地域政党「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長が、国政への揺さぶりを強めている。
4日には関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について、政府に8項目の申し入れを突きつけ、再稼働を目指す野田政権を激しく批判した。橋下氏の行動は次期衆院選で原発再稼働の争点化を狙う維新の選挙戦略と密接に絡んでおり、中央政界からは批判が出ている。
橋下氏は藤村官房長官との約25分間の会談の多くを、野田首相と関係3閣僚で政治判断するとした大飯原発再稼働手続きへの批判に費やした。橋下氏は主に、内閣府原子力安全委員会が「安全」と明言していない点に矛先を向けた。
「国民みんなは納得しない」
橋下氏はこう迫ったが、藤村氏は専門家の判断に基づいていると反論した。
藤村氏によると、会談はとげとげしい空気ではなかったとされる。しかし、橋下氏からは会談後、記者団に「国家運営の重大な危機だ」と、政府との対立をあおる言葉が目立った。
橋下氏が提出した8提案は国や電力会社にとっては、高いハードルを課する内容だ。
原発から100キロ圏内にある都道府県との安全協定が締結できる仕組み作りや、使用済み核燃料の最終処分体制の確立といった項目は、政府が容易に対処できない。政府関係者は「これを認めたら、今後、日本の原発は1基も再稼働できない」と批判し、政府側が対処できないことを分かって提案しているとみている。
橋下氏は次期衆院選で「8提案」を原発再稼働の条件として掲げ、是非を問う構えだ。維新幹部は「原発再稼働問題では、かなりの支持が見込める」と語り、次期衆院選の争点化を進める狙いを隠さない。
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に反対している大阪市の橋下市長は26日、市役所で報道陣に、「原発を再稼働させなくても(今夏の電力需要を)乗り切れるかどうかは関西府県民の努力次第。相当厳しいライフスタイルの変更をお願いすることになる。その負担が受け入れられないなら、再稼働は仕方がない」と述べ、節電策に住民の支持が得られない場合、再稼働を容認する意向を示した。
関西電力は今夏の電力需給について、ピーク時の7月に供給力が需要に比べて19・3%不足するとしたデータを発表している。
橋下市長は関電のデータの検証を求めているが、「検証を待っていたら対策が遅れる。今(関電が)出している数字を基に、今夏の節電策を考えざるを得ない」と述べ、再稼働しない場合を想定した今夏の節電策をまとめるよう関西広域連合に要請する考えだ。
大阪市の橋下徹市長は26日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が認められない場合、代替エネルギー促進などにかかる行政コストの確保のため、「増税も検討しなければいけない」と述べた。
橋下氏は関西広域連合の7府県2政令市の首長による委員会で発言し、「もし再稼働を認めなければ(府県民に)応分の負担がある」とし、新たに発生する住民負担分を明示することを提案した。
(以上、読売新聞)