太った中年

日本男児たるもの

鳩山退陣勧告

2010-05-28 | weblog

「もう潮時よ」ゴッドマザー安子氏が 「鳩山首相へ退陣勧告」

最近、民主党前最高顧問の渡部恒三氏(77)は、鳩山由紀夫首相(63)に対し、簡潔にして、これ以上ないほど適切と言えるアドバイスを与えた。

「今、あなたに言えることは、もうしゃべるなってことだ」

思えば、普天間基地移設問題を解けない方程式にしてしまったのは「5月決着」を標榜した鳩山首相本人だった。期限が近づくにつれ、期日設定に何の根拠もないことが明らかになった。突拍子もなく鹿児島県の徳之島移転案をぶち上げて総スカンを喰らい、内閣支持率が19.1%と2割を切ったのはご承知のとおりだ。

素朴な疑問だが、何をしても評価されることのない鳩山首相は、総理大臣という仕事を続けたがっているのだろうか。首相公邸の内情を知る代議士が語る。

「鳩山さん、『辞めたくても女房に許してもらえない』と愚痴ってますよ。随分、『辞めるな』って囁かれているみたいで」

鳩山内閣の進退は幸夫人(66)の気持ち次第―。鳩山夫婦と親交のある議員の多くが、これと同様の見方をしている。そして、褒めるポイントが見つけづらい鳩山首相に続投してほしいのは、幸夫人ばかりではなかったのである。

小沢一郎幹事長(67)の側近として知られる、ある副幹事長が「(普天間問題に)民主党として手を打ったほうがよいのでは」と意見を具申した際、意外な返答に驚いたという。小沢氏は声に怒気をはらませ、こう返答したというのだ。

「政府のやることに、口を挟むなっ」

小沢氏も鳩山首相とともに、支持率ダウンに一役買っている。資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、検察審査会が起訴相当の議決→東京地検特捜部による再度の事情聴取(5月15日土曜日)と、またも"刑事犯罪の渦中"に叩き込まれた。無論、その週末のニュースは"小沢疑惑"一色であった。

小沢氏にしてみれば、同じスネに傷持つ鳩山首相を傀儡にして参院選を乗り切るのがベストなのだ。そんな小沢氏の意を汲んでか、小沢氏側近からは「5月決着にこだわる必要はない」との鳩山首相擁護論が囁かれ始めている。

ただし、鳩山首相は自らの振る舞いが支持率低下を招いていることに気付かないKYだが、小沢氏は確信犯である。実際の聴取での小沢氏は慣れたもので、終始リラックスしていたという。

「取り調べの検事を労って、コップに水を注いであげたほどです。前回と同じ質問なので、特捜部に決め手がないと踏んだのでしょう」(全国紙社会部記者)

事情聴取を済ませた週明けの17日、定例会見に現れた小沢氏の表情は左の写真のとおり。市民の目線で「疑惑あり」とされたことを屁とも思っていないようだ。

連休後半、5月4日から2泊3日で八丈島に出掛け、「殊勝に蟄居しているイメージが崩れるとマズいと、日焼け止めをたっぷり塗っていた」(民主党関係者)とのエピソードからは、「いったん特捜部が起訴できなかった案件を蒸し返したってナンボのもの」とナメきっているのかと勘繰りたくもなる。

24日からの週に予定される政治倫理審査会も、参院選を前に自らの主張を国民にアピールできる場くらいにしか思っていないのだろう。

現時点で、小沢氏の「小鳩(小沢・鳩山)体制で参院選へ突入」という腹案にブレはない。支えるのは、これまた押しの強そうなアノ閣僚である。5月10日夜、ホテルニューオータニの中にある高級料亭「なだ万」で、亀井静香郵政・金融担当相(73)は、小沢氏に喝を入れた。

「あんたと鳩山さんが(ポストを)代わったところで、参院選の結果が変わるわけじゃない。このままでいいじゃねえか」

小沢氏は、こう返したという。

「だって俺は悪いことやってねえし」

だが、鳩山内閣の支持率を落とすのは、小鳩の二人ばかりではない。宮崎県で多発している家畜伝染病の口蹄疫の問題で、赤松広隆農水相は5月18日、閣議後に「反省するところ、おわびするところはない」と語った。口蹄疫に罹患した1頭目の牛が見つかったのが4月9日。

赤松氏が現地対策本部に副大臣以下を常駐させる決断をしたのが、記者の前で居直ったこの日の前日。連休中に外遊する余裕まであったのに、ことの大きさに気付いたのが1ヵ月以上も経ってから、である。

失点続きの内閣運営に、当の鳩山首相の心が折れつつあるのは事実だ。

「鳩山さんは、首相自らが乗り込んで頭を下げれば大抵の物事が決着すると思い込んでいる。しかし、何をしてもうまくいかず、基地問題以外でも閣内はバラバラ。"友愛"が通じない総理ポストに、嫌気が差していますね」(首相官邸関係者)

最後の引き金を引きそうなのは、5年間で9億円という"子ども手当"を鳩山首相にあげた母・安子さん(87)である。

「あまり見苦しいマネをしてはいけません。男は引き際が肝心なんですから」

連休明け、安子さんが首相に言ったとされるセリフである。この「潮時発言」は民主党内に瞬く間に広まった。ある官房副長官は、直接、事実か否か質した。

「母は政治のことに介入しないし、あれこれ言わない。父の時もそうだった」

この官房副長官は「やはり噂か」と胸をなで下ろしたが、首相がこう付け加えるのを聞いて総毛立ったという。

「もちろん、ごく一般論だけどね、一般論として、母の内に『引き際が肝心』という美学はあると思うよ」

続けろと言う妻、辞めろと言う母・・・。鳩山首相を操っているのは小沢氏だけではなかった。さて、意志なき"人形"は、誰に踊らされて引き際を決めるのか。

(以上、現代ビジネスより転載)


普天間問題は終らない

2010-05-26 | weblog

普天間問題は終らない

ワシントン・ポスト紙で「ルーピー(くるくるパー)」と表現された鳩山総理は、その直後に「私は愚かな総理かも知れません」と発言して国民を唖然とさせたが、今度はそれを地でいく行動に出た。普天間問題で当初の発言とまるで逆の事を言い出したのである。そして変節の理由を「自分が無知だったから」と言い訳した。

