録画してあった「三つ首塔」を見ました。これは『横溝正史シリーズ・三つ首塔』であって1977年5月~6月にかけて放映されたドラマです。主な配役は以下の通り。
金田一耕助:古谷一行
宮本音禰:真野響子
上杉誠也:佐分利信
佐竹建彦:米倉斉加年
法然和尚:殿山泰司
古坂史郎:ピーター
志賀雷蔵:小松方正
鬼頭庄七:小池朝雄
高頭俊作:黒沢年男
かね:野村昭子
日和警部:長門勇
等々力刑事:早川保
私は結構好きなんですが世間一般としての評価はあまり芳しくない様子。久しぶりにじっくり見て理由がよくわかりました。元々金田一ものは世間一般にしばしば起こりうる話では無いのですが、その中でも「いくらなんでも無理があるやろ」という展開が多いのですね。一例を挙げれば、高頭俊作が音禰を連れて秘密クラブに行ったとき「間もなく警察が踏み込んでくるから逃げなければ」なんて言いながら逃げ遅れて離ればなれになってしまうというの。自分で通報しておきながらこれですので「さっさと逃げんかい!」という声は全国で3千万くらあったと思います。
そもそもの設定が初対面の俊作が音禰を力ずくでものにしてしまうというものですから、これは女性からは批判が多いことでしょう。ゆくゆくは結婚したでしょうが、披露宴で仲人さんが二人のなれそめを紹介するのに「実は新郎が新婦に無理矢理ワッチコンしたことから恋が芽生えて…」と言わねばならんですよ。これはいけません。
あとは日和警部の上杉邸の張り込みをはじめ「ありえない」というのは他にもあれこれ。それでも魅力的なのはこの豪華キャストでしょう。佐分利信、小松方正、米倉斉加年、小池朝雄、ピーターという怪しすぎる顔ぶれなんて「元祖・全員悪人」ですわ。米倉斉加年さんのキザっぷりは堂に入ってるし、小池朝雄さんのSMショーとか、小松方正さんの下品さも迫力満点。んで、一番の見物は真野響子さんのレオタード&網タイツ&生着替えかと。初めて見たときは中学生でしたが、よくテレビの前で失神しなかったことかと。
まぁそのうちまたどっかで再放送あるでしょうから今回見なかった人は是非ご覧下さい。出演者のクレジットではピーターさんが「ピー ター」となってて、「おお、あれは名字と名前が別々だったのか」というのが判明したりしました(?)。
なお、私の学生時代に「小松方正研究会」というネタがあって、最初はなんのことかわからなかったのですが「現代法制研究会」というサークルのパロディだったのですね。そのサークル自体は何をするかというと、要するに憲法改正して日本も軍備しようという思想のもので、三島由紀夫の命日に河原町から円山公園まで「北方領土を返せ~!」とシュプレヒコールしながら行進する人たちだったようです。そちらは結構過激なのでお友達にはなりにくいですが、「小松方正研究会」なら参加してもいいかなぁ。出演映画全部見るとかなら楽しそうですよね。(なのか?)