「自衛隊による拉致被害者救出のシュミレーション
講師:佐藤守氏」レポート その4
『質疑応答 その1』
★荒木和博調査会代表 挨拶
このような形でのシュミレーションと言うのは初めての事で、皆さんもこういうこともあるのか?とお分かりになった事もあると思います。
先日の日朝の協議で何も前に進まなかったという様子を見て、単なる話合いではどうしようもないと思われた方は多いと思います。
このところ朴とか辛光洙とか話が出てきますが、彼らに対する国際指名手配とかやった方が良いんですが、あれをいくらやっても被害者は帰って来るわけではございませんので、今後いったいどうすべきかと言う事を我々は突っ込んで考えなければいけないのではないか?と言うのが今回の講演会の趣旨でございます。
これから質疑応答に入りますが、一番最初に地図をたくさん使われた恵谷さんがおいでなので一言ご返答していただければと。
★恵谷治氏(軍事ジャーナリスト)
こういう作戦の前提は、先生のお言葉の言う「目標の確定」が全てでして。
私もいろいろシュミレーションをするんですけども、結局は目標がどこに行っているかどういう状況かと言う事が明確にならなければ全くの机上の空論。
作戦の一つの事例として自衛隊の邦人救出と言うお話をされましたが、この邦人救出作戦と言うのは彼らが集合地点に集結して隠密に動けるという前提、あるいは隠密でなくても先ほど言われた村長(むらおさ)が出てきてリーダーシップをとって動けるという事であれば、私は作戦は可能だと思います。
逆に拉致被害者の場合は監視が厳しくてそういう事が出来ない場合は、よほどの偶然が重ならない限り自由行動は出来ないという前提で作戦を考える必要がある。
となるとこれは本当に軍事技術的に厳しい。
もう一点は例えば100人被害者がいたとしても、100人を同時にと言うのは不可能。
技術的にも絶対に不可能。
となれば涙を呑んでこちらを切ると言うという決断が無い限りは作戦は決行出来ない。
何人かを救出して後の方はどうなるか?と言う事を考えると、本当に真剣に考えれば考えるほど救出作戦は難しいなと。
★回答 佐藤守氏
仰るとおりですね。
今ワンポイントに絞ってもギリギリの戦いなんですね。
恵谷さんが仰られたように、救う人が仮に100人いたら20人で作戦を打ち切りにせざるを得ない可能性。
その優先順位ですね。
これが助けに行った人間も作戦を指揮した人間も一生残るんですよね。
非常に難しいと思いますね。
大風呂敷を広げて100人全員を救うと言う事はどう考えても非常に公算が低いのでどこかに絞ろうと。
逆に恵谷さんに聞きたいのですが、そういう行動をしたときにこれは当たるも八卦なんですが、北朝鮮はどういう衝撃を受けるか?どういう行動をするのか?
これは他にご意見があったら聞きたいのですが。
荒木さんが(資料を)出されたでしょう?