誰から見ても「バカ」と思える行動を取るのは「本物のバカ」か、或いは「何か裏がある」かのどちらかである。「忠臣蔵」の大石内蔵助は周囲を呆れさせる「バカ」になって「討ち入り」を果たしたが、見抜かれないためには「本物のバカ」になりきらなければならない。政治家が信じられない行動をとる時は、「裏」を疑ってみる必要がある。

そこで普天間問題である。メディアは「日米が大筋合意した」と問題が決着したかのように報じているが、実現するかは不明である。「辺野古周辺」とはどこを指すのか。どんな新基地を造るのか良く分からない。しかも日米両国政府とも「沖縄の負担を軽減する」と言っているのだから、沖縄の合意がなければ前に進まない。「日米の大筋合意」は何も問題を解決していないのである。

普天間問題は表は安全保障だが裏はカネの話である。アメリカから見ると冷戦中の日米安保は、日本に都合の良い仕組みだった。日本は安全保障のコストをかけずにアメリカの軍事力に「ただ乗り」し、金を稼ぐ事だけに専念した。自動車と家電製品を中心に輸出を伸ばし、世界第二位の経済力を達成したが、その犠牲となったのはアメリカである。アメリカの製造業は衰退し、アメリカ政府は慢性的な貿易赤字と財政赤字に苦しめられた。しかし冷戦中はそれでも日本を切り捨てる訳にはいかなかった。

ところが冷戦が終わり、敵対する二つの陣営がなくなると、アメリカは世界唯一の超大国としてあらゆる国と直接二国間の関係を築けるようになった。「反共の防波堤」として利用してきた日本や西ドイツを優遇する必要もなくなった。むしろ日本はアメリカにとってソ連に代わる「脅威」と認識された。アメリカは日本の経済力を削ぐ作業に取りかかる。日本の弱点はアメリカの抑止力に「ただ乗り」してきた安全保障面である。日米安保は一転してアメリカが日本からカネを吸い上げる道具になった。

アメリカにしてみればこれまで吸い取られた分を取り戻すのだから当たり前の話である。冷戦後の世界では国家対国家の戦争ではなく、テロ組織との非対称の戦いが想定されると言う一方で、アジアにだけは冷戦が残っているとアメリカは規定した。そしてアメリカは世界とは「冷戦後」的思考で付き合うが、日本には「冷戦」的思考を押しつけて来た。

中国との「戦略的パートナーシップ」を謳い、「G2」を宣伝するのは「冷戦後」的思考である。ところがアメリカは日本に「中国とは価値観を共有していない」と言い、「中国の軍拡は脅威だ」と言って「冷戦」的思考を押しつける。ミサイル発射を重ねる北朝鮮の冒険主義的挑発に際して日本にはMDやイージス艦などの高価な兵器を売りつけるが、金正日政権を排除する事はしない。金正日政権には温存するだけの利用価値があるからである。

アメリカは「冷戦後」的思考で世界的な米軍再編を計画し、沖縄の海兵隊をグアムに移転する方針を決めた。ただしその費用は日本に負担させる。普天間基地の移設問題は表は安全保障だが裏はその金額を巡る交渉だと思っていた。ところが事態は「冷戦」的思考の世界に急展開で引き戻されていった。

半年ほど前から普天間に絡んで「朝鮮有事」の話が言われるようになった。昨年末には韓国の李明博大統領の周辺から「沖縄の海兵隊がグアムに行かれたら、北朝鮮有事の際、韓国が困る」という話が入ってきた。それなら海兵隊は韓国に配備すれば良いだろうと思っていると、今年2月には米軍の高官が「沖縄の海兵隊の任務は北朝鮮崩壊時の核兵器除去である」と言ったという。これもどこにあるか分からない核を海兵隊が見つけ出せる筈がない。北朝鮮の核は北朝鮮に処理させるしかない。

いい加減な話ばかりと思っていたら3月26日、韓国の哨戒鑑が沈没した。そして5月20日に沈没の原因は北朝鮮の魚雷攻撃という調査結果が発表された。今や朝鮮半島は戦争寸前の状況にある。まさに「冷戦」状況が戻ってきた。それが鳩山総理が普天間問題の期限とした時期にぴたりと合っているのである。

ところで沈没した哨戒鑑の近くにアメリカの原子力潜水艦も沈没しているという情報がある。韓国のKBSテレビが放送したと言うが、その後報道は封印されたという。この沈没事件にはどうやら「裏」がありそうだ。ベトナム戦争は「トンキン湾事件」、イラク戦争は「大量破壊兵器」という「ねつ造情報」から始まった。アメリカではしばしばある「ねつ造」だが、この沈没事件もきな臭い。そう言えば私が上海にいた5月初めに金正日総書記は中国にいた。北朝鮮が仕掛けたとするならばその時期に本人が外国などに行くだろうか。その直前には李明博大統領も上海万博の開会式に来ていたが、中国がどう対応するかが注目される。

いずれにしても日本国民が初めて「政権交代」を実現させて選んだ総理が「ルーピー」と言われ、自分の意志を通せずにアメリカに屈服させられた姿が全世界に伝わった。しかし「日米合意」でまだ何も決まった訳ではない。事務レベルの交渉が終わっていよいよこれからが政治レベルの交渉だと思えば良い。政治レベルの交渉には沖縄をはじめとする国民の声を反映させるのである。相手はオバマ大統領である。YES!WE CAN なのだ。

(以上、田中良昭氏の国会探検より転載)

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今後のシナリオ

2010-05-22 | weblog

以下、ロイターより北朝鮮の特集記事を転載

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緊迫化する朝鮮半島情勢、今後想定されるシナリオ

韓国は20日、3月の哨戒艦沈没は北朝鮮の魚雷が原因である可能性が濃厚とする報告を発表、断固たる措置を講じると表明した。これに対して北朝鮮は、韓国が制裁を科せば、戦争を含めた強硬措置を取ると反発した。

南北間の緊張の高まりを受け、朝鮮半島情勢に関して想定されるシナリオをまとめた。

◎韓国が軍事力を誇示

金融市場関係者は、韓国が報復攻撃を計画しているとは見ていないが、黄海上の南北軍事境界線付近で軍の存在感を誇示するとは予想。懸念されるのは、韓国海軍が警告なしに北朝鮮船舶を攻撃する可能性が高いことで、銃撃戦になれば市場にも動揺が走ることになる。3月に韓国の哨戒艦が沈没して北朝鮮の関与が疑われるとの報道が最初に伝わったとき、米国株式相場は下落し、韓国ウォンも売られた。

