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今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

2009年3月のブックレビュー

2009年04月11日 | ブックレビュー
 3月のブックレビューです。なにがどうだというと借り物率が高かったのでエコノミーかつエコロジーな1ヶ月でした。

◇無宿人別帳 松本清張
<文庫・新品で買った。>先日読んだ「時代小説ベスト100」でも紹介されてた本ですが、実はこれの存在を知ったのは高校生の頃。筒井康隆先生のエッセイ「狂気の沙汰も金次第」で話が出ていたのですが、ベスト100の紹介で興味を持って読んでみました。感想はというと「さすが松本清張先生!」とうなるほど。短編集なのですが、無宿ゆえに受ける迫害から様々なドラマを作り上げて最後は大体オチがあるというのが大したもの。一話ずつは短いので皆様も旅のお供に是非どうぞ。


◇絶海にあらず(上・下) 北方謙三
<知り合いから借りた。>今年に入って歴史小説や時代小説に凝ってますが、これは藤原氏の時代ですから最も古い話になりますでしょうか。主役の藤原純友というのは全然知らなかったのですが、解説によると歴史上でも伝説や資料が乏しく謎の多い人物のようです。それをこれだけの壮大なストーリーに作り上げるとは、1gの金を畳一枚の大きさにまで広げる金沢の金箔職人なみの技ですね。(なのか?) この話はセリフ部分がほとんど現代劇なので読みやすいといえばそうなのですが、その辺許せないという人もいるかも。(もちろん「…じゃん?」とか「ぶっちゃけ…」とかまでは使われてござらんが←時代劇風) 全然期待しないで読み始めたらすごく面白かったです。北方氏がこういう話を書いてるとは驚きでした。お薦めです。


◇庭師(ブラックガーデナー) 高瀬美恵
<知り合いから借りた。>作者についてはまったく知りません。最初はマンションの隣人に対する不安が拡大していくサイコサスペンス物かと思ったのですが、実は本物のオカルトというかホラーの話でした。面白くないわけではないですが、前半の雰囲気のままの方が私は好きです。都会のマンションで一人暮らししている人には是非読んで欲しいと。(怖くて眠れなくなったりするかも…)


◇初恋 中原みすず
<文庫・新品で買った。>多分昨年のお盆休みに読もうと買ってあったのですが、やっと読みました。普通の恋愛小説かと思いきや、あの三億円事件がテーマになってます。「んな、アホな」というのが随所にあって、ちょっと都合の良すぎる話かなぁ。実話だと思ってる人って本当にいるのでしょうか。短い話なのですぐ読めますから、軽い本を持ち歩きたい人にはお薦め。

◇40 翼ふたたび 石田衣良
<知り合いから借りた。>面白くないわけではないのですが、なんかありがちな印象。終盤のトントン拍子に進みすぎなところが、読み始めのイメージと違いました。この人の作品を読むのは初めてですが、知らずに読んだら重松清作品かと思ったことでしょう。(あ、私はです。重松ファンには怒られるかも) とはいえ私も40過ぎなものですから「こんな話じゃ泣けねーぞ」とムキになってるのかも。


◇BETWEEN 川上健一
<文庫・新品で買った。>この作者の「翼よいつまでも」という本がすごく面白かったのですが、この人は若くしてデビューしながら「翼よ…」を書くまで10年ほどブランクがあったのだとか。初めて知りました。その期間のことを書いてます。こんな笑い話にできるほど楽しいことばかりの人生ではなかったのでしょうが(極貧ですし)、話としてはすごく面白いです。奥さんも素敵ですが、娘ちゃんのズキちゃんが可愛いです。ラストで「翼よ…」が書き上がるわけですが、その作品を知っている人は是非読んでみるべきでしょう。


◇4月になれば彼女は 川上健一
<文庫・新品で買った。>こちらは川上氏の復帰後の作品。自伝的小説という形でどこまでが本当でどこからがフィクションなのかはわかりませんが、大筋は本当と言われても信じられる感じです。プロ野球を目指せるほどの才能を持っていたのに肩の故障で挫折し、地元で普通に就職するはずだった前日に友達の駆け落ちを手伝うことになったことから、いきなり相撲部屋にスカウトされたり思わぬ事件に巻き込まれたりとというドタバタの一日を描いたものですが、これは多分私の今年のベスト1になります。面白いです。ストーリーが行き詰ったときに突然登場して理屈なしにちゃぶ台をひっくり返すというキャラがいると、物語は面白くなりますね。新・八犬伝でいうと玉梓の怨霊、名探偵コナンでいうと怪盗キッドですが、この小説では相撲部屋のスカウトだったりします。



◇制服捜査 佐々木譲
<知り合いから借りた。>作者は全然知らない人かと思ったら「警官の血」で有名だそうです。ドラマでやってましたね。(見てないけど) 短編集ですが最初の話を書き下ろして、その後いくつか書き足したのにちゃんと最後に繋がるというあたり、この人はきっと天才です。ストーリーよりも人物の描き方が優れてて、登場人物が暮らす様子が見えるようです。そんなにゴテゴテ説明してないのに想像力をかきたてられるというのは、なんなんでしょうね。単純にいうと文章力ということなのでしょうが。この作者の作品は他のも是非読んでみたいと思いました。


 3月は結構読めましたが、それもそのはずで都内に出かける用時が多く、バンド練習×2、ライブ×1、仕事×3でした。1往復2時間ほど電車に乗ってるとすると12時間ほどあったわけで、「初恋」とかは往復の間だけで読み終わりましたので順調と。4月になるとサラリーマンは忙しいのでガクっと量は落ちると思います。