僕の接する学生諸君に、 愛読書は何かと聞いて、 はっきりした答えを得た事がありません。 愛読書を持つという事が大変困難になって来ています。 様々な傾向の本が周囲にあんまり多すぎる。 愛読書を持っていて、 これを溺読するという事は、 なかなか馬鹿にならない事で、 広く浅く読書して得られないものが、 深く狭い読書から得られるというのが、 通則なのであります。
「現代の学生層」 7 - 一四四 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.52)
「現代の学生層」 7 - 一四四 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.52)