幼稚園の卒園式でもらった花。今はもうすっかり枯れてしまっている。
いつものようにマンションの階段を下りて、鉄の扉を開けて通りへ出ようとすると、その向こうで年老いた女性がさっと扉を開けて、自分が外へ出るのを待ってくれた。
その女性はここのマンションの住民で、たまにお見かけすることがある。
自分は年上の方に、そんなことをしてもらう分けにはいかないと思い、慌てて開いた扉を押さえて、
「どうぞ」と先を譲った。
するとその女性は、
「おいでください」と小さな声ではっきりと言った。
おいでください。
この状況において、今日では使わない言い回しだなと思った。
そして決して気取った感じもなく、とても品良く聞こえた。自分には言えないせりふだなと思った。
ここで綱引きなことをしても仕方ないと思い、自分は軽く会釈して、先に外へ出た。
そして「すみません」と一言言った。
そして老婆も軽く会釈して、自分とは反対の方向へ向かって行った。
何だかとっても温かい気持ちになった。
いつものようにマンションの階段を下りて、鉄の扉を開けて通りへ出ようとすると、その向こうで年老いた女性がさっと扉を開けて、自分が外へ出るのを待ってくれた。
その女性はここのマンションの住民で、たまにお見かけすることがある。
自分は年上の方に、そんなことをしてもらう分けにはいかないと思い、慌てて開いた扉を押さえて、
「どうぞ」と先を譲った。
するとその女性は、
「おいでください」と小さな声ではっきりと言った。
おいでください。
この状況において、今日では使わない言い回しだなと思った。
そして決して気取った感じもなく、とても品良く聞こえた。自分には言えないせりふだなと思った。
ここで綱引きなことをしても仕方ないと思い、自分は軽く会釈して、先に外へ出た。
そして「すみません」と一言言った。
そして老婆も軽く会釈して、自分とは反対の方向へ向かって行った。
何だかとっても温かい気持ちになった。