(Sometimes I'm Happy.)

好きなことを記録しているノートです。
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中野・ビアズレー、7月17日。

2008年06月29日 | 2006_2010_memo
 1976年。初夏。

 いつものように金もなく昼飯抜きだ。まだ午後2時半だ。中野ブロードウェイを急いで歩きながら行き先は「シャドウ」でもない、勿論「サンプラザ」でもない。目的はハッキリしている。マイルスのレコードだって買わない。アサヒヤ書店で東山魁夷の画集も立ち読みしない。
 パチンコ屋の手前の角を右に入る。今日は行くとこがあるんだ。三日ぶりかな。火曜日と金曜日は欠かさない。映画館も通り過ぎて、マージャン屋のとこの建物の2階へと続く階段を静かに昇る。バッグに植草甚一の本が入っていることを確かめる。マドロス・パイプが飛鳥とともにあることはわかってる。ロングピースは念のため持ってる。長丁場だよ、今日は。
 「ビアズレー」のガラスの扉が見える。少しだけ中の音が聴こえる。いつもなら、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」が聴こえてたりするけれど、今日は違う。火曜日ならSってイニシャルの髪の長い可愛い女の子がウェイトレスをやっているんだけど、今日は7月17日で火曜じゃない。だからいないんだよ、彼女は。会いたいけれど大切な370円は、彼女のためじゃなくて自分のために遣わせてもらう。
 二重扉をあけて中に潜り込む。席は空いている。黒い壁ではなく、黒い鏡。壁の上にレコードが詰め込んである。
 マッチをもらう。パイプに火をつけるのにここのマッチはいい。箱にビアズレーの絵が描いてある。「オーブレー」のことも書かれている。オーブレーは、ビアズレーと姉妹店だけど中野駅を挟んだ反対側でマルイの横にある。あっちはボーカル専門で、こっちはだからボーカルは流れない。ボクはそれでいい。ボーカルの勉強もしなくちゃいけないけど、今は自分がやる演奏のためにラッパやサックスをたくさん聴かなければいけないんだ。
 黒い鏡に自分のことを映しながら、一番前の左隅の席に座る。ここはボクの席だ。勝手に決めてるだけだけど。それにこの席の横には黒い鏡がないから、若いのにパイプなんか咥えてる生意気な自分の姿を客観的に見なくて済む。コーラを頼んで、パイプに火をつける。ゆっくりと煙を燻らす。
 正面にはJBL!のパラゴンがある。中音域には芯があり低音も柔らかくて気持ちがいい。モンティー・アレキサンダーの「We've Only Just Begun」一曲目「It Could Happen To You」のズン・ズドド・ドンと入るタイコとベースのリズム合わせは、このパラゴンでないといけない。そのパラゴンの上に赤いバラの花が飾ってあって、真上にはジョン・コルトレーンのパネルにスポットが当たっている。命日だ。合掌。パイプの煙が線香がわりさ。
---聴いたこともないようなレアもののコルトレーンがかかっている。おおかた誰かが海外で購入したかなんかのライブものだ。バリバリ吹きまくってるコルトレーン。このいっちゃってる感覚が好きだ。汗が噴出してくる。ドルフィーと延々演奏し続けるライブも好きだけれど、それとは別に一人でバリ吹くトレーンはサイコー。誰かコーラになんか入れてくれ!ってお願いしたくなる。じゃないと聴いてらんない、負けちゃう。しばらくほとぼりが冷めると、「ア・ラーブ・シュープリーム」みたいな呪文で、またまた少しずつ絶頂へと向かい始める。
 だからさ、これを何度も何度も何度も繰り返すのが、7月17日のビアズレーなんだ。いつイッちゃったのかもわからなくなるんだよ、6時間もこうしているとね。これじゃ夕飯も抜き出し、銭湯も行かなくていい。店に悪いから、もう一杯コーラ頼むよ。



※メモ:「恋するマドリ」 新垣結衣/松田龍平/菊池凛子

ise様

2008年06月22日 | 2006_2010_memo
 覚えていますか。

 僕らは、随分前に映像制作から足を洗っちまいましたが、その後もあの快感が忘れられずに、映画やドラマは見続けて来ましたね。今日はそんな生活の中で、記憶にとどめておいた方が後々いいのではないかと思い、ちょっと整理しておくことにしました。どうせふたりで「ふくろ」へ行ったりすれば、こんなメモなんざ関係なく、楽しい話題で盛り上がるとは思いますが、その前にここで思いのたけを語っておこうと思います。
 さて、やっぱり「僕の彼女はサイボーグ」のことなんです。何でこんなに評価しているかといえば、それはとても個人的なことです。この映画には僕が目指したいくつかの要素が入っています。そのことは、きっと僕のことをよく知っているiseさんならわかるのではないかと思います。