◎米中両国が南北に圧力

韓国の同盟国である米国、北朝鮮の最大の支援国である中国は、両国ともに事態の深刻化を避けようとしており、南北双方に落ち着いた対応を求めている。しかし、米中両国が圧力を掛けたとしても、南北間の限定的な武力衝突は回避できないかもしれない。

◎ミサイルの試射

外交交渉で譲歩を引き出したい北朝鮮は、これまで同様にミサイルの試射などで挑発行為を続ける可能性がある。市場は北朝鮮のこうした外交戦術には慣れており、それ自体が取引に影響するとは考えられていない。

しかし、韓国全土や日本の大部分、グアムの米軍基地を射程とする長距離ミサイルの試射が行われた場合は長期的なリスクが高まり、金融市場の動揺は韓国以外の地域にも波及する可能性がある。

◎安保理の制裁強化

韓国にとって最も実現可能な対応は、国連安全保障理事会に北朝鮮への制裁強化を求めることだろう。ただ、新たな対北制裁決議の採択には、常任理事国であり、北朝鮮の最大の支援国である中国を同意を得る必要がある。

◎3回目の核実験

北朝鮮は過去に2回の核実験を実施している。3回目の核実験に踏み切ったとしても、市場のリスクへの認識が大きく様変わりはしないとみられるため、相場への影響は比較的小さく、短期間で済むと予想される。

◎全面戦争

韓国が、哨戒艦沈没の原因の北朝鮮の魚雷である可能性が濃厚とする報告を発表した直後、北朝鮮国防委員会は制裁に対して、「全面戦争も含むさまざまな形の厳しい措置で対応する」と表明。北朝鮮は過去にも、ソウルを「火の海」にするなどと威嚇したことがあるが、軍事専門家は、北朝鮮の軍事力は米韓と大差があると見ている。

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「抑止力2.0」

2010-05-19 | weblog

以下、ニューズウィーク日本版よりコラムを転載

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日米「2+2」に備えてのウォーミングアップ

アメリカの外交論評誌『フォーリン・アフェアーズ』というのは、論評というよりはワシントンの様々な立場の外交政策に関するアドバルーン的なものとして読むのが適切だと思います。ところで、日米は今月末に向けて、外相同士、または防衛相同士の会談を行う予定にしています。実際に4人が顔を揃えるのかどうか、本稿の時点では確認出来ていませんが、実質的に「2+2」ということになるでしょう。いわば、そのウォーミングアップとして、今回の2010年5/6月号に掲載されている2本の論文を手がかりに、アメリカの東アジアにおける中長期的な軍事外交について、考えてみたいと思います。

1本目は、他でもない今月の来日が予定されているゲイツ国防長官の論文です。「他国の自己防衛への支援」と題された論文は、基本的にこの間の、厳密に言えば、2期目のブッシュ前大統領がイラク戦争の泥沼化によって、2006年の中間選挙に敗北し、前任のラムズフェルド前国防長官が更迭されて自身が就任した時点から、ブッシュ、オバマの2代の大統領に仕えてきた自分のイラクとアフガンへの努力に関する立場の総括といって良いでしょう。

内容については、アメリカはパートナーが政治的軍事的に独立して、自分で治安を維持できるように支援することを最大のミッションとしてきたという方針が改めて確認されています。そして、イラクを成功事例とする一方で、仮にパートナーと表面的に価値観のズレが起きても粘り強く支援する、という言い方で、何かと行き違いの目立ったアフガニスタンのカルザイ政権との関係も改めて強調した形です。この主張は、更に含みとしてはイランを交渉のテーブルにつかせることにも、粘り強く対応すべきという姿勢も入っていると思います。

また、論文の中で特に強調されているのは、国務省との関係です。従来は、行き違いや別行動ということもあり得た、国防総省と国務省が、近年は蜜月とも言っていいほどの連携が出来ているということを、「ポトマック両岸の架け橋(国防総省はワシントンDCからポトマック川を渡った対岸のバージニア州にある)」という表現で強調しているのです。

さて、この論文では特に日本への言及はありません。例えば「アメリカはパートナーが自立した防衛ができるよう援助する」という大方針が謳われているからと言って、そのまま「日本自主防衛論」を示唆しているわけではないと思います。ゲイツ国防長官、そして緊密な連携を取っているというヒラリー国務長官の2人は、日本に関しては複雑な経緯からの特殊性を認識しているはずです。というのは、このゲイツ=ヒラリー外交、もっと言えばオバマ外交というのは、非常に緻密なものだからです。非常にフレキシブルで柔軟、そして何よりも「平和と安定」という結果を出すことに腐心する現実主義がそこにはあります。

その意味で、今回の「普天間基地返還」問題でも、アメリカ側としては自分たちの利害もありますが「本当に地元との合意が取れるのか?」という観点からの「突っ込み」が再三行われているということに注目する必要があるでしょう。徹底した現実主義、事実に根ざした外交や世論対策としての戦略的志向、今回の「2+2」はそうした姿勢で胸襟を開いたコミュニケーションを期待したいと思います。

ところで、この号の「フォーリン・アフェアーズ」には、有名な元新聞記者で、現在は「地政学」の専門家で軍部からの信頼も得ているというロバート・カプランの『中国の壮大な地図(グランド・マップ)』という論文が掲載されていました。カプランは、90年代のバルカン情勢を「セルビアが悪玉」だとしたマキャベリズムで分析して見せて時代の寵児になった人物ですが、今回は「大中国圏」なる概念を持ち出して中国の脅威を警告する、そしてヒラリー・クリントン国務長官の外交が「バランス・オブ・パワー」軽視であって大変に危険だとしているのです。

ただ、アジアの人間であればすぐに分かるのですが、この論文はかなり「トンデモ」という内容です。特にその「大中国圏」というのが西はカザフ、トルクメニスタン、アフガン、パキスタンまで、インドを含めて全ユーラシアをカバーし、南はマレーシアからインドネシア列島の全域までのオール・ASEAN、そして北東アジアは日本以外の全域に沿海州や樺太までを包摂しているのです。この「大中国圏」について中国は野心があり、特にフィリピンとインドネシアを影響下に置くことで南シナ海を「アジアの地中海」にする野望があるというのです。

