新しい栄養学に基いて、USDA(米国農務省)が国民に正しい食事をしてもらうための「食のピラミッド」を1992年に発表した。穀類を土台にして野菜・果物、乳製品・肉・魚・卵、トップが油脂・砂糖となっている。オプティマルな食事のあり方が一目を分かるスグレたもので、注意したいのは土台を多く摂り、トップは少なくする食品群の量の比率(バランス)だ。
USDAはこの「食のピラミッド」を前年に発表しようとしたが、様々な農業団体や食品業界の圧力により直前で取り止めた経緯がある。多民族国家の米国民に判り易いよう、単純化した量としての栄養バランス図だから、米国民の食品消費量も「食のピラミッド」に準じ、従って農業・食品業界の産業としての規模も「食のピラミッド」に準じなければならないことになる。
昨今の狂牛病騒動の際、食用牛を日本へ輸入させる政治圧力を鑑みれば、伝統的な肉食国家の畜産業界から、USDAに対して相当の圧力があったことは想像に容易い。他にもアーモンドのイラストを入れろ、や、アンディ・ウォーホルの作品で世界的に有名になったキャンベル・スープ社に至っては、ピラミッドをス-プ缶の形にしろとまで言ったらしい。
そして、「食のピラミッド」は2005年に改定された。
これなら業界の圧力も減るだろう。