ズビグネフ・ブレジンスキー元国家安全保障問題担当大統領補佐官が著書『アメリカ、そしてグローバル・パワーの危機』で、韓国の核武装の可能性を指摘した。ブレジンスキー氏は、「米国が支配する唯一の超大国時代から、中国とインドの浮上で代表される新しいグローバル・パワーの時代を迎えつつある」とし、「米国の衰退は、核の傘への信頼性の危機をもたらすだろう」と予測した。そして、「韓国が米国ではなく中国などの別の核の傘を探すか、自ら核武装をしなければならない状況にいたる可能性もある」と見通した。核不拡散を主導する米国から出た韓国核武装論であり、ただごとではない。
・02年4月、中国の胡錦濤副主席(当時)が米国を訪問した時、ワシントンでは「胡とは誰か(Who is Hu?)」という冗談が交わされた。胡(Hu)副主席が同年11月に共産党総書記になり、10年間も中国を率いた人物なのだが、米国は彼をまったく知らなかった。13日に始まる中国の次期指導者、習近平副主席の訪米から、10年間の米中関係の変化がうかがえる。米国は習副主席を歓迎するために、広東省長を務めた習副主席の父親が32年前に訪米した際に撮った写真をプレゼントに準備した。バイデン副大統領は、習副主席が85年に訪問したアイオワ州や田舎町にまで同行する。ブレジンスキー氏の韓国核武装論は、現実になりつつある米国の衰退と中国の膨張を反映しており、単なる予測以上の重みがある。
・韓国でも、核武装論が提起されたことがある。鄭夢準(チョン・モンジュン)セヌリ党議員は昨年、北朝鮮の核に対応するための戦略として、戦術核兵器の再配備を主張した。その後、ゲーリー・サモア大統領補佐官(核不拡散担当)が、「韓国が戦術核兵器の再配備を公式に要請する場合、応じる」と述べ、注目を集めた。北朝鮮の核廃棄が不可能であるため、自衛としての核開発を主張する声も出てきた。
・韓国が核武装を推進すれば、北朝鮮の核放棄を迫る名分はなくなるが、米国の核の傘に依存できない状況が訪れる可能性もある。ブレジンスキー氏が予告した世界の勢力図の変化にも備えなければならない。米国との同盟を土台に中国との協力基盤を強化する「連米和中」、中国と協力しつつ韓米同盟を固める「連米通中」、米中の間でバランスを取る「連米連中」のうちどの道を取るべきか。
(以上、東亜日報)
安全保障について自主防衛をする能力や意欲がない日本はどうするのだろう。ではまた。