またこのユーラシア大陸の東半分についていえば、中国の支配に抵抗を示すのは日本、インドの2カ国だけというのです。この「壮大な地図」ですが、どうやら歴史的な中国王朝の版図や、華僑の活動圏などから導き出したもののようですが、中国とのバランス・オブ・パワーを志向するにしても、そして「お互いの計算ミスによる戦争の発生を防ぐため」という理由があるにしても、理解の範囲を超えています。インドネシアやマレーシアといった南アジアのイスラム圏、あるいは中央アジアのイスラム圏を中国がコントロールできるというのも妄想だと思いますし、インドを中国が狙うというのも歴史的・文化的に非現実的です。まして、統一韓国は日米よりも中国寄りになるという前提などに至っては、乱暴で話にもなりません。

私はこのカプランの政治的な位置については、詳しくは分かりませんが、オバマが「対中国のプレッシャー」を政治的に使い出したのを「横取り」するような形で、対中国の冷戦をテーマとして動き出している勢力があるのかもしれません。また、軍学校の教官としても活躍しているカプランの周囲には、対中冷戦という新しいテーマに飛びつきたい人物が集まっているのかもしれません。だとしたら、日本はこうしたグループに接近するのではなく、むしろゲイツ=ヒラリー=オバマの「各国世論や各国の価値観を理解した上」での「結果オーライ」を志向した緻密な現実主義との誠実な対話を行うべきなのではないでしょうか?

端的に言えば、アメリカの現政権が指向している抑止力というのは、文化や地域世論まで含めた複雑系としての「抑止力2.0」とでも言うべきものであり、カプラン流の「力には力を」といった20世紀的な「抑止力1.0」とは次元の違うものだと思うのです。「台湾への防衛型武器供与」や「ダライ・ラマとの面会」に踏み切った一方で、昨年11月に初来日の際、サントリーホールでの講演では「自分は中国の封じ込めはしない」と言ったオバマの「複雑なメッセージ」発信のスタイルはそう理解すべきです。普天間の問題もそうした理解をすることで、初めてコミュニケーションは進むのではないでしょうか?

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基地閉鎖と再使用

2010-05-15 | weblog

 

普天間基地移設問題でよく引き合いに出されるのがフィリピンの米軍基地閉鎖。ところが閉鎖された基地が米軍によって再び使用されている現状まで知るところではない。そんなワケで以下、年表を追いながら在比米軍基地の閉鎖と再使用、閉鎖に伴うとされる中国の南沙諸島占領を検証する。

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・1946年 フィリピン共和国独立

・1947年 軍事基地協定 

フィリピンの独立と言っても政治、経済、社会の構造は戦前の米国植民地時代と変らなかった。独立した翌年、米比間で基地協定を批准。これによってクラーク空軍基地、スービック海軍基地を米軍に貸与。使用期限は2046年。フィリピンは米国より基地使用料が入ることになった。日本とは反対。

・1966年 ラスク・ラモス協定 (基地使用期限を1991年に改定)

独立後暫くは米国CIAが政治介入、米国の軍政が続いた。しかし10年後、通商条約を改正して反米ナショナリズムの気運が高まる。そして60年代になると独裁者マルコスが登場、圧倒的な政治力を背景に訪米、ラスク・ラモス協定を調印して基地使用期限を1991年にまで短縮した。この頃は英雄。

・1990年 アキノ政権下、基地使用期限延長を大筋で合意

マルコス失脚後、無血革命で登場したアキノ政権。しかし国内の政情は不安定。基地使用の延長合意した前年には軍事クーデーターが勃発。米国は空軍を投入して軍事介入、アキノ政権を支持。また、共産党の新人民軍やイスラムのモロ民族解放戦線と内戦状態が続き、米軍の援助が必要だった。

つまり、米軍基地撤廃運動なんて存在しなかった。では何故米軍基地が閉鎖されたのだろうか。

・1991年 6月、ピナツボ火山の大噴火

神の怒りか、噴火よって近くにあった米軍両基地が被災して使用不能に。危険な状態が続く。

・1991年 8月、米比友好協力防衛条約調印

使用期限ギリギリにクラーク基地返還、スービック基地使用10年延長で政府間合意した。

・1991年 9月、フィリピン上院、米比友好協力防衛条約批准を拒否する議決

これがよくわからない。おそらく復旧工事を廻る費用負担の按分で議会は否決したのだろう。

・1991年 11月、クラーク空軍基地返還

米国はフィリピン議会が希望する原状回復を無視して返還。後に土壌汚染が大問題となる。

・1991年 12月、ソ連崩壊

米ソ冷戦が終結した年でもあった。議会否決に抗議しなかったのは米国の軍事戦略でもある。

・1992年 ラモスが新大統領就任、スービック海軍基地返還

ラモスは米国士官学校卒のエリート軍人。米軍の強い影響下にある政権。さて、以上のように在比米軍基地が閉鎖、返還されたのは、基地使用期限の年、基地が火山噴火の被災に遭い、ソ連崩壊によって米国の軍事戦略変更が重なったためだろう。しかしながら、それですべては終わらない。

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・1999年 訪問米軍地位協定(VFA)を批准

日米地位協定に等しく、基地再使用が可能に。中国脅威論エサにしたクリントン政権の戦略。

・2002年 アロヨ政権、基地再使用を認可

9・11テロにより米国は世界戦略を大きく変更。フィリピンはイスラム過激派アブサヤフと米軍共同で戦闘、壊滅状態に。但し、CIAがアブサヤフへ資金提供したヤラセ疑惑が浮上。また、スービック海軍基地ではチェイニー元副大統領の関連会社が米軍艦のメンテナンスを受注する利権が発覚。

・2004年 イラク人質事件

米国の意に反してアロヨ大統領はイラク派兵部隊を撤兵した。すぐさま米国から制裁を受ける。

・2005年 スービック・レイプ事件

沖縄少女暴行事件と同じ事件が発生、反米感情が一気に噴出した。被害者のニコル(仮名)さんが訴訟を起こし、犯人の米軍兵は国内の法廷で有罪判決。初めて訪問協定を超える画期的なものだったが、犯人の身柄は米国へ移送され、ニコルさんも米国人と結婚して米国へ移住してしまった。

スービック・レイプ事件がウヤムヤに結実したので訪問協定を改定する運動も下火になった。

以上が在比米軍基地の閉鎖と再使用、現在までの流れ。続いて閉鎖に伴う中国の南沙諸島占領。

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「フィリピンは米軍基地閉鎖のため、中国が南沙諸島を占領して酷いことになった」とは冷戦時代の米軍抑止力を未だ信奉する人たちの乱暴で恣意的な言辞。現在、南沙諸島の領有権を主張しているのはフィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、中国、台湾の6ヶ国で、歴史を遡れば更に複雑だ。