 まずサイボーグであること、「ブレードランナー」(フィリップ・K・ディック原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』)のレプリカント。あのころ「奥様はレプリカント」という作品構想を昼飯を食べながら一緒に話しましたね。その複線として「花嫁はエイリアン」があったと思いますが。。。ブレードランナーのハードボイルドをしっかりと心になじませながら、さらにレプリカントの無常さを味わったことを思い出します。この映画でサイボーグが愛に目覚める点は、まさに僕が映像にしたい場面そのものでした。そして、「ニューロマンサー」(ウィリアムギブスンの処女長編にして最高傑作として名高い「サイバーパンク」の代名詞的作品)。チバシティとジャパネスク。クァク監督が東京シティを中華街も含めてちょっと猥雑に描いている点も忘れてはなりません。ああいった風情や雰囲気が、映画には必要なのです。
 ところで、大地震(オオジシン・映画の中では「ダイジシン」と何度も叫ばれていましたが正しくは「オオジシン」「ダイシンサイ」です。)も、我々が伝えなければならないことでした。すでに立川防災館の全天周映画として若い頃の樋口監督と一緒に撮った「太陽が引き裂かれた日」。プロデューサーとして私と日本シネセル(当時)の荒木さん、そして国際放映の森さんで神社に御参りに行ったことを思い出します。それほど地震の映画であることに配慮し安全な撮影を心がけていました。そして、あの映画の久子の衣装を私は気にしていた。暗い地震映画であっても映像だけはジャック・デミー監督の「シェルブールの雨傘」のようにしたかった。衣装担当は確かに赤と黒の事務服を選んでくれたり気を配ってくれたけど、やっぱり完成した映像の中ではコンクリの粉だらけで思ったような効果は出ていなかった。それが、サイボーグの綾瀬はるかの衣装(地震の衣装はともかくとして)、登場してすぐにデパートで衣装替えをしさらにマネキンまでやるこった演出は、僕の心を虜にしました。
 さらにタイムスリップ。これは僕が憧れる永遠の主題です。今回の映画の肝はサイボーグよりもタイムスリップではないでしょうか。そして僕にとっては「ある日どこかで(Somewhere In Time)」(日本の公式ページ 主演:クリストファー・リーブ、ジェーン・シーモア。監督:ヤノット・シュワルツ、原作・脚本:リチャード・マシスン、音楽:ジョン・バリー)が今でも忘れられない映画です。あの引き裂かれる別れのシーンは一生僕の心に残ります。ラフマニノフの「パガニーニの主題による変奏曲」もさることながら、ジョン・バリーの作曲したメロディこそ、僕をあの世界へと連れていく癒しの薬になっています。「僕の彼女はサイボーグ」を見ていて、バックに流れていた映画音楽は私見ですが「ある日どこかで」のジョン・バリーを意識していたのではないでしょうか?大坪直樹氏に酔った勢いで聞いてみたい気がするほどです。(僕は「太陽が引き裂かれた日」のBGMを、やはり「ある日どこかで」のテーマコードをもとにメロディを置き換えるほど傾倒していたものですから。)
 
 それにしても、これほどハマッテシマッタのも何か縁だろうと思います。パンフレット、公式ガイドブック、サウンドトラック、サイボーダインモデル103。タイムカプセルに封印しておきます。いつかその気になったら開けてみます。
 また、「ふくろ」で一杯やりましょう!



※本日の映画「そのときは彼によろしく」長澤まさみ、山田孝之

ちょっとうれしい、「スタチューポリストーンフィギュア サイボーグバージョン」

2008年06月15日 | 2006_2010_memo
 サイボーダインモデル103がSAGAWAで届いた。ちょっとうれしい。いまデスクのヒキダシの中にしまってある。

「映画タイトルにもなっている話題のサイボーグコスチュームフィギュア完成。綾瀬はるかの劇中の魅力を忠実に再現し、細部までこだわりを貫いた存在感のある仕上がりになっています。(塗装済・完成品)」ということになっているが、あんまり綾瀬はるかには似てないね。(笑)

(S氏に言わせると、中身よりも箱のほうがいいという意見だった。)
【サイズ】H22cm
【素材】ゴールドキャスト
【ボックスサイズ】28.6cm×19.1cm×18.4cm
箱の大きさの割りに中身は小さいが、手に取り上げてみると結構ズシッときたよ。

 しかし、この一ヶ月くらいこのブログはミーハーだね。そろそろ本来の目的も果たしていかないといけないきがしてきたね。