これは大変面白くて、ご精読いただきたい。
(注:佐藤氏の言う荒木氏の資料とは、講演会で配布された資料の中にあった以下の物の事を指しています)
1 日本海軍の北洋漁業保護の実例
府本昌芳「海軍旗の下の北洋漁業」『文藝春秋社』(昭和31年6月号)
2 救出された漁民の回顧
インターネット情報(出処不明)
3 日本海軍の北洋漁業保護の方針
飛内進『大湊警備負沿岸革史-北海の護り-』(平成12年7月15日)
(中略)
・・・野村さんの部下といますか、海軍補佐をやった男なんですが、それがいろいろ書き残した物がありましてね。
それを引っ張り出してきたんですが、そしたらこれが大変面白い。
横浜に飛行場部隊があったんですね。
大型飛行、これが南方経路をずっと飛んでいたんですが、ちょっとこれ短いんで読んでみますがね。
これと殆ど同じなんです。
これが非常に大きなインパクトを与えてソ連が折れて日ソ交渉が進展したというんですね。
デモンストレーション飛行と言うのが、横浜航空隊始末記とかいう、田村○○さんと言う隊長がこう書いている。
私が横浜航空隊に勤務していた時であった。
昭和14年1月末だったと記憶する。
飛行艇の耐寒訓練をすることになった。
大型飛行艇4機と共に急に青森県の大湊に進出せよと言う命令を貰った。
ところがここに面白い指令が付いていた。
それは各種の耐寒訓練を実施すると同時に航行訓練を頻繁に行え、というような命令だった。
航行訓練と言うのは楽しくてね、私も良くやりましたが、勝手気ままにエリアを決めて、飛んでくるんですよ。
うんと低空飛行するときもありますし、山の間を(飛ぶ事もある)
しかもそのコースですね。
コースは必ず北海道の小樽ですね。
小樽上空を南から北に向けて飛べと、高度も1000メートル以下が望ましい。
要するに下から見えないといけないから、なるべく見えるようにしなさい。
南から北へ帰るときは小樽の上空を突っ切っていきますね。
一旦戻る時は小樽を避けて、はるかに洋上を飛ぶかあるいは北海道を一周しても宜しい。
これはパイロットは大変面白いですからね。
小樽市内だけを1000メートル以下で通過すれば後はどこを飛んでも良いんですから。
樺太まで飛んでも良いんですから。
で、この田村隊長は妙な制限だな?と、しかしながらこの指令は軍隊長以上にのみに申し送り・・・これは秘密保全ですね。
予定された搭乗員は訓練飛行をするだけで良いのであった。
したがって時には北海道を一周したり、筆者も樺太の国境付近まで飛んだ。
問題は小樽上空飛行のなんど(?)であった。
当時は日ソ漁業交渉で両国の意見がまとまらず、新聞が毎日その険悪な状況を報道していた時であった。
そしてこの訓練も一週間で終わり、横浜に撤収した。
同時に日ソ漁業交渉もようやく妥協に落ち着いた、と新聞に報ぜられた。
その直後海軍省の情報関係者から横浜航空隊の小樽航空飛行は相当効果があった。
それは何か?と関係者が後で聞いた話では、当時小樽札幌方面にはソ連の情報担当者・エージェントがたくさんいたと。
現地の情報を刻々とソ連に通報していたと。
そういうことを軍隊が全うでしたからちゃんとやっていたんですね。
今は公安ですけど。
それで電報を打ってたんですね、エージェントが。
そのエージェントが日本の大型飛行艇が盛んに北上している。
もしこの日ソ交渉が決裂した場合には何かに備えているのだろう、と言う意味の電報を打電しているのを傍受した。
その当時この飛行がどの程度効果があったか具体的に分からないけれども、心理的には相当の効果を思わぬところに伏兵がいるもので、デモンストレーションとか謀略とかは普通の常識では考えられない。
と田村さんは書いている。
これなんか典型的に面白いんです。
こういう実に面白い戦争ごっこを日本人は忘れてしまっているんですね。
ですから対話と圧力といっても圧力のかけ方を全く知らない。
私は現役のときから言っているんですが、小松に集まって航空自衛隊で大演習をやろうと日本海上空でですね。
あるいは海上自衛隊との共同作戦をやろうじゃないかと、これは我々は日常の訓練でございますけども、彼らはそうは受け取らない。
勝手に思わせて置けばいいのであって、ギリギリの所まで行けばいいんですね。
こういう軍事力の使い方をしないでいると言うのは、「百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため」だと言う事を全く忘れている。
たまたま荒木さんがこれを送ってきましてこれを読んで、あぁ、これはうちにもあったなぁと思って。
これは実際恵谷さんが仰ったように公算は非常に低い。
とにかく、全員パーフェクトに救いたい。
気ばっかり焦りますよね。
下手をするとイラン大使館のようになりますけど、それをやらせないでどこかで線を引く。
あるいはこういったデモンストレーションが逆に日朝交渉を進展させて、その辺の所どうでしょうかね?佐藤さん。
西村さんでも良いけど、難しいでしょうかね?
★佐藤氏
え?僕ですか?
