードウェイ♪ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢」
ダンスものは大好きだし、しかもドキュメンタリーなら必見と思っていたのに、まだ観ていない。まだやってるかな~。間に合いますように

「ホームレス中学生」
テレビ版は主人公も田村裕さんに似ていたし、バランスも良かったけど。映画はあざとく泣かせにくるかなぁ。テレビでやるまで待ってもいいかも。

「ブタがいた教室」
これ、どうしても観たいけど、劇場が限られていて行きにくい。食べるために飼い始めたブタを小学生達がどうするのか? 実話が基になっているというこの話、絶対観たい

「ハッピーフライト」
「ウォーターボーイズ」も「スウィングガールズ」も大好きだった。その矢口史靖監督の新作なら観なくっちゃ。

「私は貝になりたい」
中居くんは、本人とは真逆の陰がある役が上手い。内容もかなりハードだし、アイドル映画にはならない見応えがありそう。ただCM過多が災いしてウンザリし、行く気が萎えるかも。既にミスチルが頭をグルグルまわってる。

「252  生存者あり」
注目は演技達者の山田孝之くん。彼の演技は出来る限り全部見る! 今度は挫折しかけのひねた研修医だそう。「イキガミ」の役柄と少し似てるのかな。

「K-20」
怪人二十面相に嵌められたサーカスの曲芸師というのが面白そう。でもこの中では来年に持ち越しの可能性が一番高い。

「1408号室」
スティーヴン・キング原作では「ショーシャンクの空に」がとても好き。グロいのは苦手だけど、……頑張ろうかな。

 

8分の6が邦画かぁ……。洋画は最近、観たい物がホントに少ないです。


 


「容疑者Xの献身」 主役は堤真一と松雪泰子

2008-11-17 17:50:34 | 映画マ~ワ行

大好きな東野圭吾さんの直木賞受賞作。すぐにでも観に行きたかったが、諸々あってこんな時期になってしまった(T_T)

数学者の石神が密かに想いを寄せる隣人の女性が、元夫を殺してしまう。石神はその天才的な頭脳で警察の動きを先読みし、彼女の容疑を見事に晴らす。だが、石神の友人の物理学者湯川が、そのカラクリを暴いていく……

何と言っても堤真一さんの存在感がすごかった それは最後のシーンに集約されるが、とにかく世間離れしているゆえに愛情表現が不器用な、うらぶれて老け込んでいる数学者の冴えなさ加減がいい。

「ALWAYS 三丁目の夕日」での直情型の江戸っ子鈴木オートとは全く違う。白髪まじりでよれよれのシャツの丸まった背中。こうまで変われるものか、と感動。

そして、そういうウブな男性がいかにも魅かれそうな、美しくもはかなくて守ってあげたくなる女性、松雪泰子さんがまたいい 

主役はこの二人でしょう。福山雅治さんさえ、あまり必要ないかも、更に原作にない柴咲コウさんの役は全く不要、と思えるほどだった。

今や、R25世代の男女共にお気に入り作家第1位の人気を誇る東野圭吾さん(「L25」リクルート発行より)。やはり話が緻密でリアリティがあり、人物も魅力的、そして最後には必ず大逆転があるからだろうか。とにかく東野さんの本はほとんどハズレがなく、とことんはまってしまう。

この「容疑者Xの献身」も例に漏れず、読後は最後のどんでん返しに満足し、切なさをひしひしと感じた。映画になると聞いて、イメージを損ねたらいやだなと思っていたが、この映画はかなり原作に忠実だったと思う。

テレビのガリレオシリーズとのふれ込みだが、言われるまで湯川准教授が原作に出てきていたことも忘れていた テレビの続編だと思って観た方は、トーンの違いに驚いたのでは。

正直、東野さん原作の映画化は、「秘密」、「手紙」とガッカリの連続だった。

「秘密」はヒロインが墓まで持っていくつもりだったから「秘密」だったのに、それをダンナに臭わせる素振りをさせるなんて最悪 

「手紙」は強盗殺人犯の弟ということで人生狂わされっぱなしの主人公が、最後にようやく被害者家族に謝りに行く決心をするのだが、その最大の理由がずれていた 

どちらもそんな大事なところを押さえ損なっていたので、今度もそうだったらどうしようと不安がいっぱいだった

けれど、「容疑者Xの献身」は軸にブレがなく見応えがあった。実は観た翌日まで疲れが残ってしまうほど力が入ってしまった。まさか一般人の湯川に取調室で取り調べはさせないでしょ、とか細かい突っ込みはあるとしても、これはドラマではなく映画にするのが正解と納得の満足度でした

(蛇足)個人的によく通る新大橋が舞台だったので、それも楽しみにしていた。その周辺や浜町駅の辺りなどもしっかり映っていて満足しました


はじける谷原章介 in 「ハンサムスーツ」

2008-11-13 17:19:27 | 映画タ~ハ行

聞けば、アジア進出が決まったというこの映画。ブサイクゆえの苦労と憧れは、世界共通ということでしょうか。

着ればバラ色のハンサムライフを送ることが出来るというハンサムスーツ。塚地武雅演じるブサイクな主人公が、谷原章介のハンサムな外見を得たことで本当の幸せに気付いていく物語

映画になることを知らずに原作を既に読んでいたので、オチがわかってしまっていた。そのオチも、こういう物語ならまあありがちだな、というもので、知った上で映画を見てもどうだろうか、と、あまり期待せずに見たのだが。

何と言っても、谷原章介さんがよかった  外見はハンサムだが中身はブサイク男の、格好を気にしない歩き方、モテて大喜びする表情、滑り気味のギャグのテンション。本当に中に塚地さんが入ってるんじゃないかと思うくらいのはじけっぷりで、一挙一動に笑ってしまう。谷原さん、メチャクチャいい味出してます~。

原作を読んだときには「ハンサムスーツ」ってどんな見た目の品物なのかイメージが湧かなかったのだが、一目で笑える、見るたび笑える、そんなキャラクター商品のような外見がいい。

他にも、一時代前の音楽(My Revolutionなど)、ギャグ(「コマネチ!」など)がてんこ盛りで、懐かしさを感じるという楽しみ方もありそう。「ハンサム」という言葉自体、それを狙っているんだろうなと思う。

ブサイク男の哀しさは、そのまま美人に生まれなかった女性の立場でも当てはまり、胸がキュッとしたりして。ただ最後に彼が選ぶ道は「結局そうなるんだよね」という王道。そしてドラマでよくある「公的なイベントで個人的な演説をぶつ」というパターンはちょっとゲンナリ こういうコメディなら時間ももう少し短くてよかったかもと思う。

すぐにテレビでもやりそうだし、特に映画館で観るほどではないかもしれないけれど、素直にただ笑いたい方にはお勧めです