(Sometimes I'm Happy.)

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トランペットとマウスピースについて

2013年01月01日 | ドレミノート
 佐久間勲:著「超絶トランペット」(SAX&BRASSmagazine・リットーミュージック:税込¥1575)を参考に、マウスピースへの関心が高まった。この教則本はなかなか即戦力的な指向性があり、「29の超絶フレーズと7つの大技小技」は理論書やフレーズ教本と異なっており笑える部分もあって役立っている。
 さて、この教則本の中で“コラム002”に書かれている<超絶へのセッティング術>にてマウスピースの選択方法が書かれている。楽器の練習に先生についている人を除き、なかなかためになる話を聞くのは難しい。そんななかでこの解説は役に立つので、引用する。
 ---筆者(佐久間勲氏)が今使っているのはXO製RV-T-GB(SDベル)。マウスピースはジャルディネリ10s。これを選んだのは、筆者にとって楽に吹ける楽器だったからだ。良い意味で音のツボが広いので、自分自身のコンディションに左右されにくいのだ。結局、テクニック的に難しいことをやろうとすればするほど、自分が操りやすい楽器の方が良いと気づいた。“このブランドのこの音がほしい、この音を操りたい”という場合を除いて、単純に超絶指向であるなら、“操りやすさ”を基準にするといいだろう。マウスピースはジャルディネリ10sを使用している。ビッグバンドでリード・トランペットをやるようになって、それまで使っていた大きくて深いマウスピースで吹くと、筆者自身に音が聴こえにくいということに気づいた。それ解消するために、楽器屋さんでいろいろなマウスピースを試させていただいたところ、これがしっくりきた。前に使っていたものよりはだいぶ小さくて浅いが、息の通り具合も良いし、自分自身に音が聴こえやすい。マウスピースに関しては、現在もいろいろ試行錯誤しているが、結局これに戻ってきてしまうのだ。(笑)マウスピースは深ければ深いほど音がひっくり返りにくい。また、スラーや速いパッセージを吹く時に、音が滑らかになる傾向もある。ただ、深すぎるとメリハリをつけるのが難しいようにも感じる。---(引用終り)


(写真:8335RGSとマウスピース) 
 小生の場合は、ヤマハ・トランペット8335RGS“Xeno”を昨年の2月から利用しているが、それまでにヤマハ・コルネット、アントンコルトワのフリューゲルホーン、ヤマハ・トランペット4335を使っていた。以前はトランペットに興味がなくて、柔らかい音の出るフリューゲルが自分らしさをアピールできる道具だと思っていたのだが、ある日10万円を手にしたことからお手ごろな4335を購入しサブ的な感覚で吹いていた。4335モデルは初心者向けのステューデントモデルでかつてはインペリアルと呼ばれ、学生はみんなこれを使っていたものだ。したがって、4335は吹奏楽向きの楽器であり、マウスピースも標準で11C4が付属し、合奏の際にラッパが鳴り響くことを指向した楽器だったのである。そんな楽器としばらく付き合い次第にトランペットの音に慣れてくると、より暖かい音色を出したいと思うようになった。4335は抜けは良いが吹き込みすぎるとすぐに音が割れてしまうようなところがあった。練習を続けていると、トランペットで柔らかく深みのある音が出したいという思いはどんどん強くなっていった。
 8335RGS“Xeno”に持ち替えてまず感じたのは、ハイトーンが出やすくなったことだった。オクターブ上のGが4335よりも楽に出せると感じた。同時にハイB♭も出るようになった。それから、音が丸くなりコントロールしやすくなったように思う。バルブが精巧になった上、今まで以上に管が響くようになったのだから、こういった結果が導かれることは当然なのかもしれない。しかし、高い値段の楽器を購入することで、自分の技量を補うことができるとは俄かに信じがたいことだった。金で自分の演奏を買うのは邪道のような、そもそもチャーリーパーカー(as)は楽器を選ばず常にサイコーのアドリブをやってのけたのであり、クリフォードブラウンも楽器メーカーから支給される様々なモデルを本番でも試吹し、良い演奏を残していた。小生は天才でないことを十分に承知の上で、尚且つ楽器に頼らない自分の実力を得ることを望んだ。

 そして、今回のマウスピース購入である。実は、コルネットやフリューゲルのときも2本ずつヤマハとバックのものを使用していた。マウスピースによって音色に違いがあり、ハイトーンが出なくても深みのある音色のものとハイトーンが出やすいが固い音色のものを使い分けていたのだった。しかし、今回はそんな経験とは全く違うアプローチでマウスピースを選択することにした。ポイントは以下の通りだ。
○軽い音が出したい
○コントロールの向上を目指す
○ハイトーンを出しやすくする
○楽器メーカーと同じものを選ぶ
 そこで、まずマウスピースについて理解を進めることにした。前述の<佐久間勲:著「超絶トランペット」>を購入して確信を得る前に、すでにこのヤマハで配布している「Yamaha Mouthpieces For Brass Instruments」をしっかりと読み込んでいた。このマウスピースカタログは、ヤマハのお店でお願いすると誰でももらえる。マウスピースについて理解を深めるにはなかなか便利なハンドブックなので、ヤマハの楽器を使用していない人もぜひ手に入れるといい。マウスピースにまつわる詳細については、このハンドブックを確認してもらいたい。

(写真:「Yamaha Mouthpieces For Brass Instruments」)
 また、ホームページ上にも同様の内容で、「各部の機能とチェックポイント」「楽器のマッチング」などについて文書が掲載されているので参考に出来る。