お話ありましたように、いわゆる情報の協力者の確保もそうですけども、情報の欠如と言うのがとにかく大きいと思うんですよね。
仰るように目標の定位置・定点に集合させる事、結局現地はいわゆる日本人が、通常普通の国だと商社マンがいたりJICAの人間がいたりしますけど、あの国と言うのは日本人がいないわけですから、そうなると向こうの国民を
先ほど言ったように信用が出来ないという、この辺が大変難しいんじゃないか?と感じました。
★西村幸祐氏(ジャーナリスト)
佐藤先生が仰ったんですが、「百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため」と言う事を忘れているということなんですが、今日のこの催し自体がですね。
荒木さん、最初にハレーションを起したと仰いましたが、どのようなハレーションかちょっと分からないんですが、こういった自衛隊による拉致被害者救出シュミレーションと言う講演会が行われた事自体、今の北朝鮮に対しての新しい圧力に実はなるんではないか?と思うんですね。
今までこういった事が余りにも無さ過ぎたんですから、それだけでも今日の講演の意味が、内容ももちろん意義があるんですが、行われた事自体有意義だと思います。
★増元照明(家族会事務局長)
非常に面白く聞いておったんですけども、否定的なことばっかりがちょっと頭に浮かびまして、定時・定点はまず無理だろうと言うことでしたね。
陸自が主体になっていくと言う事でしたけど、私たちが考えている救出手段と言うのは、被害者全員ではなくとにかく誰がどこにいるかと言う情報をつかんだら、そこに飛行機なりヘリなり飛んでいって、そしてその人を密かに救出してくる。
向こうは北朝鮮は死んでるし、いないと言ってるんですから、そういった人たちが1人でも二人でも出てくれば、世界中で北朝鮮の拉致と言うのは認識されていますから、それ以上手を出せなくしてしまうと。
そちらの方が私は良いと思うんですけども。
それでとにかく否定的な事を考えると情報の秘密保全ですね。
官邸が今ちょっと朝鮮総連をつながってますので、それは無理だろうと。
総理が代わらない限りちょっと無理だろうなぁと言うのが私の実感です。
★回答 佐藤守氏
そうですね、このシュミレーションは法的な事は一切無視して話をしているんで、法的に言われた中で法的に死亡したと、殺された人間を隠密に上手く救い出す事が出来たらこれはヒットです。
100人を一挙にどころではないですね。
確かに。
★荒木和博氏
司会者は喋っちゃいけないんですが、今増元さんが言われたように隠密で誰か引っ張り出してくる。
これは何とかして誰かに接触して本人の帰国意思を確認した上でどこかに連れて来てという事が可能であれば、それで明らかになっただけでも、それによって政治の部分が動いてと言うことはひとつはあるかもしれませんが。
ただこういう事は思ったとおりにだいたい全て行かないので、途中で上手くいなくなった場合にある程度強襲をしなければいけないという事も当然含めて考えなければいけない。
いい加減な推測だといわれてしまえばそれまでなんですが、北朝鮮と言う国の特性からすると、脅かせば強い事はおそらく出来ないだろう。
こちら側が強く出て徹底してやれば相手方のマインドの方が崩壊していって、それが外に出てくるという事は非常に考え難いのではないだろうか?
そうなった時に外に対して出て行くとか、あるいは内部で我々にとって否定的な事をするという事に対して、中国を含めてブレーキを掛けざるを得ないのではないか?というような感じを私はしています。
先ほど西村さんが言われたような事なんですが、こういう事をやっている。
それで日本の中でこういう事を考えていると言う話は北朝鮮もさることながら中国はかなりもっと敏感に感じるでしょうから、とすると北朝鮮のお陰で寝た子が目を覚ましてしまうと。
これは拙いと言う事は当然彼らは思うであろうと。
そうすると何をするかと言うと北朝鮮に対して何らかの圧力をかけざるを得なくなるだろうと。
そういう意味の圧力もあるんじゃないかと思うんですが、ある程度強襲でやらざるを得ないとなった時には、全ての被害者の安全を確保せよと。
それを北朝鮮の体制に対して強いメッセージを与えることで、内部が割れたときにある意味で言うと、拉致被害者の身辺を安全にすると言う事が最終的に自分達の安全につながると言うように思わせていくと。
これは今からでも当然やっていかなければならない事ですが、そういう事を全部合わせて行うと言う事があるのではないか?
