八重洲無線のHF/50トランシーバー FTdx10 を購入して今までのメインリグである FTdx3000 と比べてみました。FTdx3000 を使い始めてから早10年となり、もうそろそろ次のリグになってもいいな、と思ったのが購入動機です。FTdx10 は某トランシーバーランキングで2位(1位はFTdx101)だそうで、FTdx101の性能をそのまま引き継いでいる、というのがうたい文句のようです。
果たしてうたい文句のような性能なのか? と期待して FTdx3000 と比べてみました。まず操作性ですがこれはもう問題なくFTdx10が良いと思っていたのですが、確かに多くのメニューを選んで設定する機能やスコープの設定などは良いのですが、頻繁に使うバンド、モード選択、APF、WIDTHなどはむしろFTdx3000の方が便利です。これはFTdx10がコンパクト志向なのでダイヤルの周りにこれらのツマミが配置されていること、そしてこれがやや操作しずらいこと、によります。やっぱりFTdx3000程度の前面の広さがありバンドSWが展開していれば格段に操作性は上がります。
特に一つのバンドSWに3個のメモリが設定できる(例えば7MHzでは下のCW、中間のSSB、上のSSBと分けておける)のに対し、イチイチバンド切替を表示させて切替えるのは面倒で、FTdx3000のようにワンプッシュで切替えたいものです。
受信は非常に優秀だと言われていますが、FTdx3000と聞き比べてみるとノイズすれすれの局の信号でも大差がないように思えます。音については少し硬い感じがして、良く言えばメリハリがあり、そうでなければ耳に障るように感じます。これはスピーカーにも左右されるので何とも言えませんが、FTdx3000 ではもう少し柔らかい感じで聞こえます。
SDRトランシーバーの目玉としてスペクトラムスコープがあげられますが、FTdx10 は当然 FTdx3000 に比べ解像度が高い「針」のように信号が表示されます。しかしこれがイマイチで「もう少し何とかならないかな?」というのが第一印象です。これはICOMのように平均化をしていないためで、下のように SDRPlay+PCで FTdx3000 の受信信号を表示させたものと比較して「美的感覚」が乏しい感じがします。
FTdx3000 のRFoutをSDRPlay+PCでスペクトル表示
もっともスペクトラム表示はバンド全体の状態を把握するのが目的なので美的感覚は二の次だ、という意見もあるようですが、使用中は常にこの画面を見ることになるので、スペクトラム表示は今までのトランシーバーとはまた違った評価対象の一つになると思います。また売りである3DSS表示についてもあまりピンときません(平均化をしないのはこの3DSSの故と思っていたが、SCU-LAN10では両方ともサポートしているので単にFTdx10に組み込んでいないだけ)。
なお背面にあるDVIコネクタによりディスプレイに拡大表示させることができるのも1つのウリですが、期待していた「マウスのホイールでスペクトル上での周波数移動」ができません(FT710はできるらしい?)。
それからこれは性能やパネル表示とは違うのですが「存在感に欠ける」印象があります。これは今まで FT2000 ~ FTdx3000 と使ってきた流れでどんどんリグが小さくなってきたのですが、ここまで小さいと FT991 と大して変わりがないな、と感じてしまいます。FT710 を出すのなら、FTdx10は もう少し大きくしてバンドSWなどを右端に配置した方が「セミミドル級」だと差別化ができたと思うのですが?
使用してから半年後の感想もありますのでよろしければどうぞ。
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