植民地時代、最初に南沙諸島の領有権を主張したのはインドシナ半島の旧宗主国フランス。続いて台湾総督府を持つ日本。戦時中は日本が実効支配した。以下、年表を追ってみよう。

・1945年 終戦 南沙諸島の帰属先は未定

・1946年 歴史的理由からフランスが南沙諸島一部の領有を宣言

・1949年 地理的理由からフィリピンが南沙諸島の領有を宣言

・1951年 サンフランシスコ講和条約、翌年、日華平和条約

上記、2つの国際法によって日本は実効支配していた南沙諸島の領有権を放棄した。

・1956年 ベトナムが南沙諸島岩礁上へたびたび上陸

・1970年 ベトナムが南シナ海沖で油田発見

・1973年 ベトナム、南沙諸島を同国フォクトイ省へ編入を宣言

・1974年 中国、ベトナムへ抗議声明、南沙諸島の領有権を主張し始める

・1979年 中越戦争で中国大敗、この頃南沙諸島で海底資源が発見される

・1982年 国連海洋法条約制定、沿岸諸国が軒並み領有権を主張

・1988年 中国とベトナム軍事衝突(赤瓜礁海戦)、中国が勝利支配

・1992年 中国が軍事施設を建設、歴史的理由から領有権を宣言

・1995年 中国、フィリピン主張の島を占領して建造物を構築

・1999年 中国とフィリピン、フィリピンとベトナム間で地域行動基準の共同声明

・1999年 フィリピンの軍艦が中国漁船を撃沈

・1999年 南沙諸島上空でマレーシア空軍機がフィリピン空軍機を追跡

・2000年 米国仲介によりASEANで地域行動基準の共同声明を発表

・2004年 中国とフィリピンで海底資源の共同探査

・2005年 中国、フィリピンにベトナムが加わり海底資源の共同探査

・2007年 中国、南沙諸島を海南省編入を宣言、ベトナム抗議声明

・2008年 台湾、南沙諸島で最大の軍事基地を建設

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以上のように歴史を振り返れば、南沙問題とは中国と沿岸諸国のパワーゲームなのである。


日米の役割分担

2010-05-13 | weblog

以下、日刊ゲンダイより転載

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普天間問題“思考停止”の大メディアに呆れる小沢幹事長のホンネ

本質は「日米の役割分担」

普天間移設問題について、小沢幹事長は、記者会見などで何度となく見解を求められているが、「私は政府の立場ではない」と一切口を閉ざしている。

もちろん、第一義的には、鳩山首相と政府が答えを出すこと。党務に徹しているのは事実だろうが、口を開かないのは、普天間問題を単なる“移設先”の議論に矮小(わいしょう)化し続ける大新聞やテレビに、ほとほと呆れ返っているからだ。

「小沢チルドレン第1号」と呼ばれている太田和美衆院議員がこう言う。

「普天間問題には重要な視点が2つあります。ひとつは、沖縄の過重な基地負担をどう解消していくか。もうひとつは、日本とアメリカが冷戦後の東アジアにおける脅威をどのように認識して、どう役割分担していくか。特に2つ目の視点こそが本質なのです。米国のトランスフォーメーションと同時に、自衛隊のトランスフォーメーションも考えなければいけない。政権交代は、日米安保体制を見直すチャンスなのです。しかし、メディアは冷戦型の戦略思考から脱却できていません」

小沢のホンネはどこにあるのか? ヒントとなるのは、昨年2月、まだ野党・民主党代表だった頃の「第7艦隊」発言だ。

「米軍再編問題は、ただ米国の言うとおり、唯々諾々と従うのではなく、私たちもきちんとした世界戦略を持ち、少なくとも日本に関する事柄については、もっと日本自身が役割を分担すべきだ。そうすれば米国の役割は減る。軍事戦略的にいうと、第7艦隊がいるからそれで米国の極東におけるプレゼンスは十分だ。あとは日本が極東での役割をしっかりと担っていくということで話がつく」

この発言は、当時与党だった自民党やメディアから「日米関係を危うくする」と袋叩きに遭い、その中身の議論まで行き着かなかった。しかし、本来は、日米安保体制の将来像に一石を投じる重要な発言だったのだ。

「あの時に、『対等な日米関係とは何か』『今の時代の脅威とは何か』といった本質の議論になっていれば、鳩山首相が沖縄で口にした『抑止力』の存否など、今さら問題になることはなかったでしょう」(軍事ジャーナリスト)

小沢が民主党代表を辞任したのは、昨年の5月11日だった。あれから1年。旧体制のメディアは相変わらず思考停止したままだ。

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普天間問題と政局

2010-05-12 | weblog

以下、松田光世氏のツイートを転載。

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普天間基地の「実員」が約1万2000人で、定員の1万8000人より大幅に少ないこと。そのうち6000人以上が現在、アフガンに「遠征」していることなどを、日米実務者協議でようやく米側が認めた。マスコミは、なぜ報道しないのだろう? あまりにも情報力とセンスがなさすぎる。

日米ロードマップ合意では約8600人の海兵隊員とその家族9000人がグアムに移転することになっている。その移転人員を増やすように交渉していることを、なぜマスコミは報じないのだろう。残るのは、抑止力とは言えない緊急派遣部隊と基地管理部隊だけにできる。訓練は、別の場所でも可能。

鳩山首相が「5月末決着」にこだわる重要な理由をマスコミは報じていない。それは、自公政権が続けてきたグアム移転費用肩代わり分の継続問題だ。今年度予算には計上されていないために、昨年11月のオバマ大統領来日前にルース駐日大使が岡田外相に抗議するなど、ひと悶着あった。

鳩山首相は、約4600億円とされる今年度分のグアム移転費用肩代わり分は、1兆円の「景気対策予備費」の内数で見込んでいる。米側が5月末までに移転人員増を飲めば、日本側の負担を増額できるようにそういう予算措置をとった。「トラスト・ミー」と。米側にとっても交渉期限延長は不都合を生じる。

日米双方にとって、普天間問題は、5月末に「一定の結論」を出すしかない課題なのだ。にもかかわらず、米側は「辺野古埋め立て案が最善」というもはや誰が考えても実現不可能なポジショントークに終始し、実質協議を先送りにしてきた。これに腹を立てた小沢さんは、連休中に予定していた訪米を中止。