今我々がやっています短波放送も今ひとつは情報を出してもらいたいという事で、東京郵便局の私書箱を繰り返し繰り返し番号を流してですね。
情報が取れないか?と言う事をやっている。
それで(情報が)来れば何らかの動きが出来ますし、最終的なお話は終結地点とかそういうことのインフォメーションを短波放送で流せるのではないだろうかと言うことがありまして。
ただ当然放送で流せば相手方にも聞かれてしまうわけで、やる事に制限はあるんですけども、最終的にはそういう使い方をするという前提があるわけですよね。
あとは情報の収集と言うのも、収集と保全と言うのは非常に難しい問題であるんですが、吹けば飛ぶような特定失踪者調査会にだって、情報は入ってくるわけですから。
いわんやそれにもうちょっとプラスアルファがあれば、現時点でどこに誰がいるか?と言うのも、今の北朝鮮の状況と言うのも考えれば入ってくるのではないだろうか?と言う気がしておりますんで、その方法はいろいろあると思います。
ただ先ほどの何人か諦めなければならないという覚悟もありましたけれども、そういうことも含めて救出をすると言う事はただ待っていてそのうち良くなるでしょうと言うような、天気が良くなるのを待っているようなことではなくて、本気で命懸けでやらざるを得ないと。
それを国民全体がある程度コンセンサスを持てるかどうか?と言うことにもかかってくると思うんですね。
今までのように放っておけば全然返って来ないわけでして、何かの決断をどこかでしなければならないということ。
そういう精神的な問題と言うのを、実際に運用する側は軍人がやるわけですけども、それをバックアップする意味で国民であれマスコミであれ、そういう覚悟は求めていかなければならないんじゃないだろうか?
そこらへんを含めていろいろご意見があれば出していただければと思います。
どなたか・・・
・・・レポートその5に続く・・・
◆―――――――――――――――――――――――――◆
この記事が参考になった方は、下記バナーをクリックしてください。
講師:佐藤守氏」レポート その4
『質疑応答 その1』
★荒木和博調査会代表 挨拶
このような形でのシュミレーションと言うのは初めての事で、皆さんもこういうこともあるのか?とお分かりになった事もあると思います。
先日の日朝の協議で何も前に進まなかったという様子を見て、単なる話合いではどうしようもないと思われた方は多いと思います。
このところ朴とか辛光洙とか話が出てきますが、彼らに対する国際指名手配とかやった方が良いんですが、あれをいくらやっても被害者は帰って来るわけではございませんので、今後いったいどうすべきかと言う事を我々は突っ込んで考えなければいけないのではないか?と言うのが今回の講演会の趣旨でございます。
これから質疑応答に入りますが、一番最初に地図をたくさん使われた恵谷さんがおいでなので一言ご返答していただければと。
★恵谷治氏(軍事ジャーナリスト)
こういう作戦の前提は、先生のお言葉の言う「目標の確定」が全てでして。
私もいろいろシュミレーションをするんですけども、結局は目標がどこに行っているかどういう状況かと言う事が明確にならなければ全くの机上の空論。
作戦の一つの事例として自衛隊の邦人救出と言うお話をされましたが、この邦人救出作戦と言うのは彼らが集合地点に集結して隠密に動けるという前提、あるいは隠密でなくても先ほど言われた村長(むらおさ)が出てきてリーダーシップをとって動けるという事であれば、私は作戦は可能だと思います。
逆に拉致被害者の場合は監視が厳しくてそういう事が出来ない場合は、よほどの偶然が重ならない限り自由行動は出来ないという前提で作戦を考える必要がある。
となるとこれは本当に軍事技術的に厳しい。
もう一点は例えば100人被害者がいたとしても、100人を同時にと言うのは不可能。
技術的にも絶対に不可能。
となれば涙を呑んでこちらを切ると言うという決断が無い限りは作戦は決行出来ない。
何人かを救出して後の方はどうなるか?と言う事を考えると、本当に真剣に考えれば考えるほど救出作戦は難しいなと。
★回答 佐藤守氏
仰るとおりですね。
今ワンポイントに絞ってもギリギリの戦いなんですね。
恵谷さんが仰られたように、救う人が仮に100人いたら20人で作戦を打ち切りにせざるを得ない可能性。
その優先順位ですね。
これが助けに行った人間も作戦を指揮した人間も一生残るんですよね。
非常に難しいと思いますね。
大風呂敷を広げて100人全員を救うと言う事はどう考えても非常に公算が低いのでどこかに絞ろうと。
逆に恵谷さんに聞きたいのですが、そういう行動をしたときにこれは当たるも八卦なんですが、北朝鮮はどういう衝撃を受けるか?どういう行動をするのか?
