物欲 日記

買ってきた モノ への、泣き、小言、妄想、言い訳など。
アニメなどの感想もあります。SINCE 2004年05月16日

自転車の思い出 三選

2024年09月20日 14時44分50秒 | エッセイ風

自転車の思い出 三選
 
その 1
初めて自転車を買ってもらったのは小 5 だったと思う。何インチか忘れたが大人用のサイズよりは小さいタイプ。変速ギアもついていない。自転車が好きで行動範囲が広がった。夏のある日、坂道を登っていた。結構急な坂でもちろん立ちこぎ。普通は押してのぼるような坂だったが、全体重を片足に込め、歩くよりも遅い速度だったが降りるのは嫌で、とにかく頑張っていた。その時、たまたま車を洗っていた夫婦の横を通った時、二人の会話が聞こえた。奥さん「降りて押せば良いのに・・」 ダンナ「好きなんだよ・・」 
50 年以上前の子供の頃に聞いた、知らん人の会話を今でも鮮明に覚えている。特に「好きなんだよ・・」。おっちゃん、よくわかってらっしゃる。あなたのつぶやきは小 5 のオイラに届いていたよ。当然その場では何事もなく消えていった言葉であるが、爺になった今でも時々思い出す、自分の人生で大切なキーワードの一つになっているよ。
 
その 2
小 6 になると大人サイズ、多分 26 インチのスポーティーな 10 段変速自転車に昇格した。ウィンカー、サドルバッグ、バックミラーなど、装備も拡充。ある日、大きな駐車場でギアの調子を見ながら(下を向いている)軽く流していたら、突然自転車が止まった。ブレーキもかけていないのに。顔をあげると、そこには自転車のタイヤを捕まえているお兄さんと車があった。なんと、前を見ないで進み、車にぶつかる寸前に、その車の持ち主である二十歳くらいのお兄さんが、タイヤの真剣白刃取りで私の自転車を止めていたのであった。
我に返って、とんでもないことをしでかしたとに気が付き、怒られる!と思ったら、お兄さんは「前を見て乗ろうね」と笑顔で声をかけてくれた。すみませーん と言ってその場を離れたが、前を見ていないと危ないこと(当たり前じゃろ)と、少し大きくなって、お兄さんの包容力というか人間の大きさに改めて感動したのであった。
 
その3
大学生の頃、バイトで個人の家庭教師をやっていた。少し遠かったので自転車で往復。帰りは真っ暗で、自転車で停車している車の横を通過した時に、突然体が宙に舞った。車を飛び越え地面に落下する時に勝手に受け身をしたみたい。受け身した手を擦りむいたくらいで、他に怪我とかはなかった。それでも何が何だかわからず座ってボーっとしていると、車から出てきたらしい大人が数人いて、何やら話しかけられていた。「無灯火だから云々」という声は、かすかに覚えており、更に、胸ポケットに何か突っ込まれていた。我に返ってポケットの中を見ると、千円札が数枚入っていた。
どうも、結構なスピードで車の横を通過中、その車が発進して、私の自転車が車のタイヤにあたり、慣性で私が車を超えて吹っ飛んだようだ。いわゆる交通事故。どうも車を発進させるときにウィンカーも出さず、かつ、無灯火の私の自転車を見落としていたようだ。過失割合は無灯火加味で 8 : 2 かな?
更に、その車が止まっていたのは飲み屋の前だった。胸ポケットの千円札は、これで腑に落ちた。恐らく飲酒運転だったのだろう。まだ昭和だもんなー。
 
 
自分の自転車ライフで、これらの三つの出来事は今でも鮮明な出来事として思い出すことができる。大人になってからは、車を運転するようになったせいか、自転車に乗る時はずいぶん慎重になり、このようなエピソードの経験はない。多分、それで良いのだろう。
 
あっ、一つ思い出した。5 年程前だったろうか、通勤で会社に向かって歩いているとき、狭い道のブラインドカーブで勢いよく曲がってきた自転車とぶつかりかけた。咄嗟に自転車のハンドルをつかみ衝突は免れた。「気をつけろ、ばっきゃろー!」と大きな声をあげそうになったが、真剣白刃取りの記憶が自動的に立ち上がり「カーブは気を付けようね」と優しく声をかけることができた。自転車の二十歳くらいのオネーサンは、目も合わせず、すみません と言ってサーっと行ってしまった。「キモ」って思ったのかも。世の中ソンナモンですよ。
 
見出し画像:参考画像。当時乗っていた大人サイズの自転車のハンドルは、このタイプ。

 
 



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