「朝が来る」
辻村深月著、文春文庫、2018年9月
特別養子縁組制度でつながった生みの親と育ての親、二組の人生を双方の視点で描いた小説。
第一章、第二章は育ての親側の視点で、
子ども同士の事故、親同士の付き合い、不妊治療などが具体的に描かれています。
それらが落ち着いたと思ったら、
「産んだ子を返してほしい。それが嫌ならお金を用意して」
との脅迫めいた電話が。
第三章は生みの親側の視点で、
中学生の妊娠、支援団体の施設での生活、出産後の家族親戚への不信感・嫌悪感、
家出、人間関係・金銭トラブルが描かれ、残酷なくらいに堕ちていきます。
最後の第四章でもさらに堕ちていき、もう残りページも少ないんですけど・・・。
そして結末。
特別養子縁組制度については、巻末に参考資料が掲載されていますので、
筆者が調べられたのでしょう。
仕組みや実際の運用がよく分かりました。
辻村深月の作品を読むのは本作が初めてです。
きっかけは映画化。
永作博美が育ての親役を演じるとのこと。
「八日目の蝉」でも産んでない子を育てました。
育ての親に縁があるようです。
「八日目の蝉」の方は違法、本作は合法。
どう演じ分けるのか、いまから楽しみです。
当初は今年6月公開予定でしたが、10月公開に変更になりました。
関連エントリ:
八日目の蝉