これは他にご意見があったら聞きたいのですが。
荒木さんが(資料を)出されたでしょう?
これは大変面白くて、ご精読いただきたい。
(注:佐藤氏の言う荒木氏の資料とは、講演会で配布された資料の中にあった以下の物の事を指しています)
1 日本海軍の北洋漁業保護の実例
府本昌芳「海軍旗の下の北洋漁業」『文藝春秋社』(昭和31年6月号)
2 救出された漁民の回顧
インターネット情報(出処不明)
3 日本海軍の北洋漁業保護の方針
飛内進『大湊警備負沿岸革史-北海の護り-』(平成12年7月15日)
(中略)
・・・野村さんの部下といますか、海軍補佐をやった男なんですが、それがいろいろ書き残した物がありましてね。
それを引っ張り出してきたんですが、そしたらこれが大変面白い。
横浜に飛行場部隊があったんですね。
大型飛行、これが南方経路をずっと飛んでいたんですが、ちょっとこれ短いんで読んでみますがね。
これと殆ど同じなんです。
これが非常に大きなインパクトを与えてソ連が折れて日ソ交渉が進展したというんですね。
デモンストレーション飛行と言うのが、横浜航空隊始末記とかいう、田村○○さんと言う隊長がこう書いている。
私が横浜航空隊に勤務していた時であった。
昭和14年1月末だったと記憶する。
飛行艇の耐寒訓練をすることになった。
大型飛行艇4機と共に急に青森県の大湊に進出せよと言う命令を貰った。
ところがここに面白い指令が付いていた。
それは各種の耐寒訓練を実施すると同時に航行訓練を頻繁に行え、というような命令だった。
航行訓練と言うのは楽しくてね、私も良くやりましたが、勝手気ままにエリアを決めて、飛んでくるんですよ。
うんと低空飛行するときもありますし、山の間を(飛ぶ事もある)
しかもそのコースですね。
コースは必ず北海道の小樽ですね。
小樽上空を南から北に向けて飛べと、高度も1000メートル以下が望ましい。
要するに下から見えないといけないから、なるべく見えるようにしなさい。
南から北へ帰るときは小樽の上空を突っ切っていきますね。
一旦戻る時は小樽を避けて、はるかに洋上を飛ぶかあるいは北海道を一周しても宜しい。
これはパイロットは大変面白いですからね。
小樽市内だけを1000メートル以下で通過すれば後はどこを飛んでも良いんですから。
樺太まで飛んでも良いんですから。
で、この田村隊長は妙な制限だな?と、しかしながらこの指令は軍隊長以上にのみに申し送り・・・これは秘密保全ですね。
予定された搭乗員は訓練飛行をするだけで良いのであった。
したがって時には北海道を一周したり、筆者も樺太の国境付近まで飛んだ。
問題は小樽上空飛行のなんど(?)であった。
当時は日ソ漁業交渉で両国の意見がまとまらず、新聞が毎日その険悪な状況を報道していた時であった。
そしてこの訓練も一週間で終わり、横浜に撤収した。
同時に日ソ漁業交渉もようやく妥協に落ち着いた、と新聞に報ぜられた。
その直後海軍省の情報関係者から横浜航空隊の小樽航空飛行は相当効果があった。
それは何か?と関係者が後で聞いた話では、当時小樽札幌方面にはソ連の情報担当者・エージェントがたくさんいたと。
現地の情報を刻々とソ連に通報していたと。
そういうことを軍隊が全うでしたからちゃんとやっていたんですね。
今は公安ですけど。
それで電報を打ってたんですね、エージェントが。
そのエージェントが日本の大型飛行艇が盛んに北上している。
もしこの日ソ交渉が決裂した場合には何かに備えているのだろう、と言う意味の電報を打電しているのを傍受した。
その当時この飛行がどの程度効果があったか具体的に分からないけれども、心理的には相当の効果を思わぬところに伏兵がいるもので、デモンストレーションとか謀略とかは普通の常識では考えられない。
と田村さんは書いている。
これなんか典型的に面白いんです。
こういう実に面白い戦争ごっこを日本人は忘れてしまっているんですね。
ですから対話と圧力といっても圧力のかけ方を全く知らない。
私は現役のときから言っているんですが、小松に集まって航空自衛隊で大演習をやろうと日本海上空でですね。
あるいは海上自衛隊との共同作戦をやろうじゃないかと、これは我々は日常の訓練でございますけども、彼らはそうは受け取らない。