転機になったのは、皮肉にもキャンベルの「loopy」発言だった。ワシントン・ポスト紙の報道を読売などが「誤訳」(キャンベル自身の言い訳による)し、キャンベルが連休前に急きょ来日して、自分の発言の意図は決して鳩山首相を交渉相手と認めない趣旨ではないと弁明して回った。おわび行脚だ。

キャンベルは、ジョセフ・ナイ教授ら日米関係を仕切る外交評議会の重鎮たちから「交渉に入る前から一国の首相を馬鹿にするとは、外交官失格だ。日米関係を壊すつもりか」と叱責されて、ほうほうの体で日本に来て、連休中の4日からの日米実務者協議入りに「無条件で」応じ、鳩山首相は沖縄入りを決断。 

このキャンベルのおわび行脚については、「loopy発言」を誤訳した新聞・テレビは、なぜか報じていない。連休中に、NYから福山外務副大臣が、「その通りです」とツイート返ししてきたのは、この「お詫び行脚」と日米実務者協議がスタートした経緯についてだと福山氏が認めたことも報告しておく。

日米実務者協議はまだこれから佳境に入るところ。それなのに、マスコミは、その詳細な経過を伝えずに、結論を勝手に予想してその後の政局ばかり論じている。どこまで劣化すれば気が済むのだろう。マスコミの仕事は、予想屋ではないはずだ。

 

さて、週明け首相官邸では、普天間基地問題をめぐる関係閣僚会議が開かれている。それを束ねる役割の平野官房長官には、民主党沖縄県連からも公然と更迭論が。5月末の期限を延長して粘り強く県外・国外移設を米側と交渉せよというのが沖縄の総意。県内移設案をまとめた平野長官は更迭でけじめをと。

4日に那覇空港で鳩山首相と会った民主党の沖縄県連幹部は、平野官房長官を更迭し、後任にKさんを充てるように直訴したとか。「トロイカ体制を再構築し、民主党の総力を挙げて、この問題を打開すべし」と喜納昌吉県連会長。地元から不信任された官房長官。鳩山首相の内閣改造決断時期が迫ってきた。

個人的には、Kさんは逃げて、仙谷官房長官かなと。日米関係を含めて本気で交渉するなら「小沢防衛相」。完全なトロイカ内閣になりますが。(笑)

民主党最強の防衛族は、小沢さん。前原は自社さ政権で防衛政策調整会議の座長はやったが、まだまだ防衛通の域を出ていない。自衛隊に基地の日米共同使用を認めさせるには、剛腕大臣が必要。自由党時代、自衛隊の「隊友会」は、自由党支持だった。野党になった自民党から隊友会をはがすには・・・。

Kさんが岡田外相とのスイッチを狙っているんではないかと思う今日この頃です。一応、元衆院外務委員長ですが、次を狙う前に外交経験をと。

非常時に海兵隊を運ぶ強襲揚陸艦エセックスは、佐世保が母港。その周囲にヘリ部隊と陸上部隊の両方を常駐させるのが、一番機動力が高く、米側も受け入れ可能。それには自衛隊が反対する基地の再編成と自衛隊演習場の米軍への開放が必要で、剛腕大臣でないと無理。

細野幹事長説もありますが、海江田さんも候補です。幹事長でなくても党での細野の役割はより大きくなります。

制度上は幹事長と大臣は兼務できます。民主党の政権運営構想では、幹事長は無任所大臣で入閣の予定でした。ただ、政務三役は党務を辞するルールを作った小沢さんは兼務しないでしょう。

鳩山内閣が総辞職するようなことがあれば「大政局」ですが、民主党の中心メンバーの役割分担が変わる党役員・内閣改造なら「ミニ政局」です。党はすでに参院選の体制作りがほぼ終わり、内閣が弱っている今、党と内閣の人材配置を変えるのは、鳩山首相の決断次第。勝負するなら今週。

部隊が常駐しないローテーション基地を富士山の麓の青木が原を少し切り開いて作る案もあるやに。もともと海兵隊のキャンプ富士のある場所の近くらしいですが・・・。佐世保周辺に 1000人程度の緊急派遣部隊が常駐できれば、本隊と訓練はグアム・テニアンで米軍は文句はないはず。

国務大臣は、国会で必ず答弁しないといけませんから、これまでのように逃げているとは言えません。かといって、衆院安保委で自民党が「政治とカネ」ばかり質問してたら、さすがにマスコミも「普天間をなぜ聞かないのか」となるでしょう。1か月勝負。会期延長はなし。

5月3日夜、ホテルニューオータニの「なだ万」で鳩山首相と小沢幹事長が密談。双方が会談自体を否定しているということは、相当重要な政局観のすり合わせが行われたということ。明日の党役員会で参院選の最終公認を決定するのがひとつの節目になる。

連休明けに「ミニ政局」という情報を発信した時点で、鳩山首相と小沢幹事長が密談する日程を調整中という情報は入っていたが、関係者に迷惑がかかるので、それ以上はツイートしてこなかった。会談をセットした関係者は、3日の鳩山・小沢会談の事実は認めている。

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自主防衛論

2010-05-10 | weblog

5/9のNHK日曜討論は面白かった。以下、フリージャーナリスト岩上氏のツイート。プロの技。

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さて、「日曜討論」。今から始まる。

我部「96年前、橋本・モンデールで普天間の返還、その時、県内移設で合意。それ以来、物事が進まない」

岡本「沖縄の地域首長には賛成派もいた」

孫崎「沖縄の意思を無視せずに、時間をかけて、九州全域で、あるいは日本全域で受け入れ先を探したらどうか。また、抑止力と言う間違った議論はすべきではない。日米関係はそんなに簡単に崩れない」

森本「プロセスが間違っている」

鈴木「政権運営はこんなに難しいのか」

岡本「くい打ち案は、テロにもろい」

孫崎「難しい」

森本「二度、過去に検討され、つぶれた。住民に近い。地元にカネが落ちない。技術的に無理」

我部「建設方法いかんに問わず、地元は反対する」

孫崎「鳩山さんは、ずっと県外と言ってきた。その思いを官邸、外務省、防衛省とも実現しようとしなかった。さびしい話」

岡本「もっと時間をかけて、静かな対話を続けて説得すべきだった」

森本「徳之島への訓練移転は、玄関先に靴がない、ようなもの。無理」

孫崎「1月と3月の2回、長崎の自衛隊施設を使う案を首相に提案。しかし官僚が検討しなかった」

岡本「孫崎さんのいい方が説得力があるから首相がぐらつく。訓練を九州にもて行くのはできない。部隊を全部持っていくしかない。その施設はない」

森本「分散するのは難しい」

我部「すでに海兵隊は分散移転。これ以上は分散したくないと米軍は思っている」。

鈴木「殴り込み部隊である海兵隊が国外にあるのは、日本に駐留する海兵隊のみ。米国自身の要請で撤退してゆく過程にある」

孫崎「抑止力というのは、核はまず、本土の大陸間弾道弾の問題。対象となるのは管轄地。北方領土は対象外。竹島はブッシュ時代、米国はこれを韓国領と認めてしまったのでこれまた管轄外。となると対象は尖閣諸島なのだが、日米間の取り決めで島の防衛は日本が行うことに。自衛隊を強化すべき」

