さて奥さん、フランシス君に頼んであったダンピング工事(妻が買った土地の廃屋解体)をした。
フランシス君から紹介された町のセンターにある資材店で整地するための土砂を発注、その店と付き合いのある作業員に解体を依頼した。ダンピング工事は2日で無事終了。ややこしかったのはその支払い。
日本なら簡単な工事の場合、請負業者から見積もり金額を取り、作業が終了して一括で支払う。
しかしフィリピンでは、材料と人工(にんく、作業員の手間)に分け、施主がそれぞれ個別に交渉して支払う習慣だから面倒でやっかいだ。見積もりという制度がなく、その場の交渉だから予算通りにならない。
ダンピング工事は父52が暴走して木の切り出しを発注してあったので材木を保管するスペースが欲しく、そのため小さなプールの上に解体した廃屋の廃材を利用して倉庫を建てることまでが全工程だ。
作業は順調に進んだ。ただ、倉庫を建てる段階で廃屋のクギでは足りなくて、急遽、紹介された資材店に少しのクギを発注、支払いに行った。クギ代よりも往復の交通費のほうが高くついた。さらに2日目、4人いる作業員のボスが施主である妻に明日支払う人工代をアドバンス(前払い)して欲しいと言ってきた。
フィリピンは人件費が安く、そのときは人工代を持ち合わせていたので支払った。けれども持ち合わせがない場合、クギのように交通費を使って実家まで取りに行くか、断るかの二者択一。断ればもう1日作業日程が延び、さらに人工代を支払う可能性がある。それが嫌なら多少プラスして支払いを約束するかである。
こうした交渉事の支払いにまったく経験のない妻にはストレスだ。そして更なる試練が待っていた。
フィリピンにはミリエンダ(午後のティータイム)つー習慣があって(日本もそうだが)施工のミリエンダはお施主が茶菓子を用意する。ダンピング工事のミリエンダは父52が茶菓子を用意した。で、2日目はちょうどミリエンダのとき工事が終わった。前日、作業員のボスと意気投合した父52はビールを用意してボスと飲み始めた。さすが、昔アル中だったことはある。気分がいいとジュースなんて飲めない。
そんな父52を後目に実家へ戻ると今度は木の伐採業者が支払いが待っていた。業者と言っても木を切るチェーンソーを持っているだけのボスがいた。聞けばこっちの支払いはより細分化され面倒である。
まず材料費に当たるのがチェーンソーのレンタル料になる。料金の査定が本数なのか期間なのか定かでない。それから人工代が面倒で、伐採代、製材代(同じチェーンソーで仕上げる)、運搬代に分かれている。レンタル料と伐採代はフランシス君に支払ってあるため、今回は製材代のアドバンスを直接請求に来た。
妻はフランシス君の実家を見学したときからマメにノートに記録していたが、支払いの件となるとメモしていてもチェックと計算が面倒この上ない。しかもチェーンソーのボスは予告なしに数百ペソのアドバンスを請求しに来るため妻のストレスはピークに達し、木の伐採とダンピング工事だけでマイッテしまった。
しかし、お施主妻への試練はまだ続くのだ。