勝手に思わせて置けばいいのであって、ギリギリの所まで行けばいいんですね。
こういう軍事力の使い方をしないでいると言うのは、「百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため」だと言う事を全く忘れている。
たまたま荒木さんがこれを送ってきましてこれを読んで、あぁ、これはうちにもあったなぁと思って。
これは実際恵谷さんが仰ったように公算は非常に低い。
とにかく、全員パーフェクトに救いたい。
気ばっかり焦りますよね。
下手をするとイラン大使館のようになりますけど、それをやらせないでどこかで線を引く。
あるいはこういったデモンストレーションが逆に日朝交渉を進展させて、その辺の所どうでしょうかね?佐藤さん。
西村さんでも良いけど、難しいでしょうかね?
★佐藤氏
え?僕ですか?
お話ありましたように、いわゆる情報の協力者の確保もそうですけども、情報の欠如と言うのがとにかく大きいと思うんですよね。
仰るように目標の定位置・定点に集合させる事、結局現地はいわゆる日本人が、通常普通の国だと商社マンがいたりJICAの人間がいたりしますけど、あの国と言うのは日本人がいないわけですから、そうなると向こうの国民を
先ほど言ったように信用が出来ないという、この辺が大変難しいんじゃないか?と感じました。
★西村幸祐氏(ジャーナリスト)
佐藤先生が仰ったんですが、「百年兵を養うは、一日にこれを用いんがため」と言う事を忘れているということなんですが、今日のこの催し自体がですね。
荒木さん、最初にハレーションを起したと仰いましたが、どのようなハレーションかちょっと分からないんですが、こういった自衛隊による拉致被害者救出シュミレーションと言う講演会が行われた事自体、今の北朝鮮に対しての新しい圧力に実はなるんではないか?と思うんですね。
今までこういった事が余りにも無さ過ぎたんですから、それだけでも今日の講演の意味が、内容ももちろん意義があるんですが、行われた事自体有意義だと思います。
★増元照明(家族会事務局長)
非常に面白く聞いておったんですけども、否定的なことばっかりがちょっと頭に浮かびまして、定時・定点はまず無理だろうと言うことでしたね。
陸自が主体になっていくと言う事でしたけど、私たちが考えている救出手段と言うのは、被害者全員ではなくとにかく誰がどこにいるかと言う情報をつかんだら、そこに飛行機なりヘリなり飛んでいって、そしてその人を密かに救出してくる。
向こうは北朝鮮は死んでるし、いないと言ってるんですから、そういった人たちが1人でも二人でも出てくれば、世界中で北朝鮮の拉致と言うのは認識されていますから、それ以上手を出せなくしてしまうと。
そちらの方が私は良いと思うんですけども。
それでとにかく否定的な事を考えると情報の秘密保全ですね。
官邸が今ちょっと朝鮮総連をつながってますので、それは無理だろうと。
総理が代わらない限りちょっと無理だろうなぁと言うのが私の実感です。
★回答 佐藤守氏
そうですね、このシュミレーションは法的な事は一切無視して話をしているんで、法的に言われた中で法的に死亡したと、殺された人間を隠密に上手く救い出す事が出来たらこれはヒットです。
100人を一挙にどころではないですね。
確かに。
★荒木和博氏
司会者は喋っちゃいけないんですが、今増元さんが言われたように隠密で誰か引っ張り出してくる。
これは何とかして誰かに接触して本人の帰国意思を確認した上でどこかに連れて来てという事が可能であれば、それで明らかになっただけでも、それによって政治の部分が動いてと言うことはひとつはあるかもしれませんが。
ただこういう事は思ったとおりにだいたい全て行かないので、途中で上手くいなくなった場合にある程度強襲をしなければいけないという事も当然含めて考えなければいけない。
いい加減な推測だといわれてしまえばそれまでなんですが、北朝鮮と言う国の特性からすると、脅かせば強い事はおそらく出来ないだろう。
こちら側が強く出て徹底してやれば相手方のマインドの方が崩壊していって、それが外に出てくるという事は非常に考え難いのではないだろうか?