岡本「最後の部分、自衛隊の強化については賛成。今も防衛費は低すぎる。しかし、防衛費の増額は、現実的に難しい」

森本「即応性のある戦力が存在することは意味がある」

孫崎「外務省は70年代までは過剰な対米依存は危険、自主防衛が必要とみていた。自ら防衛を。総額では防衛費は高い」

岡本「中国の脅威は増大。尖閣を狙っている。地元の反対がある場合、日米の緊密な関係を見せつけることにはならない」

森本「中国は領有権の曖昧な箇所を狙って進出してくる。海洋はその最たるもの」

鈴木「ナイの唱えたソフトパワーが必要」

孫崎「沖縄の過度の集中を改めるべき」

岡本「縮小していく方向に変わるべき。しかし、軍事的な合理性で縮小すべき。地元の反対で、米軍が追い出される形で下がるのはまずい」

鈴木「軍事的合理性が先、という議論はおかしい。政治がまず決断し、軍事がその範囲で合理性を追求するべき」

孫崎選挙を前にして苦しいが、鳩山さんは、国民に直接、時間をかけて自分の考えを説明するべき」

森本「冷戦の崩壊とともに、中国の脅威が増してきた。これに対して対応すべき」

岡本「時間軸でいえば、真のリミットは11月末。ここまでかけてせっかく学習してきた鳩山総理がやるべき」

番組は終了。

岡本・森本タッグと、孫崎さんとの間の論点は、問題点が共有されていて明確だった。中国の脅威はある。それを自主防衛で補うべきとする孫崎氏。自主防衛に賛成しつつ、コストの問題を持ち出し、米軍の引き留めを主張する岡本氏。

米軍はほっておいては退いてしまうという認識は、他の論者にも共通している。つまり、それほど、米国は沖縄に駐留していたいとは思っていない。その引きとめが大事と見るか、自主防衛で空白を埋めるべきかの議論。だが、自国の防衛は自国で、が基本ではないか。

日中の領海争い、領土争いで、米軍が自らの血を流すか、それを米本国の世論が支持するかも疑問。岡本・森本両氏も、米軍が体を張って尖閣のために海兵隊が戦ってくれるとはいわない。張り出していることが抑止になるという論議。保守派の両氏は、孫崎氏の唱える自主防衛論になぜくみしないか?

自国の防衛は自国で、が基本とは思いますが、社民党を含め自衛隊は違憲とみなしている政党・団体がいる限りこの基本が通らない状態です。

結局、親米保守と社会党は同じ結論。55年体制、米国従属体制を仲良く補完している。

岡本氏の話を聞いていると、左派の九条信仰と同種の、米軍抑止力論信仰としか思えない。米軍が尖閣諸島の防衛に軍事力を発揮しないのであれば、我が国にとってなんのために沖縄に駐留する必要があるのでしょうか。

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無条件の閉鎖を

2010-05-07 | weblog

以下、ダイヤモンドより元CIA顧問チャルマーズ・ジョンソンのインタビュー記事を転載。

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―鳩山政権は普天間問題で窮地に立たされているが、これまでの日米両政府の対応をどう見るか。

まったく悲劇的だ。両政府は1995年の米兵少女暴行事件以来ずっと交渉を続けてきたが、いまだに解決していない。実を言えば、米国には普天間飛行場は必要なく、無条件で閉鎖すべきだ。在日米軍はすでに嘉手納、岩国、横須賀など広大な基地を多く持ち、これで十分である。

そもそもこの問題は少女暴行事件の後、日本の橋本首相(当時)がクリントン大統領(当時)に「普天間基地をなんとかしてほしい」ということで始まった。この時、橋本首相は普天間飛行場の移設ではなく、無条件の基地閉鎖を求めるべきだったと思う。

―普天間を閉鎖し、代替施設もつくらないとすれば海兵隊ヘリ部隊の訓練はどうするのか。

それは余った広大な敷地をもつ嘉手納基地でもできるし、あるいは米国内の施設で行うことも可能だ。少なくとも地元住民の強い反対を押し切ってまでして代替施設をつくる必要はない。このような傲慢さが世界で嫌われる原因になっていることを米国は認識すべきである。

沖縄では少女暴行事件の後も米兵による犯罪が繰り返されているが、米国はこの問題に本気で取り組もうとしていない。日本の政府や国民はなぜそれを容認し、米国側に寛大な態度を取り続けているのか理解できない。おそらく日本にとってもそれが最も簡単な方法だと考えているからであろう。

―岡田外相は嘉手納統合案を提案したが、米国側は軍事運用上の問題を理由に拒否した。

米軍制服組のトップは当然そう答えるだろう。しかし、普天間基地が長い間存在している最大の理由は米軍の内輪の事情、つまり普天間の海兵隊航空団と嘉手納の空軍航空団の縄張り争いだ。すべては米国の膨大な防衛予算を正当化し、軍需産業に利益をもたらすためなのだ。

米軍基地は世界中に存在するが、こういう状況を容認しているのは日本だけであろう。もし他国で、たとえばフランスなどで米国が同じことをしたら、暴動が起こるだろう。日本は常に受身的で日米間に波風を立てることを恐れ、基地問題でも積極的に発言しようとしない。民主党政権下で、米国に対して強く言えるようになることを期待する。

―海外の米軍基地は縮小されているのか。

残念ながら、その動きはない。米国は世界800カ所に軍事基地を持つが、こんなに必要ない。世界のパワーバランス(勢力均衡)を維持するためなら、せいぜい35~40の基地で十分だ。米国政府は巨額の財政赤字を抱え、世界中に不必要な軍事基地を維持する余裕はないはずだ。

―日本では中国や北朝鮮の脅威が高まっているが。

日本にはすでに十分すぎる米軍基地があり、他国から攻撃を受ける恐れはない。もし中国が日本を攻撃すれば、それは中国にこれ以上ない悲劇的結果をもたらすだろう。中国に関するあらゆる情報を分析すれば、中国は自ら戦争を起こす意思はないことがわかる。中国の脅威などは存在しない。それは国防総省や軍関係者などが年間1兆ドル以上の安全保障関連予算を正当化するために作り出したプロパガンダである。過去60年間をみても、中国の脅威などは現実に存在しなかった。

北朝鮮は攻撃の意思はあるかもしれないが、それは「自殺行為」になることもわかっていると思うので、懸念の必要はない。確かに北朝鮮の戦闘的で挑発的な行動がよく報道されるが、これはメディアが冷戦時代の古い発想から抜け出せずにうまく利用されている側面もある。

―米軍再編計画では普天間の辺野古移設と海兵隊のグアム移転がセットになっているが、辺野古に移設しない場合、グアム移転はどうなるのか?