(写真:マウスピース機能図)

 以下は、このハンドブックからの抜粋だが、小生が持っている二つのマウスピースを次のようにの特長付けている。
・TR-8C4-GP
ジャンル:ジャズ&吹奏楽
特長:トランペット用純金メッキ仕上げカスタムマウスピース。アドリブソロを受け持つオールラウンダーに向く。伸びのある高音域と豊かな低音域を合わせ持つ。

・TR-14B4-GP
ジャンル:吹奏楽&オーケストラ
特長:トランペット用純金メッキ仕上げカスタムマウスピース。やや大きいリム径とやや浅いカップの組み合わせ。完成度が高く、トッププレイヤーの高度な要求に応える能力を持つ。

 ちなみに、4335に付属しているスタンダード・マウスピースは、次のような特長になっている。
・TR-11C4
ジャンル:吹奏楽
特長:トランペット用スタンダードマウスピース。明確なバイトとほど良いリムを持ち、オールラウンド。初心者から上級者まで、最もスタンダードなタイプ。

 この説明からわかるように、リム内径を表す数字[8][11][14]がそれぞれ異なり数字が大きくなるほど内径は大きくなる。そして吹奏感も異なるのだが、小生の場合は[14]の吹奏で吹きやすさを求めた癖がついてしまったせいか、今[11]を吹いても鳴りが悪い。また、唇に直接触れるリムがゴールドメッキ(カスタム)とシルバー(スタンダード)のままというのも関係しているのかもしれないが、フィットしてくる感覚がやはりカスタムの方が良い。また、[14]では低音が鳴っていたが、[8]では音が細くなった気がする。まあ、もともとオーケストラ仕様でジャズに挑んでいた身にしてみると、音質の変化は気にならない。むしろ、伸びのある低音だった[14]による吹奏のほうが自分にしてみると不自然さを感じていた。音量を抑えた演奏にしたいところが、ベラベラと鳴ってしまうところも気になっていたのだ。それが、[8]にすることによって抑制がきき少しだけ低音での抵抗感が増したとは思うが、高音の伸びとコントロール、そして細くなり芯が聴こえてくる気がする点では、ジャズとしての[8]はかなり効果が出たといっていいと思う。
 結論としては、まだこれから大いに練習し[8]に慣れていく必要はあるが、高音の抜けのよさはやはりカップの浅さによって確保できたと思う。低音をゆったり吹くバラードの場合でも管を鳴らしすぎるとイメージが悪くなるのは事実なので、低音から高音に至るまで一定の芯のある音が吹奏できるのであれば、それを自分の個性としていくことを選んでおきたい。

インプロヴィゼイションスキルが向上する50の方法

2013年01月01日 | ドレミノート
インプロヴィゼイションスキルが向上する50の方法 アメイジング・フレイジング トランペット
by Dennis Taylor & Steve Herman

 僕は、この教則本を「インプロヴィゼイションスキルが向上する」という言葉に引かれて、2003年に購入した。あれから6年が過ぎた。僕のインプロヴィゼイションスキルは向上しただろうか。。。。そう、そんなに向上していない。答えは簡単。ロクにこの教則本を使っていないし、練習時間も短すぎるからだ。もし人生が60年だとして、その十分の一の6年間を棒に振ってしまったことになる。
 けれど、Ⅱm7-Ⅴ7のエチュードとディミニッシュ・スケールは練習した。以前ツー・ファイブのフレーズ集を購入したときは、キー・スケールでのみの3パターンほどを身に着けただけで、あとは練習のための練習に終始したため、結局本番ではワンパターンになってしまった。
 とにかく、教則本とは購入した瞬間には未来の夢が花開くが、本当に継続性を確保することが出来ない、悲しみの多い代物である。また、期待感を高めるためか高価なのである。ちなみに本書は¥3,000である。とはいえ、これをやりきることによって手にする自己実現に比べれば、実は大変お安いものなのだが。。。。。

 ところで、そんなことを書きっ放しながらあらためて説明するのもナンだが、この教則本はありがたい部分がたくさんある。まず、添付のCDでお手本になっているSteve Hermanのトランペットがジャズの音色なので安心して教わることが出来たり、本書内のフレーズが単なるメジャー・スケールではないので(当たり前か)吹きにくいフレーズがあっても理にかなったものと納得して練習できるのだ。
 また、フレーズを説明する際の注意書きが、ジャズとは気高いものなのだという気難しさと品格を漂わせ、媚びない所が何人も寄せ付けないウレシサがある。これを乗り越えた者だけが手にする快感、それは自分らしさに一歩近づくことであり、大人の緊張感であり、独りよがりではないエンターティメントへの入り口なのである。
 さあ、性根をすえてサラワナケレバならない。

-おまけ-
 本書の「はじめに」に記載されているエピソードを掲載させていただく、自分でも楽しめるお話だが、皆も面白いと感じるはずである。

---よいフレージングのキー・ポイントは、プレイするところとしないところを知ることです。あなた自身が編集者になることが重要なのです。Miles DavisとJohn Coltraneの有名な話に次のようなものがあります。1950年代後半、Kind of Blueというアルバムに代表されるモーダルな音楽を彼らが演奏していた頃、曲には終わりに向かうケーデンス(コード進行)がなかったためColtraneは常にソロをどのように終わらせるか苦労していました。MilesがColtraneにソロをもっと短くするよう要求すると、Coltraneは「どのように終わらせたらよいのかわからない」と言いました。それに対してMilesは「ホーンを口から離すだけだよ」と答えたのです。---(翻訳 佐藤研司)