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拉致の解決を願って
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特定失踪者家族からの手紙 小林 榮さん

2009-12-27 | 時流
[調査会NEWS 880](21.12.27)

■小林七郎さん(小林榮さん弟)からの手紙

 11月2日に対策本部で渡された小林榮さんの弟、小林七郎さんから鳩山総理に宛てた手紙です。



 内閣総理大臣・拉致対策本部長 殿

 今回、多忙な中家族の希望であります面会に時間を割いていただきまして誠に有難うございます。

 さて、貴民主党は政権交代をなし、脱官僚、政治家主導の政治を旗印に、内閣総理大臣を先頭に各種の課題に精力的に取組まれておりますことは我々国民が政治家に望む、政治家の姿そのものを見る思いであります。

 そして総理は所信表明で「弱い立場の人々、少数の人々の視点を尊重することが私の友愛政治の原点」、「戦後政治の大掃除」をするなどの決意を発せられております。

 正しく拉致問題は、戦後の雑多なしがらみから派生したもので未だに解決できないでいることは、一独立国家として世界に恥じることで他に優先して着手すべき重要懸案でないでしょうか。

 実は私の兄、小林榮は今から43年前東京神田の印刷会社から突然いなくなりました。当時23歳で、その会社には住込みで7年ほど働いており、将来は自分で印刷会社を起こすのだと張り切っていました。

 兄は、農家の8人兄弟の6番目、東京に出て帰省は年に1~2回、家族が兄の失踪を知ったのは失踪してから1週間程して来た、会社からの手紙でした。「8月21日(日)の朝、社長が社内で見たきりなので田舎に帰っていませんか」という内容でした。家族が兄の荷物を引き取りに行った際、会社側の方は兄はいなくなる2,3日前から体調を崩しており、いなくなったその日は、会社の方に「医者に行ってくる」と出たきり帰らないということで、はっきりしないところもあります。

 警察への届出は、少し経ってから父親が所轄の龍ヶ崎警察署に届けました。

 家族はいなくなる理由もわからないまま、兄を探し歩きましたが何一つ消息はありませんでした。

 平成になり拉致被害者の存在を知りました。併せて多くの方が拉致されているのではないかとの報道もありました。そして北朝鮮による偽札造りもマスコミで知りました。その中で印刷関係の高学歴の方がいなくなったり、兄と同じような若い印刷職人が、略同じ時期に何人もいなくなっていることなどから、兄も北朝鮮に拉致され偽札造りに加担させられたのではないかとの疑いが募っております。

 こうした中で改めて兄の消息を知ろうと、兄の会社の同僚などに連絡をとったところ、一人の方には電話の途中で一方的に切られ、もう一人の方には話すこともないし、もう電話もしないで欲しいとのことでした。

 このようなことから公権力を持つ警察以外、失踪当時のことを調べることが出来ないと思い所轄の龍ヶ崎警察に何度も捜査を懇願したのですが、警察は兄がいなくなったことは「事件性がないから」捜査することはできないとの一点張りであります。

 事件性とは一体なんでしょうか?人間一人が理由もなく「消えたようにいなくなった」ことが事件でないのでしょうか。前述の拉致の疑いがあると訴えているのに、調べてみなければ分からないことでないでしょうか。

 全国には兄と同じように理由もなく突然失踪した方が大勢おります。

 家族の多くは失踪した親族を探し求め、精神的な苦痛に耐え、肉体的且つ経済的にも多くの負担を強いられております。このような状況を見聞きしながら、警察は届出を受理しただけで殆んど、何の対応もしていないと言っても過言でありません。この警察の姿勢は警察上層部からの指示なのでしょうか。

 今般、拉致担当大臣、国家公安委員長が兼務となりました。そして新たな拉致対策本部の構築・増強で失踪者の徹底した捜査をするとの表明により警察行政が動くとの報道もありましたが、家族等の思いに添った効果を期待するものです。

 脱北者などの証言によりますと、北朝鮮は軍事独裁政治、厳重な監視社会、更には慢性的な食糧不足と国民の多くは疲弊、悲惨な生活を強いられているという、とんでもない国とのことで、人権、人道上も許されるべきものではありません。兄もこのような環境の中にあると思うと、兄の人生の不遇を思わざるを得ません。

 日本は、43年前兄がいなくなった当時と何ら変わりのない体制に非常な不思議さと不安を感じているところです。

 国家の存立は国民があってこそであり、国民の生命・身体の安全・安心を保つことは為政者の第一の仕事であります。国民が安心して暮らせる確固とした体制を構築してください。

 拉致は人間を攫っていった悪辣非道の最たるものです。すぐさまとり返して下さい。とり返すのに手段を選んでいる余裕などない筈です。家族は高齢化しています。子供に会いたいという、親としての切ない思いを残し他界した方もおります。遅々として進まぬことに怒り心頭、方策はないのかと大声で叫びたい気持ちです。

 未解決の拉致問題を、子や孫の代に申し送ることはあってはならないことです。

 総理大臣は解決に向けゆるぎない姿勢を貫き、全拉致被害者を日本に取り返すことが使命であり、友愛政治の原点でないでしょうか。

 なにとぞ、政権交代の「実」を示していただきますよう、切にお願い申し上げます。
平成21年11月2日
        小林七郎
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