米国政府はグアム住民の生活や環境などへの影響を十分に調査せず、海兵隊の移転計画を発表した。そのため、グアムの住民はいま暴動を起こしかねないぐらい怒っている。グアムには8千人の海兵隊とその家族を受け入れる能力はなく、最初から実行可能な計画ではなかったのだ。

―それでは米国政府が「普天間を移設できなければ議会が海兵隊のグアム移転の予算を執行できない」と強く迫っていたのは何だったのか。

自らの目的を遂げるために相手国に強く迫ったり、脅したりするのは米国の常套手段である。

―海兵隊をグアムに移転できない場合、米国政府はどうするか。

おそらく米国内に移転することになろう。それでも海兵隊部隊の運用上、問題はないはずだ。

―日本では普天間問題で日米関係が悪化しているとして鳩山政権の支持率が急降下しているが。

普天間問題で日米関係がぎくしゃくするのはまったく問題ではない。日本政府はどんどん主張して、米国政府をもっと困らせるべきだ。これまで日本は米国に対して何も言わず、従順すぎた。日本政府は米国の軍需産業のためではなく、沖縄の住民を守るために主張すべきなのだ。

―米軍基地の大半が沖縄に集中している状況をどう見るか。

歴史的に沖縄住民は本土の人々からずっと差別され、今も続いている。それは、米軍基地の負担を沖縄に押しつけて済まそうとする日本の政府や国民の態度と無関係ではないのではないか。同じ日本人である沖縄住民が米軍からひどい扱いを受けているのに他の日本人はなぜ立ち上がろうとしないのか、私には理解できない。もし日本国民が結束して米国側に強く主張すれば、米国政府はそれを飲まざるを得ないだろう。

―今年は日米安保50周年だが。

日本にはすでに世界最大の米海軍基地(横須賀)があり、各地に空軍基地も存在する。これ以上の基地は必要ない。東アジアのどの国も日本を攻撃しようなどとは考えないだろう。日本政府は巨額の「思いやり予算」を負担している。自国の外交・防衛費をすべて負担できない米国のために、日本が同情して払っているのだ。 

―普天間問題を解決できなければ両政府がどんなに同盟の深化を強調してもあまり意味がない、との指摘もあるが。

それは米国が軍事力優先の外交を展開しようとしているからである。一般の米国人は日本を守るために米国がどんな軍事力を持つべきかなどほとんど関心がないし、そもそも米国がなぜ日本を守らなければならないのか疑問に思っている。世界で2番目に豊かな国がなぜこれほど米国に頼らなければならないのか理解できない。それは日本人があまりに米国に従順で、イージーゴーイング(困難を避けて安易な方法を取る)だからではないか。


徳之島ガイドライン

2010-05-04 | weblog

2ちゃんねるで - 戦闘民族「徳之島」のガイドライン - を発見。面白かったので以下、転載。

 

■江戸時代初期、日本最強の薩摩藩が島に侵略。奄美~沖縄の中で最後まで抵抗したのが徳之島。

■鉄砲を備えた薩摩藩に刀鍬だけで最後までゲリラ戦。双方に千人規模の犠牲者を出し、あの薩摩藩がビビる。

■その為、徳之島人の機嫌をとる為に薩摩藩が許したのが闘牛。 支配中も度々反乱し薩摩藩の譲歩を勝ち取る。

■戦前から貧しさゆえに尼崎、神戸、大阪・東淀川区、川崎等に移住者が多い。

■移住先のヤクザ(山口組、稲川会等)入る人間も多く「徳之島」(特に伊仙)と言ったらヒットマンの代名詞。

■山口組の有名な抗争、「山一戦争」「大阪戦争」で活躍したヒットマンの多くが徳之島人 。

■反対に移住先の大阪府警、兵庫県警、神奈川県警にも島出身者、二世、三世が多い事で知られる。

■戦後、沖縄と共にアメリカ統治下になったが、ハンスト、組織的な抵抗で大規模な反乱を数年間起こし続ける。

■奄美復帰運動の指導者は徳之島出身。占領から8年でアメリカがビビって奄美群島だけ日本に返還。

■戦前、戦後に沖縄に移住した徳之島(奄美大島人も含む)人は、奄美だけ日本に返還された後、沖縄で 全ての権利を奪われ差別された為(日本復帰まで続く)沖縄に対する思いは複雑。

■沖縄ヤクザに徳之島人が多いのは↑の理由。 沖縄ヤクザの中心に徳之島人脈がおり、山口、稲川の徳之島人脈と交流がある。

■選挙のたびに島が真っ二つになり内戦を行う土地。

■選挙のたびに鹿児島県警から機動隊が派遣、数人~二桁単位で犠牲者。

■島内の争いの時には刃物を使わないという暗黙の了解がある(島外が絡むと違う)

■町長選挙で寝たきり老人のベッドを先頭に機動隊突破、ちなみに寝たきり老人も殺る気マンマン

■衆院選挙(保徳戦争)で選挙管理委員会同志で殴り合い。

■町長選挙で機動隊にハブ100匹ブチマケ機動隊突破

■参院選挙で小学生10人先頭に機動隊突破、もちろん小学生も殺る気マンマン

■町長自体が「俺たちは反権力で出来ている」 (ちなみに、保守系しかおらずお馴染みの左翼系組織は形だけいる)

■闘牛賭博が盛ん。鹿児島、沖縄ヤクザのシノギになっている。

■高校の校則に「闘牛所持禁止」(賭博)とある。

■闘牛大会の時も数人~二桁単位で犠牲者がでる