そうなった時に外に対して出て行くとか、あるいは内部で我々にとって否定的な事をするという事に対して、中国を含めてブレーキを掛けざるを得ないのではないか?というような感じを私はしています。
先ほど西村さんが言われたような事なんですが、こういう事をやっている。
それで日本の中でこういう事を考えていると言う話は北朝鮮もさることながら中国はかなりもっと敏感に感じるでしょうから、とすると北朝鮮のお陰で寝た子が目を覚ましてしまうと。
これは拙いと言う事は当然彼らは思うであろうと。
そうすると何をするかと言うと北朝鮮に対して何らかの圧力をかけざるを得なくなるだろうと。
そういう意味の圧力もあるんじゃないかと思うんですが、ある程度強襲でやらざるを得ないとなった時には、全ての被害者の安全を確保せよと。
それを北朝鮮の体制に対して強いメッセージを与えることで、内部が割れたときにある意味で言うと、拉致被害者の身辺を安全にすると言う事が最終的に自分達の安全につながると言うように思わせていくと。
これは今からでも当然やっていかなければならない事ですが、そういう事を全部合わせて行うと言う事があるのではないか?
今我々がやっています短波放送も今ひとつは情報を出してもらいたいという事で、東京郵便局の私書箱を繰り返し繰り返し番号を流してですね。
情報が取れないか?と言う事をやっている。
それで(情報が)来れば何らかの動きが出来ますし、最終的なお話は終結地点とかそういうことのインフォメーションを短波放送で流せるのではないだろうかと言うことがありまして。
ただ当然放送で流せば相手方にも聞かれてしまうわけで、やる事に制限はあるんですけども、最終的にはそういう使い方をするという前提があるわけですよね。
あとは情報の収集と言うのも、収集と保全と言うのは非常に難しい問題であるんですが、吹けば飛ぶような特定失踪者調査会にだって、情報は入ってくるわけですから。
いわんやそれにもうちょっとプラスアルファがあれば、現時点でどこに誰がいるか?と言うのも、今の北朝鮮の状況と言うのも考えれば入ってくるのではないだろうか?と言う気がしておりますんで、その方法はいろいろあると思います。
ただ先ほどの何人か諦めなければならないという覚悟もありましたけれども、そういうことも含めて救出をすると言う事はただ待っていてそのうち良くなるでしょうと言うような、天気が良くなるのを待っているようなことではなくて、本気で命懸けでやらざるを得ないと。
それを国民全体がある程度コンセンサスを持てるかどうか?と言うことにもかかってくると思うんですね。
今までのように放っておけば全然返って来ないわけでして、何かの決断をどこかでしなければならないということ。
そういう精神的な問題と言うのを、実際に運用する側は軍人がやるわけですけども、それをバックアップする意味で国民であれマスコミであれ、そういう覚悟は求めていかなければならないんじゃないだろうか?
そこらへんを含めていろいろご意見があれば出していただければと思います。
どなたか・・・
・・・レポートその5に続く・・・
◆―――――――――――――――――――――――――◆
この記事が参考になった方は、下記バナーをクリックしてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/0d/a319b0d0efa6d04ee7b3559243142858.png)